パテック・フィリップ(PATEK PHILIPPE)

カラトラバ REF.3923S 修理記


ある朝いつものように愛用のパテック・フィリップのリュウズを巻き上げていたら、ギュルンという音とともにゼンマイが切れてしまいました。
中古で買ったパテック・フィリップでしたが、いくらなんでもこんなにすぐ壊れてしまうとはトホホ状態です。購入店の保障付き中古でしたが、一般的にゼンマイ切れは保障対象外だし、怪しげな修理屋に出されてしまうかもしれないのも不安です。
これまでのこの時計のメンテナンス状態もわからないし、ここはひとつコンディションチェックも兼ねて総代理店の一新時計に修理に出してみようと思い直しました。(注:現在一新時計はパテックフィリップの総代理店ではなくなりました)
12月上旬に直接持ち込んで修理に出し、年末年始をはさんだ関係で修理完了が2月上旬、平日の営業時間内しか窓口が開いていないこともあって、受け取ったのは2月末となりました。

一新時計のパテック・フィリップ東京サービスセンターは有楽町にあります。私と同じくカメラ道楽も兼ねている人は銀座周辺のパトロールも欠かせないと思いますが、すっぱいお店の前から先のほうに目をやるとこのビルが目に入ってきます。ここが一新時計のビル、パテック・フィリップのサービスセンターがある建物です。

横に回りこむと、「パテック フィリップ」とカタカナで書いてあります。何となく半角カナっぽいフォントでちょっと間抜け。

ビルの入り口はかなり怪しくて、本当にパテック・フィリップのサービスセンターがあるのかぁ? と不安になるぐらいの古いたたずまいの雑居ビルです。
かろうじてこの看板が掲げられているのでそうだとわかりますが、なかったら入るのを躊躇してしまう感じです。

中に入るとこれまた旧式のエレベータが2基。ビルの左側は全フロア一新時計関係です。右側は特許事務所とか何とか法人とかいろいろ...。ちなみにエレベータは左右どちらに乗っても同じです。

ゴトンゴトンとローカル列車に乗っているような音がするエレベータに乗り込んで6Fで降りると、ここだけ小奇麗に飾られたドアがあります。パテック・フィリップサービスセンター入り口です。

中に入ると受付がありますが、基本的に人はいません。チャイムを押して呼び出すと受付担当の女性が出てきます。
左側のガラスにはカラトラバ十字のマークがあり、修理室の様子を見ることができます。修理の技術者は一見して皆かなり若くて、老練な職人が少数でパテックの修理にあたっているのかと思ったら間違いです。だいたい30歳そこそこなのでしょうか。白衣を着た10人前後の技術者が修理にあたっているようです。
修理に持ち込んだ時に、受付で時計が動かなくなった旨を告げて20分ほど待つと、ざっとしたコンディションのチェックと修理見積もりが出ます。私の場合はゼンマイが切れていること、そして各部のオイルが完全になくなっている状態なので、即時オーバーホールが必要な状態であるとのことでした。どうせ修理に出すならオーバーホールは望むところでしたので、お願いすることに。
Ref.3923は既に生産中止ではあるものの、修理に関しては現行モデル扱いとなり基本料金は70,000円です。アンティーク扱いだと105,000円になるみたい。もちろんベーシックなモデル以外はもっと高いと思います。
更に部品代としてゼンマイが10,000円とのこと。しかし一新時計の正規輸入品の場合は70,000円の基本料金が半額になります。私の時計は中古購入時点で本体以外に一切付属品がありませんでした。普通なら代理店発行の保証書がない時点で並行品扱いの一般料金になるでしょう。しかし一新時計は違ったんです! なんと時計のシリアルナンバーから販売記録を確認し、自社扱いの正規品とわかれば保証書等がなくても正規品として扱ってくれるんです。
後日正式な見積もり金額の電話がありますが、その際「当社で輸入した商品と確認できましたので、基本料金が半額になります」と告げられました。シースルーバックの3923Sは確か日本限定品だったと思っていたので内心では正規輸入品だろうと予想はしていましたが、それにしてもなんと良心的、なんと模範的なサービスセンターなんでしょう。

時計を預けるときも受け取るときもここで待ちます。「世界の腕時計」等の時計雑誌が置かれているのはご愛嬌。しっかりパテックやショパールのページに付箋が貼られています。左端に写っているのはワールドタイムRef.5110を模したクロック。ちゃんとPATEK PHILIPPEのロゴ入り。ちょっと欲しいな。

で、受け取った修理完成品。この写真じゃわからないと思いますが、ケースは研磨され新品のよう。私のパテックは中古で買った状態も、私が手に入れてからも普段使いでしたからケースにはかなり擦れや小傷があり輝きも鈍っていましたが、すっかり綺麗になりました。ケースの研磨は嫌いな人もいますが私はもとのフォルムが崩れない程度の再仕上げには抵抗がありません。3923は3796のようにエッジが立っていなくて全体がまろやかな形なので、ケース研磨もたやすいでしょう。それにしても見事な仕上がりです。本当にいい仕事をしてくれます。

裏にはカラトラバ十字と「PATEK PHILIPPE INTERNATIONAL CUSTOMER SERVICE」と書かれた保護シールが貼られてきます。訳もなくなんか嬉しいぞ。(^_^;)
裏もしっかり仕上げられてます。とーっても綺麗。
基本料金が半額になったことに気をよくして、社外品の革ベルトをこの際純正のものに取り替えることにしました。受け取り時にクロコの模様が好みのものを在庫の中から選ばせて欲しいと申し出ると快く受け付けてくれます。で、実際の受け取り時にはたまたま在庫が1本しかなかったのですが、それが好みの大きめの竹符ものだったので、交換をお願いしました。これが39,000円です...。39,000円といっても革のバンド部分だけですよ。尾錠はこれまた別で84,000円です! 私のものは尾錠は純正品でしたので、革ベルトだけで済みました。ほっ。ちなみにこの尾錠もピッカピカに仕上げられてました。
表面は腹ワニに竹符、裏はベージュの革で、PATEK PHILIPPEの刻印とともに、CFのマークも押されています。CF=カミーユ・フォルネ製ですね。以前新品で購入したRef.3796のベルトにはCFの刻印はなく、何となく作り自体もカミーユ・フォルネ製とは違う感じでしたが。

最終的な料金はこうなりました。
分解掃除(基本料金) 35,000円
ゼンマイ 0円
革バンド 39,000円
革バンド取り付け料 0円
合計 74,000円+消費税
なぜか最初に言われた部品代のゼンマイがタダになってます。これでまた満足度アップ!
痛み具合によってはバネ棒も交換することになるようですが、パテックはバネ棒もK18製なので1本1万円とも2万円ともいわれます。ロレックスなどバネ棒はうむを言わさず交換になりますがSS製なので500円程度。
ついでに時計の生産年も調べてもらいました。なぜか完全に同定できないようで私のものは1990〜1992年製とのこと。やっぱ10年以上経ってたわけね。更に中古で何の出生証明も付属してこなかったパテックにも、一度修理に出せばムーブメントNo.もケースNo.も判明し、当然ながら真贋鑑定もされたことになるので(もっともパテックのニセモノはすぐにわかるけど)、総合的に考えてかなり満足しました。
修理に出す前までは何の躊躇もなく普段使いしていたパテックですが、OHに出して外観も新品のようになり、革ベルトも純正新品に交換したことで、もったいなくてはめられなくなってしまいました。なんか本末転倒ですね。勇気を出してまた普段使いしたいと思います。

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