統合失調症の症状

1)妄 想
妄想とは、誤った考えを、根拠もないのに確信している状態です。説得したり、誤りを証明して見せても、その考えを変えることはできません。

統合失調症では、被害妄想がよく見られます。誰かに見張られている、尾行されている、盗聴されている、自分の噂をされている、自分のことが放送されているといった内容のものです。

脳が腐っている、癌になっている、腸がとけているなどという身体に関する妄想もみられます。
妄想に対して、説得したり、間違いを証明して見せても、何の効果もありません。どのような考えを持っているかを、よく理解することが大事です。抗精神病薬が効果があります。

2)考えがまとまらなくなる
考え同士のつながりが悪くなり、何を言おうとしているのかが、わかりにくくなります。ひどくなると支離滅裂になり、何を言いたいのかさっぱり理解できなくなります。
考えが急に中断され、突然何も言わなくなることもあります。

3)幻 覚
私達は、外界のものを五感(視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚)で認識しています。五感を刺激するものがないのに、あるように知覚するのを幻覚と言います。

聞こえるはずのないものが聞こえるのが、幻聴です。統合失調症の幻覚では、もっとも多いものです。非難したり、命令したりする声が聞こえてきたりします。複数の人が自分のことを話し合っているのが聞こえることもあります。幻聴と会話することもあり、誰かと話している感じの独り言を言います。幻聴から被害妄想が生じることがあります。

見えるはずのないものが見えるのが、幻視です。統合失調症ではそんなに多くありません。
ご飯が、青酸カリの味がするなどというのは、幻味です。

身体を触られているというのは、幻触です。
体感幻覚と言って、脳が腐って溶けている、顎の骨が崩れていくなどという場合もあります。

4)行動障害
興奮して騒いだり、独り言を言ったり、おかしくもないのに笑ったり、あちこち歩き回ったりする事があります。

5)感情の動きが乏しくなる
 喜怒哀楽に乏しくなり、周囲に対して無関心になります。表情も乏しくなってきます。

6)意欲がなくなる
 やりたいという気が起きなくなり、一日中ごろごろして退屈を感じなくなります。

7)閉じこもりがちになる
 人間関係が少なくなり、自分の世界に閉じ込もって暮らします。家からほとんど出なくなったりします。

8)自分のことを自分でやっているという感じが無くなる
自分の考えや行動は、普通は、自分がやっていると思っています。また、頭で考えたことは、しゃべらない限り、他人に漏れる心配はありません。統合失調症では、この点でも問題が出ることがあります。下記のようなことです。

自分の考えが相手に分かってしまう(考想察知)・自分の考えが周囲に知れ渡っている(思考伝播)・考えが抜き取られる(思考奪取)・考えを入れられる(思考吹入)・自分の体験が他者によって操られている(させられ体験

9)仕事や学習能力の低下
仕事や学習の能力は、発病前に比べてかなり低下します。仕事の能率が落ちたり、学校での成績が下がったりします。病状が落ち着いてきて仕事を探す時には、自分の状態にあったものを探した方がいいと思います。



統合失調症の病型
1)破瓜型
20歳前後に徐々に発病します。活発だった人が、口数が少なくなり、閉じこもりがちになります。表情も乏しくなります。慢性の経過をたどります。
2)緊張型
破瓜型と同じく、20歳前後に急激に発病します。興奮して騒いだり、逆に回りの働きかけにも全く反応しなくなったりします。病状は活発ですが、治りやすいのが特徴です。
3)妄想型
破瓜型と同じく、20歳前後に急激に発病します。興奮して騒いだり、逆に回りの働きかけにも全く反応しなくなったりします。病状は活発ですが、治りやすいのが特徴です。

これらの型のほかに、症状があまり目だたない単純型、神経症や性格異常と区別しにくく境界例に近い偽(ぎ)神経症型あるいは偽性格異常型、そううつ病の症状が前景に出て非定型精神病に近い分裂・情動型、精神遅滞のうえに分裂病が発症した接枝分裂病などがあり、年齢層による分類も行われている。世界保健機関(WHO)の国際疾病分類(ICD)では、妄想型、破瓜型、緊張型、鑑別不能型(分類不能型)、分裂病後抑うつ、残遺型などに分けられている。

<予後>
経過と予後は、3分の1は治癒し(寛解という)、3分の1は悪化し、残り3分の1は一進一退を繰り返し、よいときは仕事を続けられるが、ときに入院あるいは外来で治療を行うといわれている。一般には、ときどき悪化するという波形の経過をたどるものが多い。

<治療>
今日では抗精神病薬療法が中心で、できるだけ外来通院で家庭や地域で治療する方法がとられており、やむをえないときに入院加療を行う。

精神面での支え(精神療法)や環境の調整も重要で、家族や学校、勤務先の協力が治療上欠かせない。なお、規則正しい生活に戻し、社会復帰を図るために、生活指導、生活技能訓練(SST)、集団精神療法、作業療法(各種の段階がある)、レクリエーション療法や芸術療法などが症状に応じて行われ、病院から直接自宅へ帰れない場合は、とりあえず社会復帰のための施設に入って指導を受けたり、自発性の回復、自立の援助のための試みがなされている。自宅にあっても、昼間に施設や病院で指導を受けるデイ・ケア療法が行われており、社会とつねに接触しながら治療するための早期退院、外来通院療法、社会復帰施設の利用、地域内での治療などが積極的に行われている。

統合失調症は原因不明の病気です。100人に1人くらいの割合で、かかる可能性があります。 遺伝についてははっきりしませんが、近親者では、発病率が高いといわれています。 20歳代での発病が多く、妄想型では30歳代に発病するものも少なくありません。 又、中高年にも見受けられ、年齢層的にも幅広い病態といえるでしょう。



統合失調症とは

考えや行動がまとまりのないものになります

「統合」とは、思考や行動、感情などを1つの目的に沿ってまとめていく能力のこと。
「失調」とは、一時的「調子をくずしているものの、回復の可能性があることを示しています。
つまり「統合失調症」とは、直接の原因がないのに考えや気持ちがまとめられなくなり、その状態が長くつづくこと。

そのため行動がぎくしゃくして困難や苦痛を感じ、回復には治療や援助が必要になる病態だといえます。しかし、目的に沿ってまとまった考えや行動がとれなくなることは、病気ではない健常者にもありえますし、うつ病や引きこもり、適応障害などの場合でも起こります。
 
そこで、診断を確定するために、幻覚や妄想(統合失調症の基本症状)などがあるかどうかで判断することもあります。

次に、おもな症状を、患者自身が訴えるもの、周囲の人がわかるもの、専門医がみてわかるものに分けて述べます。

患者自身が訴える症状は、幻聴や妄想を中心に、幻触、させられ体験(作為体験)、思考への影響体験、考想伝播(でんぱ)などがあげられる。幻聴には、だれもいないのに自分の言動を非難し批判する声が聞こえたり、自分の考えていることが声になって聞こえる思考化声があり、妄想には、病的な確信をもっていて周りの人が説得しても訂正不能であり、周囲のできごとに意味づけをする関係妄想、自分の地位・生命・財産が脅かされるという被害(迫害)妄想、心身の状況について病的に悩む心気妄想、大きなことをいう誇大妄想、連れ合いの不貞を確信する嫉妬(しっと)妄想などがある。させられ体験は、自分の考えや動作が他人により支配され操られていると感ずるもので、思考への影響体験は、自分の考えを抜き取られたり、他人から考えを入れられたりしていると感ずるものである。また考想伝播は、自分の考えが周囲に広まりわかってしまうと感ずるものである。

周囲からみてわかる症状は、話の筋(すじ)が乱れたり支離滅裂であり、表情の硬さ、冷たさ、ひとりごとやそら笑い、周囲にそぐわない感情の反応、周囲への無関心、ときにみられる緊張病性興奮、奇妙な症状、たとえばなんでも拒否する拒否症状、口をきかない緘黙(かんもく)症、拒食症、拒薬症やおうむ返しをする反響症状、同じことを繰り返す常同症、わざとらしくて奇妙な衒奇(げんき)症、とらされた姿態をとり続けるカタレプシーのほか、自分だけに通用する言語をつくる造語症や、なんでもいわれたとおりに行動する命令自動症などがある。また、進行した時期にみられるやる気のない(無為)状態もある。幻覚や妄想、させられ体験などを陽性症状、無為や不適切な感情反応などを陰性症状とよぶこともある。また、自ら病気であるという自覚がない(病識欠如)が挙げられます。

次のような症状・行動等があれば、ご相談ください。

●このごろ息子(娘)が部屋に閉じこもりっぱなしだ。
●他人が自分のことを悪く言っているとか、いろいろな命令される声が聞こえるという。
●わけもわからず暴力を振るうので、困っている。
●働きに行っても、職場になじめず、すぐやめてしまう。
●ときどき、理解できないことを言ったり、陰でくすくす笑う。
●精神科病院に連れていきたいけど、本人が行きたがらない。
●精神科病院で診てもらったけど、どうしても納得がいかない。
●長期の施設入所を考えたい。親亡き後を今から整備していきたい。
●精神科病院を変えたいが、具体的な方法がわからない。
●本人が精神科・心療内科病院から出された薬を飲もうとしない。
●精神科病院を退院したが全く外出できない。日常生活に支障がある。
●働きに出るが、少しと持たない。
●家族が精神病とお医者さんから診断された。家族としてなんとかしてあげたい。



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