静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー

静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー
Forest Of Tranquilness

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ディスコグラフィ

Evoken

「Shades Of Night Descending」  1994年 (1996年) ミニ・アルバム
「Embrace The Emptiness」  1998年 (2006年) 1st アルバム
「Quietus」  2001年 2nd アルバム
「Antithesis Of Light」  2005年 3rd アルバム
「A Caress Of The Void」  2007年 4th アルバム

Evoken
Shades Of Night Descending

Evoken: Shades Of Night Descending ・ ミニ・アルバム
・ Doom / Death
・ 1994年 (1996年) アメリカ
・ Adipocere Records / CD AR 031 27361-69992
・ 評価 06/10 ■■■■■■□□□□

John Paradiso ヴォーカル / ギター
Nick Orlando ギター
Bill Manley ベース
Vince Verkay ドラム
Evoken / Tim Carlin / Matt Lane プロデュース

01. Intro  02' 26"
02. In Graven Image  08' 05"
03. Shades Of Night Descending  08' 33"
04. Towers Of Frozen Dusk  06' 17"
05. Into The Autumn Shade  09' 07"

Total Running Time  34' 28"

1994年に自主制作されたデモ音源が、1996年に Adipocere Records からジャケット変更の上、正式にリリースされた。全5曲からなるデビュー・ミニ・アルバム。バンド名 「Evoken」 はフィンランドの葬式ドゥームの原石 Thergothon のデモ音源 「Fhtagn-Nagh Yog-Sothoth」 (1991年 / 1999年) 所収の第2曲からとられている。そのためフューネラル・ドゥームと見なされがちだが、とくにドラムの手数は多く、デス・メタルからの影響が色濃い。洞穴の底から響いてくるような重低音による導入曲 (第1曲) からはじまり、すべては暗黒の世界に閉ざされている。極端な遅重、陰鬱、長尺はマニアにはたまらないだろう。ギターによるクリアな音色のオブリガートが効果的だが、安直な叙情性は排除されている。きわめて音質が悪いので、世界観に共感できないとはじめは厳しいかもしれない。第5曲は Thergothon の向こうを張ったフューネラル・ドゥーム・ナンバー。

Evoken
Embrace The Emptiness

Evoken: Embrace The Emptiness ・ 1st アルバム
・ Doom / Death
・ 1998年 (2006年) アメリカ
・ Elegy Records / SP 008-06
・ 評価 06/10 ■■■■■■□□□□

John Paradiso ヴォーカル / ギター
Nick Orlando ギター
Steve Moran ベース
Vince Verkay ドラム
Dario Derna キーボード

01. Intro  03' 24"
02. Tragedy Eternal  09' 51"
03. Chime The Centuries End  09' 45"
04. Lost Kingdom Of Darkness  11' 51"
05. Ascend Into The Maelstrom  09' 52"
06. To Sleep Eternally  12' 48"
07. Curse The Sunrise  12' 57"

Total Running Time  70' 31"

1998年リリースのアルバム第1作が2006年、ジャケット変更の上、再リリースされた。ベースのビル・マンレイが Bill Manley スティーヴ・モランに交代している。 デビュー作となる前作、 5曲入りミニ・アルバム 「Shades Of Night Descending」 (1994年 / 1996年) の延長上にある独自のフューネラル・ドゥームを提示する。 どの曲も一聴したくらいではちがいがわからないほどに様式化されており、スタイルはデビュー当時から確立されている。 遅重・長尺進行は当然として、ほとんど激高せず、つぶやきつづけるデス声、したたり落ちるようなクリーン・ギターの響き、 奈落につながっているかと思えるほど深いリバーヴ効果、 たゆたうキーボードなど、バンドが生来そなえているエッセンスがつまっている。また独特な晦渋、韜晦をあわせもち、うかつに近づくと触れた箇所から邪悪な 「なにか」 に浸食されそうな不気味さ、危険さをもつ。それゆえに界隈の評価も高い。

Evoken
Quietus

Evoken: Quietus ・ 2nd アルバム
・ Doom / Death
・ 2001年 アメリカ
・ Dwell Records / CD-1063
・ 評価 06/10 ■■■■■■□□□□

John Paradiso ヴォーカル / ギター
Nick Orlando ギター
Steve Moran ベース
Vince Verkay ドラム
Dario Derna キーボード
Evoken / Ron Thal プロデュース

01. In Pestilence, Burning  08' 42"
02. Withering Indignation  08' 55"
03. Tending The Dire Hatred  07' 11"
04. Where Ghosts Fall Silent  10' 42"
05. Quietus  10' 48"
06. Embrance The Emptiness  12' 55"
07. Atrementous Journey  04' 14"

Total Running Time  63' 29"

2001年、Dwell Records から発表されたアルバム第2作。 スタジオでの録音は1999年10〜11月にかけておこなわれているので、リリースまでしばらく待たされたことになる。 暗、遅、重を体現するフューネラル・ドゥームのジャンルに属しながら、葬送一辺倒ではない間口の広さをもつバンドだ。 鬱々としたリフ、シンセサイザーによるシンフォニックな色彩、フューネラル陣にしてはめずらしく手数の多いドラミング、クリーン・ギターのしたたり落ちるようなオブリガートが起伏なく進行するなかを、おし殺したデス声が終末を語りつづける。本作はリバーヴ効果が過剰で、荘厳ではあるがすべての音が背景に隠れてしまって焦点が定まらない。 サウンド・プロダクションの失敗といえるかもしれない。第3曲は初期 Cathedral のメタル・リフと、 ゴシックふうの部分を組みあわせた秀曲。フェードアウトする後奏 (第7曲) もよい。本編よりもその後の展開が気になった。

追記: ジャケット絵はどこかで見たような印象だったが、スティーヴン・オマリー Stephen O'Malley ( Thorr's Hammer / Burning Witch / Khanate / Sunn O))) / Teeth Of Lions Rule The Divine ) がデザインを担当した。

Evoken
Antithesis Of Light

Evoken: Antithesis Of Light ・ 3rd アルバム
・ Doom / Death
・ 2005年 アメリカ
・ Avantgarde Music / AV084 CD
・ 評価 07/10 ■■■■■■■□□□

John Paradiso ヴォーカル / ギター / ベース
Nick Orlando ギター
Vince Verkay ドラム
Denny Hahn キーボード
Evoken / Bumblefoot プロデュース

01. Intro  00' 49"
02. In Solitary Ruin  10' 45"
03. Accursed Premonition  12' 33"
04. The Mournful Refusal  13' 30"
05. Pavor Nocturnus  10' 47"
06. Antithesis Of Light  12' 17"
07. The Last Of Vitality  11' 00"

Total Running Time  71' 41"

2001年から2004年に書きおろされた全7曲のアルバム第3作。ベーシストのスティーヴ・モラン Steve Moran が脱退し、交代メンバー不在のままヴォーカルのジョン・パラディソがベースを担当している。ほかにキーボード奏者ダリオ・デルナ Dario Derna がデニー・ハーンに交代した。救いのない暗黒地獄に70分以上にわたり拘束される覚悟が必要。聴き手のまわりには腐敗した死体と骸骨がまとわりつく。死神とおぼしきデス声が絶望を叫ぶ。ただし声質は極端に深くないので、内臓がめくり返されるような不快感はない。たゆたうキーボード音はさながら行き場のない人魂、あるいは亡霊たちの声か。端的に恐怖を感じさせる音楽だ。荘厳なキーボード奏をイントロにおいたアルバム・タイトル曲 「Antithesis Light」 (第6曲) は、もっとも説得力に富む。澄んだ音のギターによるオブリガートが特徴的であり、すでに独自の音像を確立している。

Evoken
A Caress Of The Void

Evoken: A Caress Of The Void ・ 4th アルバム
・ Doom / Death
・ 2007年 アメリカ
・ I Hate Records / IHR CD 031
・ 評価 07/10 ■■■■■■■□□□

John Paradiso ヴォーカル / ギター / キーボード
Nick Orlando ギター / キーボード
Craig Pillard ベース / キーボード
Vince Verkay ドラム

01. A Caress Of The Void  08' 52"
02. Mare Erythraeum  07' 19"
03. Of Purest Absolution  07' 46"
04. Astray In Eternal Night  08' 37"
05. Descend The Lifeless Womb  09' 12"
06. Suffer A Martyr's Trial ( Procession At Dusk )  13' 46"
07. Orogeny  06' 06"

Total Running Time  61' 41"

2007年にリリースされたアルバム第4作。クレイグ・ピラードは本作からメンバーにくわわったベース奏者だ。キーボードのデニー・ハーン Denny Hahn は脱退。代表作となった前作 「Antithesis Of Light」 (2005年) でバンドの音を確立させるために多大な貢献をしたと思えるハーンがぬけてしまった穴は大きい。 新しいメンバーは入れず、従来の面めんがキーボードを分担しているが、パートの役割は副次的なものになった。巨大な残響と、それに相反しない密度をそなえたサウンドには、前作の成功を踏まえたバンドの自信、確信が感じられる。圧縮されたドラムのアタックはいままでになく攻撃的だ。作風はアルバム第2作 (2001年) に近い。 第1・4曲といった Evoken らしい遅重葬送曲ほか、とりわけふたつのコード、最小限のリフのみをもちいて静から動へ劇的に盛りあがるインスト (第2曲) が強烈な印象を残す。パートの重ねかたも堂に入ってきた。

・ 未聴作品
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・ 公式 Web
http://www.evoken.com/

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