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1.ほどよい量で止まりません
アルコール依存症になった人は、一杯でもアルコールを飲むと問題のない量で切り上げることができず、身体が満足するまで飲んでしまいます。これをコントロール障害と言い、いったん起こすと回復しません。上手に飲酒することは、もはやできません。全く飲まないでいるか、問題飲酒をするかの、どちらかしかないのです。
2.飲酒をやめると離脱症状がでます
アルコール依存症になると、体内のアルコールが減少してくると、離脱症状が出ます。飲酒を中断して数時間経つと、手のふるえ、発汗、いらいら、不眠などが現れ、これらは飲酒するとよくなります。幻聴やてんかん発作が起こることもあります。
飲酒をやめて2,3日目には、見えるはずのないものが見えて騒いだり、時間や場所、人物の見当がつかなくなることがあります。振戦せん妄といいます。
3.体の病気を起こします
アルコールの臓器毒性と栄養失調のため、多くの病気を起こします。肝臓、心臓、すい臓、胃腸、脳、末梢神経などはよくやられる臓器です。糖尿病や貧血なども起こします。初期のうちにアルコールを断って栄養をとれば、病気の多くは完全に回復しますが、手遅れになると後遺症が残ります。
4.社会生活に支障が生じます
家庭崩壊、失職、警察問題、経済的困窮など社会生活上の問題で悩まされるようになります。進行すると、職を失い、家族にも去られ、友人もいなくなります。
5.慢性進行性で死に至る病です
治療しないで放置していると、長い時間をかけて、体の病気や社会問題が徐々に悪くなっていき、最後にはすべてを無くして死んでしまいます。発病してから死ぬまでに20年前後かかるのが普通です。
6.周囲の家族が倒れていきます/周囲の家族が苦しみます
アルコール依存症の患者本人はもちろんですが、その家族も精神的に病んできます。結果として、共倒れになるケースが多いのです。効果のない対応をして疲れ果てて、不安、絶望感、アルコール依存症者に対する怒りや恨み、悲観しての「うつ状態」などが生じます。アルコール依存症の対応には家族では限界があります。早期に、専門家や当センター患者搬送部にご相談ください。
 
アルコール依存症の人は200万人を越えると言われていますが、予備軍はその数倍と推定されています。患者は、病気、事故、自殺で亡くなることがあるので、平均寿命は50代前半と言われています。アルコール依存症になるのは意志が弱いせいだと考えがちですが、専門的な治療が必要な病気と認識して下さい。治療には家族の協力も必要になります。
  

- 自分の意志で飲酒のコントロールが出来なくなる。
- アルコール依存症の人も、何とかして適量のアルコールで済ませておこうとか、あるいは今日は飲まずにいようかと考えていることが多い。過剰な飲酒がもたらすさまざまな有害な結果を知っているにもかかわらず、飲み始めると自分の意志では止まらなくなって酩酊するまで飲んでしまう。このような飲酒状態を「強迫的飲酒」という。
- 目が覚めている間、常にアルコールに対する強い渇望感が生じる。
- 強迫的飲酒が進んでくると常にアルコールに酔った状態・体内にアルコールがある状態にならないと気がすまなくなったり、調子が出ないと思うようになったりして、目が覚めている間は飲んではいけない時(勤務中や医者から止められている時など)であろうとずっと飲酒を続けるという「連続飲酒発作」がしばしば起こることがある。
- さらに症状が進むと身体的限界が来るまで常に「連続飲酒」を続けるようになり、体がアルコールを受け付けなくなるとしばらく断酒し、回復するとまた連続飲酒を続けるというパターンを繰り返す「山型飲酒サイクル」に移行することがある。ここまで症状が進むとかなりの重度である。
- 飲酒で様々なトラブルを起こし後で激しく後悔するも、それを忘れようとまた飲酒を続ける。
- 飲酒量が極端に増えると、やがて自分の体を壊したり(内臓疾患など)、社会的・経済的問題を引き起こしたり、家族とのトラブルを起こすようになったりする。それでさらにストレスを感じたり、激しく後悔したりするものの、その精神的苦痛を和らげようとまたさらに飲酒を繰り返す。このように自分にとってマイナス(負)な面が強くなっているにもかかわらずアルコールを摂取し続ける飲酒行動を「負の強化への抵抗」と呼ぶ。
- 退薬・禁断症状が出る。
- アルコール摂取を中断した際、様々な症状が生じる。軽いものであれば、頭痛、不眠、イライラ感、発汗、手指や全身のふるえ(振戦)、めまい、吐き気などがあるが、重度になってくると「誰かに狙われている」といった妄想や幻覚・幻聴を伴った振戦せん妄、けいれん発作なども起こるようになる。患者にとってこれらは苦痛である為、それから逃れる為に飲酒をすることになる。
- 耐性の増大。
- 同じ酩酊感を感じるのに要する飲酒量が増大する。または、同じ飲酒量での酩酊感が減弱する。
  
アルコール依存症の精神状態
酒なしではいられない依存・乱用や、平日でも朝から飲んでしまう勤務中にも飲む、きょうは飲まない、1〜2杯でやめようと思っても、飲み始めるととことん飲んでしまう、いつもはとても穏やかなのに酒が入ると人が変わったようになり、暴言を吐いたり暴力を振るう人もいます。ブラックアウトとは酒を飲んでいた間の記憶がまったくない状態です。
アルコール離脱症候群というのは、何らかの理由でお酒が飲めなくなってしまった場合に、けいれんやせん妄(意識が曇り、行動の異常を起こすこと)などが起きることです。幻視は自分の周りに小人がはっている、たくさんの虫がうごめいている、ということが多いようです。妄想としては嫉妬妄想が有名で、奥さんが知らないところで不倫をしているのではないかなど、現実にはないことを確信してしまうのです。また、長期に酒を飲んだ結果、末期にはアルコール性痴呆を起こすことがあります。
アルコール依存症の治療
大原則は完全な断酒です。アルコール依存症の患者さんが精神科にくると、今まで一升飲んでいたのを3合に減らせばいいでしょう、と取引を始めますが、これではなく完全に断酒してもらいます。さらに身体・精神・対人関係の問題ですから、専門的なアプローチを継続的に受け、周囲の人に断酒を宣言します。必要に応じて薬物療法を行います。抗酒剤を飲んでからアルコールを飲むと心臓がドキドキしたり吐き気がするなど悪酔いをしたような状態になるので、酒を飲まない手助けにします。ここまでが治療の柱ですが、合併するうつ病の治療や、家族関係の調整も大切です。
アルコール依存症は、「死」に至る病です
お酒を飲み続けることによって、脳のアルコール回路は強化されます。同時に、アルコールというドラッグはからだもむしばんでいきます。破壊されるのは肝臓だけではありません。アルコールは発がん物質でもあり、特に食道や大腸のがんのおもな原因はアルコールです。そのほか、痴呆、糖尿病、膵炎など、ほとんどあらゆる病気がアルコールによって起こされたり悪化したりします。このためアルコール依存症は早く死んだり、長い期間療養生活を送ることになりがちです。自殺や事故も高率です.。
日本は飲酒に対して寛容な社会です。ところがWHO・世界保健機関は、アルコールは覚せい剤や麻薬とならんで、社会に蔓延している問題だと指摘しています。アルコール依存症は身体、精神、対人関係を巻き込む病気だということを認識して、専門的な治療に結び付けて欲しいと思います。


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