Daidougei-Ajia-Geppou  ・発行・浅草雑芸団                          通巻294号 毎月1回発行    20165月1日発行

http://www.k4.dion.ne.jp/~daiajia                                      郵便振替=00100−3−749814  名義「上島敏昭」

■大道芸案内

主な大道芸スポット(土・日・祝日など、通年大道芸が見られるポイント)

■大阪・天保山海遊館広場    ■お台場・デックス東京ビーチ■クインズスクエア横浜at! www.studioeggs.com   ■名古屋・大須ふれあい広場

■ヨコハマ大道芸(山下公園、グランモール公園、ジャックモール)http://daidogei.jp/event 

■東京都ヘブンアーティストwww.seikatubunka.metro.tokyo.jp/bunka/   ■大阪パフォーマーライセンス http://www.osaka-performer.com/   

■江ノ島大道芸http://www.fujisawa-kanko.jp/alacarte.html   ■南町田グランベリーモールhttp://www.grandberrymall.com

■しずおか大道芸の街http://shimarukai.org/

★お知らせ

 浅草雑芸団・恒例7月の木馬亭公演、7月8日(金)、ゲストに伊勢万歳の村田清光社中。詳細は次号にて。

★浅草雑芸団の予定

  521日(土)・22日(日)両日とも1800以降:新宿西向天神社祭礼 ※21日は東京鹿躍りも出演

★今月の大道芸公演

△二子玉川花みず木フェスティバル2016   ○二子玉川(兵庫島公園、二子玉川公園)

4月29(金・祝)

△昭和の町・第4回大道芸祭 http://www.showanomachi.com/events/detail/5  ○豊後高田市・昭和ロマン館、ほか

  4月29(金・祝)

  パントマイムプロレス、渡辺あきら、パフォーマーKANA、大道芸人ひろと、Wazuma、ほか

△亀戸大道芸  https://www.facebook.com/kameidodaidougei  ○亀戸駅北口歩行者天国

  4月29(金・祝)/5月1(日)・3(火・祝)4(水・祝)  

  〈日替わり〉鷹島姫乃、鈴木拓矢、Asako、ミホウ☆万華鏡、ハードパンチャーしんのすけ、ちゅうサン、ほか

△キャナル・フリンジ・フェスティバル  http://canalcity.co.jp/news/event/1275  ○福岡市・キャナルシティ博多

  4月29(金・祝)〜5月5(木・祝)

  四川遂寧雑技団、THROW 2 CATCHCIRCUS CONCEPTS KAMIYAMAto R masion、望月ゆうさく、CLOWN LOTOMr.BunBun、ユキンコアキラ、タカシェンカ、GABEZ、池田洋介

△高円寺びっくり大道芸2016  http://www.koenji-daidogei.com/2016/   ○高円寺駅周辺

4月30(土)・5月1(日)

Fraser HooperThe English GentsBecky Hoops、中国雑技芸術団、Tokyo雑技京劇団、FUNNY BONESYUMIRKO、ゴールデンズfrom大駱駝艦、サンキュー手塚、ダメじゃん小出、加納真実、芸人まこと、しゅうちょう、チクリーノ、セクシーDAVINCI、知念大地、伊藤佑介、EPPAI&マサトモジャ、Performer SYO! 、コバヤシユウジ、エディー、Shivaizuma、ココナッツ山本、ミホウ、ひこひこ、ブラックエレファンツ、Cocochi-kitPere Jovanov、川島由美、松本かなこ、ボールド山田、StiltangoOkk、せせらぎ、MARS、ストレート松浦、ハッピーゴリラ、天河磨月、都愛ともか、ユキ、マユラ

△清水みなと大道芸2016 https://www.facebook.com/shimizu.minato.daidogei   ○静岡県清水市清水マリンパーク

5月3(火)〜5(木・祝)

〈3日間出演〉三雲いおり、 SEOPPI、〈3日〉雪竹太郎、KajaTEN-SHOW、ハンガーマン、桔梗ブラザーズ、 めりこ、ココナッツ山本、ほか〈4日〉Hi2、おじゃるず、TEN-SHOW、桔梗ブラザーズ、ダメじゃん小出、 サブリミット、ほか、〈5日〉シンクロニシティ、ムンドノーボぽこブヨ〜ダン、ダ

メじゃん小出、サブリミット、 パフォーマーてのひら、ひぃろ、idio2LAUGH and ROUGH、 ひこひこ、セクシーDAVINCI、ほか

△清水みなと大道芸2016グランドステージ「夢★芸一夜」 http://ark-soundshower.jp/events/20160505/  ○エスパルスドリームプラザ

5月5(木・祝)

三雲いおり、シンクロニシティ、ムンドノーボぽこブヨ〜ダン、ダメじゃん小出、ひぃろ、ひこひこ、パフォーマーてのひら、Polka DotsLAUGH and ROUGH、サブリミット、セクシーDAVINCIidio2SEOPPI

前売り¥1800(当日¥2000)ドリンク付き  販売:・チケットぴあhttp://t.pia.jp

問合せ:電話054−354−3360(エスパルスドリームプラザ)

△ふじのくに野外芸術フェスタ2016ストレンジシード http://festival-shizuoka.jp/event/strangeseed/ ○静岡市・駿府公園、ほか

●●●5月3(火・祝)〜5(木・祝)

カンパニーデラシネラ(4日、5日のみ)、FUKAIPRODUCE羽衣、CHAiroiPLIN、冨士山アネット、東京ELECTROCK STAIRSto R mansion、壱劇屋、サクノキ、うつしおみ、京本千恵美、バーバラ村田、チカパン、スイッチ総研

△大道芸inとよはし http://www.toyohashi-at.jp/event/performance.php?id=260   ○豊橋駅前、豊橋公園、広小路通り、ほか

  5月4(水・祝)・5(木・祝)

Fraser HooperThe English Gents、中国雑伎芸術団、YUMIRKO、ゴールデンズfrom大駱駝艦、加納真実、チクリーノ、マサトモジャ、Stiltango、和風大道芸万華鏡・ミホウ、ココナッツ山本、竹内 直 & Wagan brothers、大井貴司&なつ、ブラックエレファンツ、川島由美

△ヘブンアーティスト in 銀座  www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/bunka/  ○中央区銀座6〜8丁目・西銀座通り近く

  5月5(木・祝)14001630

  麻生十兵衛、アンザイノリエ、エディー、オルゴール人形オリーブ、Shiva、中国雑技芸術団、彦一団子、ヘルシー松田、ミヤム、 Tim Scanlan

MARKAMASISMonaural mini-Plug

TACTFESTIVAL2016  http://www.geigeki.jp/   東京芸術劇場

  5月5(木・祝)〜8(日)

  ソラス・デ・ヴェント「空飛ぶ男たち」(各日1330

  カンパニー・レ・ギューム「ストイック」(5日・7日、8日=1600、6日=1100

  カンパニー・ドゥッシュドゥッスゥ「Linea(リネア)− ダンシングロープ!」(5日=18006日=1600、7日・8日=1100

  劇団コープス 「ひつじ」(5日・6日=1445)/「キャンプしましょう!おひめさま」(6日・7日=1445

  ¥2000(高校生以下¥1000)2演目セット¥3500(高校生以下¥1500) 3演目セット¥4800(高校生以下¥1800)

  申込み:電話0570−010−296(東京芸術劇場ボックスオフィス)

△京楽座「をぐり考・照手と小栗の恋」   ○川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場(小田急「新百合ケ丘」駅下車)

  5月7(土)1700 /8(日)1400  http://www.d3.dion.ne.jp/~kyorakuz/index2.htm 

  〈作・演出〉ふじたあさや、〈音楽〉平井澄子

  出演:中西和久 演奏:高橋明邦、田原順子、設楽瞬山、早川智子

  ¥3500(学生¥2000)

  問合せ:電話044−952−5024(しんゆり芸術祭2016実行委員会)

△空転劇場vol.6  http://ameblo.jp/kuutenkidou/theme-10089030659.html    ○浅草東洋館(浅草演芸ホール4F

  5月10(火)1830(開場30分前)

  桔梗ブラザース、Naoto、ふくろこうじ、渡邊翼、performer Kay、荒木直人、furtner(aki/ヌオー)MC:目黒陽介&小林智裕

  前売り¥2500(当日¥3000) 学生は500円引き

  問合せ:電話 050−5885−3684 kuutentheater@gmail.com

△ふくやま大道芸2016 http://fukuyama-daidogei.com/  ○福山駅前、中央公園、ばら公園ほか

  5月14(土)・15(日)

  浪花騒道屋HIX、CHIKI、大道芸人ひろと、ミスターバード、スピニングマスターズ、NaotoPLE-MIX、Mr.↓ Yu↑、木下洸希、大道芸人ジーニー、わくわくブーブ、大道芸人たいち、Power Spot YUURI、くす田くす博、ぱわぁ、ほか

△ひたち国際大道芸2016 http://www.civic.jp/center/ 

  5月14(土)JR日立駅エリア(まいもーる、パティオモール、日立駅前広場、日立シビックセンター新都市広場ほか)

5月15(日)JR常陸多賀駅エリア(駅前通り、よかっぺ通り、すずらん通り、あんず並木通り、多賀市民プラザ広場 、多賀駅前広場)

Fraser HooperThe English Gents、中国雑技芸術団、FUNNY BONESYUMIRKONao&Wagan Trio、ゴールデンズfrom大駱駝艦、サンキュー手塚、加納真実、ダメじゃん小出、芸人まこと、セクシーDAVINCI、知念大地、チクリーノ、EPPAI&マサトモジャ、ユキンコアキラ、和風大道芸万華鏡・ミホウ、サクノキ、ココナッツ山本、エディー、izuma、ボールド山田、ブラックエレファンツ、Cocochi-kitLuminousStiltangoOkk

△東京ソラマチ大道芸フェスティバル http://www.tokyo-solamachi.jp/new/event/  ○東京スカイツリータウン

  514(土)・15(日)

  丸一仙翁社中、セ三味ストリート、伊藤佑介、MJ COOL、バルーンパフォーマーSyanidio2、しょぎょーむじょーブラザーズ、ZANGEMu-RA、三雲いおり、ボンバングー、ながめくらしつ、Mr.アパッチ、SEOPPIStreet Entertainer RYUJuggler Laby、おこたんぺ、to R mansion、パフォーマーLOTOGABEZ、ふくろこうじ、ペッピ・ザ・クラウン、縄★レンジャー、 wittylook、サブリミット、山本光洋、バーバラ村田、un-pashiva、ふるえんぷてぃ ぷちっ。、HIBIChazz-K、栗ちゃんのパントマイムのみんな、アトリエアリス、ほか

△ダメじゃん小出の黒く塗れ! Vol.29   ○横浜のにぎわい座

  5月20(金)1900

  \2000

  申込み: 045−231−2515(横浜にぎわい座)

△第23回若松若太夫説経節独演会  ○板橋区郷土伝承館(板橋区徳丸6-29-13

  5月21(土)1300開演

  〈演目〉一谷嫩軍記・熊谷敦盛武門誉の段、姫車近江八景・照手姫車引の段

  入場無料

  問合せ:03−3558−4222(青木)/04−2954−5990(小峰)

△深川美楽市大道芸  ○深川江戸資料館通り

  5月22(日)

△東北の神楽 国立劇場第21回特別企画  http://www.ntj.jac.go.jp/bunraku.html   ○国立文楽劇場(大阪市中央区日本橋)

  5月28(土)1300 & 1630

  雄勝法印神楽(宮城県石巻市) 黒森神楽(岩手県宮古市)

  ¥4300(学生¥3000)、昼夜セット料金¥7500

  申込み:0570−07−9900(国立劇場チケットセンター) 03−3230−3000(一部IP電話等)

 

若林正の

食って極楽

又カレー!

〜池袋「火星カレー」

前回に続き今回も面白くて、んまいカレーのお店。 TVのバラエティを見ていると、西池袋のカレー屋が登場し、店名のインパクトが強くて頭に残った。その名も「火星カレー」。ちょうど芸術劇場で友人の芝居を見ることになっていたので、行ってみるかとなったのである。

一時半過ぎに入店。昼時を過ぎて空いていた。ビル地下の店は、小さいテーブルにカウンターで十人しか入らない。早速券売機で食券購入。ここは牛、豚、鳥の一般的カレーの他に、羊、鹿、鴨等珍しい肉を使ったカレーが売り物。各々の肉をトッピングもできる。私は羊カレーに鹿(1080円+400円)。女房は鹿カレーに草(1080円+100円)。ちなみに草とはホーレンソウのバター炒めのことで、結構な値段と思いきや、基本の火星カレーは680円!しかも大盛り700グラムまでOKだから安いのでは。

さてお味は? 見た目ドライカレーで玉ねぎやミンチたっぷり。スパイスの使い方がカレーというか中近東の料理みたい。しかしパンチの効いた独特の風味で、とてもいい。上にトッピングされた肉も、各々に味付けされて柔らかい。今回健康を考えて中盛り(450グラム)にしたが、肉のボリュームもあり満足。昼夜の営業だがルー売り切れで閉店のため、夜は早い時間で閉めることもあるらしい。又味わいたいと思うほど中毒性がある。是非一度‼。

○次は大盛りでということは

女房にナイショ度=9ワカ

 

大道芸・見たり・聞いたり・演じたり

☆その294

横井弘三の世界展

上島敏昭

 

 横井弘三(1889-1966)という画家の回顧展が4月17日から6月5日まで、練馬区立美術館でおこなわれている。

横井弘三といっても、知っている人は、それほど多くはないだろう。

 私がこの名前を知ったのは、『露店研究』の著者として、だった。この本は、見世物や大道芸の研究書としては、最初期の出版物で、日本の大道芸を研究するうえで基礎資料のひとつである。昭和6年、出版タイムス社より刊行されている。

 昭和初期の大道芸の本として最も有名なのが、朝倉無声『見世物研究』で、昭和3年、春陽堂から出版されている。しかし、その前年の昭和2年にはすでに『変態見世物史』(藤沢衛彦著、文芸資料研究会)が出ており、昭和5年には『香具師奥義書』(和田信義著、文芸市場社)、翌6年には、この『露店研究』と、数年間に、この世界に焦点をあてた本が、立て続けに出ている。

つまりこの時代、昭和の始めという時期は、大道芸や見世物に人々の関心が高まっていたのである。では、この『露店研究』という本は、どんな経緯で書かれたのか。その巻末に著者は次のように書いている。

 

元々、小生は、洋画家であり、雲水的精神で、露店を始めたに過ぎず、長い経験はないので、大言壮語は出来ません。ジプシー的生活者ですから、いつ露店を止めるかわかりませんが自分の短い経験を基礎として、今後露店を始められんとする方々の参考までに本書を編んだ次第であります。

 

本書を読むと、神農氏についての伝承や香具師の隠語、海外の露店事情なども記されているが、著者がほんとうに書きたかったのは、露店をはじめようという人へのガイドともいうべきものだったことがわかる。

当時、世界中が不景気に陥り、日本でもおびただしい失業者がうまれていた。そしてその失業者が職を求めて地方から大都市に流れ込んで社会問題となっていた。そこで警視庁ではその救済策として「都下幾万の失業者の為に、数十ヶ所の臨時露店の開設を許可」した。そのため、だれでも警察に申請すれば露店を出すことができるようになった。しかし旧来からの露店商、いわゆる香具師(テキヤ)組織もあり、彼らと警察に許可された素人たちとの間に軋轢を生み出した。横井は、もちろん素人からの業者だが、香具師を敵視するのではなく、両者ともに協力して「真面目な立派な商人として益々発達しよう」と、この本で訴えている。つまりこの本は、研究書でも単なる出店ガイドでもなく、対立する集団を団結させるべき指針として書かれたのである。著者は驚くほど真面目な人だ。

 

 繰り返すが、昭和初期、警察は失業対策として、露店営業を斡旋していた。現在、警察は香具師を暴力団と決め付けて目の敵にしていることを考えると、隔世の感がある。そうした時代があった事実を記してあるだけでも、この本は価値がある。

 

この展覧会の図録に載っている年譜をみると、横井が露店をはじめたのは昭和5年4月、41歳のときである。まず「愛本堂」の屋号でリヤカーを引いて古書の巡回販売をはじめた。翌月、五反田の目黒川沿い商店街に古本の夜店を出した。それからわずか一年ぐらいでこの本を書いている。この本の巻頭で、本書は露店の「満一年の修業作文である。決して卒業論文ではない」と書いているように、たしかに研究書としての踏み込みは、深いとはいえないかもしれない。この本の眼目は研究ではなく露店は「誰でもできるからやってみなさい」と啓発するところである。著者自身、この商売が面白かったのだろう。戦争が激しくなる昭和18年まで露店を続けていたようだ。

 

今回の展覧会のチラシには「没後50年 日本のルソー」とのコピーがついている。アンリ・ルソー(1844 1910)はフランスの画家で、素朴派といわれるようだ。職業としては外交官を勤め上げ、余暇に絵を描いたことで知られる。横井も自分のことを「素人画家」と記していて、食うための営みとして絵を描くことを嫌っていた。

横井は1889年、長野県飯田町(現飯田市)生まれ。3歳のとき一家で上京。早稲田大中退。絵画の専門教育は受けていない。大正3年、第一回二科展を見て感動して画家になる。官展にはない民衆的な気風を感じたのだ。翌年の二科展に応募して、有望若手画家に贈られる「樗牛賞」を受賞する。

さらに翌年(大正5年、27歳)には優秀作に与えられる二科賞を、東郷青児、石井鶴三とともに受賞する。二科展の創立者でもあった石井拍亭は横井を「素人画の稚拙さを保っている」と評しており、そのころからアンリ・ルソーと引き比べられていたようだ。横井は前途有望な画家であった。

横井の画業が変化するのは、関東大震災の後のことである。横井は震災で被害にあった子供たちを慰めるために、おもちゃなどを画題とした絵を小学校に寄付した。東京中の小学校に贈るつもりであった。「売名行為」だと非難するものもあったが、横井はこの活動を続ける。そして、それらのうち11枚を〈復興児童に贈る絵〉と題して額に納めて二科展に出品しようと事務局に送った。ところが理由もなく送り返されてきた。理由を聞いても説明がなかったようだ。この事件から二科展に疑問を覚え、二科展から離れ、これ以後は、既成の画壇に距離をおいた活動をつづけることになる。

露店商をしていたのはこの時期である。また、文筆にも長けていたらしく、この『露店研究』以外にも、一般書の著作を残している。ちなみに国会図書館に所蔵されている本を列記すると、つぎのようになる。

『油絵独歩記』実業之日本社、大正11

『大愚』春鳥会、大正14

『油絵の手ほどき』博文館、大正15

『東京近海島の写生紀行』博文館、昭和3年

『楽しきスケッチ画法』博文館、昭和4

『童話のお蔵 』 新日の本子供文庫 6 

北信書房、昭和21

『油絵の描方秘法』信友社、昭和25

『セガンチニー 〜アルプスの画聖』

信友社、昭和28

 ほかに、宮沢賢治の童話を絵本にしたものに絵を描いている。なかでも昭和16年、羽田書店から出版された『グスコーブドリの伝記』は、本人も力を入れて描いたし、評判もよかったようだ。そのなかに描かれていた、見世物風景の絵が、本展覧会の絵葉書になっていたので買ってきた。

 「世界一の怪物 空気獣!!!」と題された看板を前に呼び込んでいる見世物小屋入口の絵で、なかなか風情がある。

露店商だけでなく創作玩具も作っていたようで、「オモチャン会」という創作オモチャの会を結成して百貨店で展示会をおこなったりもしている。

 

露店の古本屋の店を閉めたのち、昭和19年に長野市に一家で転居して、昭和41年(1966)に亡くなるまで、そこで暮らした。もっとも一人であちこちへ絵を描きに行っていて各地で描かれた絵が残っている。なかでも広島県は一年以上滞在していたようだし、長野県中を描いてもいる。ほんとうに「ジプシー的生活」をしていたようだ。

結局、中央の画壇では生涯認められることはなかったといっていいだろう。

おそらく再評価のきっかけとなったのは、飯沢匡の『脱俗の画家・横井弘三の生涯』(筑摩書房、1976年)という本が出たことだと思う。飯沢はその前に『乞食円空』(筑摩書房、1973年)という本で、江戸時代の旅の彫刻家・円空を紹介して、ちょっとした円空ブームを作っていた。円空と横井とでは時代はまったく異なるが、旅に暮らし、作品を商品と考えていなかったところなどは、よく似ている。そのあたりからじわじわと再評価の機運が高まったのだと思う。

絵画業界内での評価はともかく、長野市の人々にはほんとうに愛されたようで、多くの家にその作品が残されており、家人は横井と交流とともに懐かしく覚えている。そうした思い出を記した本もでている。

露店と絵画というのが矛盾なく両立しているようで、とても気持ちのいい展覧会であった。