静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー

静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー
Forest Of Tranquilness

Doom / Stoner / Sludge-Core Rock Site

ディスコグラフィ

High On Fire

「The Art Of Self-Defense」  2000年 1st アルバム
「Surrounded By Thieves」  2002年 2nd アルバム
「Blessed Black Wings」  2004年 3rd アルバム
「Live From The Relapse Contamination Festival」  2004年 (2009年) ライヴ・アルバム
「Death Is This Communion」  2007年 4th アルバム
「Snakes For The Divine」  2010年 5th アルバム

High On Fire
The Art Of Self-Defense

High On Fire: The Art Of Self-Defense ・ 1st アルバム
・ Doom / Sludge
・ 2000年 アメリカ
・ Tee Pee Records / TP-038CD
・ 評価 10+/10 ■■■■■■■■■■ 必聴盤

Matt Pike ヴォーカル / ギター  - Asbestosdeath - Sleep
George Rice ベース
Des Kensel ドラム
Billy Anderson プロデュース

01. Baghdad  05' 15"
02. 10,000 Years  07' 53"
03. Blood From Zion  04' 55"
04. Last  06' 36"
05. Fireface  08' 35"
06. Master Of Fists  10' 04"
07. Steel Shoe *  04' 32"
08. The Usurper *  03' 49"

Total Running Time  51' 41"
* Bonus Track

ストーナー神 Sleep でギターを弾いていたマット・パイクが、バンド解散後につくりあげた超重低音・爆裂ロック。単音でゴリゴリと進む、あるいは変拍子と奇怪な音程を偏愛する、のたくたした激重リフにモノをいわせた豪腕ヘヴィ・ロックだ。Sleep 期とリフに大きな変化があるわけではない。しかし音楽性は大きく異なっている。グルーヴ重視とは決別し、パンク / ハード・コアに根をはった攻撃性をむきだしにして、押しつけがましいほどの圧殺ロックを繰りひろげている。すべての拍をドラムで埋めつくす気迫で叩きまくる、デス・ケンセルのドラム・センスはきわめて個性的だ。重戦車のようなドラミングについては、聴き手の好悪がはっきりわかれるだろう。第2曲 「10,000 Years」、第6曲 「Master Of Fists」 はスラッジ・ドゥームの超名曲。バンドは本作以降、すこしずつスラッシュ・メタルのような爆走傾向に発展していった。

High On Fire
Surrounded By Thieves

High On Fire: Surrounded By Thieves ・ 2nd アルバム
・ Doom / Sludge
・ 2002年 アメリカ
・ Ritual Records / HWCY-1105
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Matt Pike ヴォーカル / ギター  - Asbestosdeath - Sleep
George Rice ベース
Des Kensel ドラム
Billy Anderson / High On Fire プロデュース

01. Eyes & Teeth  05' 03"
02. Hung, Drawn And Quartered  04' 27"
03. Speedwolf  04' 36"
04. The Yeti  07' 08"
05. Nemesis  03' 34"
06. Thraft Of Caanan  08' 07"
07. Surrounded By Thieves  04' 20"
08. Razor Hoof  03' 26"

Total Running Time  44' 58"

デビュー・アルバムから2年間をおいて発表されたアルバム2作め。制作布陣はそのままひき継がれた。前作 「The Art Of Self-Defense」 (2000年) の攻撃性、衝動性、突進性、爆裂度をさらにつきつめ、アルバムのコンセプトである野蛮な獣人軍団のように音楽が野性化している。ロック本来の姿をなかばやけくそ気味にぶちまけた作品だ。ギターのマット・パイクはバンドをスタートするにあたって Sleep 期の酩酊グルーヴと決別したが、前作はまだその延長上にある曲もふくまれていた。しかし本作では完全に、あたらしいスタイルのスラッジ・ドゥーム・サウンドとバンドの個性を確立したといってよい。ただし各曲のインパクトとしては、前作のほうが上か? くわえて1音か2音を繰りかえすシンプルなリフよりも、「The Yeti」 (第4曲) のように、ズルズルと息の長い泥濘リフのほうが筆者の好みにはあう。

High On Fire
Blessed Black Wings

High On Fire: Blessed Black Wings ・ 3rd アルバム
・ Doom / Sludge
・ 2004年 アメリカ
・ Relapse Records / RR 6620-2
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Matt Pike ヴォーカル / ギター  - Asbestosdeath - Sleep
Joe Preston ベース   - Earth - Melvins - Sunn O)))
Des Kensel ドラム
Steve Albini / High On Fire プロデュース

01. Devilution  04' 46"
02. The Face Of Oblivion  06' 36"
03. Brother In The Wind  05' 41"
04. Cometh Down Hessian  05' 15"
05. Blessed Black Wings  07' 43"
06. Anointing Of Seer  05' 40"
07. To Cross The Bridge  07' 21"
08. Silver Back  03' 14"
09. Sons Of Thunder  07' 13"

Total Running Time  53' 31"

アルバム第3作。ベースのジョージ・ライス George Rice にかわり、もと Melvins のジョー・プレストンが加入した。時間のすべてを爆音で埋めつくそうという気迫のこもる重ロックを聴かせる。攻撃性はさらに加速し、スラッシュ・メタルの様相を呈してきた。しかし、ラフな音像と荒ぶるグルーヴが純メタルとは一線を画している。手数が多く、すべてのパーツが大砲の集中砲火のように鳴るデス・ケンセルの独特なドラミングは、いやがうえにもバンドの個性を決定づけている。ギターのマット・パイクが兼任するヴォーカルも成長をみせ、これまでは使ってこなかった高音域まで挑戦をみせる。アルペジオ奏法がポイント。激重リフとの対照を印象づけるアイディアだ。アルバム・タイトル曲である 「Blessed Black Wings」 (第5曲) は本作の白眉。凝った構成、わかりやすいサビ、のたくたとうねるリフと重戦車と化したドラミングの一体感がたまらない。

High On Fire
Live From The Relapse Contamination Festival

High On Fire: Live From The Relapse Contamination Festival ・ ライヴ・アルバム
・ Doom / Sludge
・ 2004年 / 2009年 アメリカ
・ Relapse Records / YSCY-1131
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Matt Pike ヴォーカル / ギター  - Asbestosdeath - Sleep
George Rice ベース
Des Kensel ドラム

01. Blood From Zion  05' 00"
02. To Cross The Bridge  05' 43"
03. Nemesis  03' 38"
04. Razorhoof  02' 45"
05. Speedwolf  04' 30"
06. Eyes & Teeth  04' 13"
07. Hung, Drawn & Quartered  04' 17"
08. Witching Hour  03' 46"

Total Running Time  33' 56"

2004年に初版がリリースされ、2年後の2006年、さらに2009年に再発されたバンド唯一のライヴ・アルバム。所属レーベル Relapse Records が主催する 「Contamination Festival 2003」 に出演した際のライヴ音源全8曲がおさめられている。ライヴは2003年1月19日に、カリフォルニアの 「Trocadero Theatre」 でおこなわれている。演目はすべてバンドが真のスタイルを確立させた第2、3アルバムからえらばれている (レーベルの冠公演であれば、それもあたりまえだが)。 解きはなたれた野獣のような勢いがすさまじい。もはや聴いているのはノイズなのか、曲なのかわからないくらいだが、張りつめた緊張感がどの曲からも伝わってくる。 思うにマット・パイクは、音と精神が不可分に直結した音楽的自然児なのだ。34分弱の尺はもの足りないくらいだが、「あとはライヴで」 というセールス・メッセージでもあるのだろう。第8曲は Venom のカヴァー・ナンバー。

High On Fire
Death Is This Communion

High On Fire: Death Is This Communion High On Fire: Bonus DVD ・ 4th アルバム
・ Doom / Sludge
・ 2007年 アメリカ
・ Relapse Records / YSCY1086
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Matt Pike ヴォーカル / ギター  - Asbestosdeath - Sleep
Jeff Matz ベース
Des Kensel ドラム
Jack Endino / High On Fire プロデュース

01. Fury Whip  06' 14"
02. Waste Of Tiamat  05' 44"
03. Death Is This Communion  08' 34"
04. Khanrad's Wall  02' 26"
05. Turk  05' 03"
06. Headhunter  01' 23"
07. Rumors Of War  02' 51"
08. Dii  03' 45"
09. Cyclopian Scape  07' 29"
10. Ethereal  06' 56"
11. Return To Nod  06' 17"

Total Running Time  56' 46"

[ Bonus DVD ]
01. Devilution
02. Hung, Drawn And Quartered
03. Cometh Down Hessian ( Live )

Total Running Time  13' 55"

2007年にリリースされたアルバム第4作。ベーシストのジョー・プレストン Joe Preston は1作のみで脱退し、後任にジェフ・マッツが加入した。アルバム第3作 「Blessed Black Wings」 (2004年) では歌手としての成長を感じさせ、その後の展開を期待させたマット・パイクだったが、本作では歌詞を吐きすてるスタイルが強調されている。第一に重厚さと攻撃性、聴覚を蹂躙する轟音に焦点のあてられた作品だ。中近東の砂漠を彷彿とさせる器楽曲 「Khanrad's Wall」 (第4曲) をはさんで以降、唯一サビらしいメロディを有した第5曲 「Turk」 から第7曲 「Rumors Of War」 までつづくドラムの乱打とリフのコンビネーションを聴くと、完膚なきまでに叩きのめされる虚脱感が味わえる。前時代的大仰さのインスト (第8曲) やパッチワーク的な第9曲は蛇足だが、とくに後半はマットのメタル受容がうかがわれて興味ぶかい。遅重偏愛、爆走嫌いはスルーして問題なし。

追記: 右ジャケットはアルバム購入時についてきたボーナスDVD (非売品) で、アルバム第3作 「Blessed Black Wings」 (2004年) から 「Devilution」 のミュージック・ビデオと、 「Cometh Down Hessian」 のライヴ演奏 (これがとんでもなくひどい録音)、アルバム第2作 「Surrounded By Thieves」 (2002年) から、生演奏の映像と豊富なプライベート写真で構成された 「Hung, Drawn And Quartered」 のクリップ3点を収録。

High On Fire
Snakes For The Divine

High On Fire: Snakes For The Divine ・ 5th アルバム
・ Doom / Sludge
・ 2010年 アメリカ
・ Victor Entertainment / VICP 64800
・ 評価 07/10 ■■■■■■■□□□

Matt Pike ヴォーカル / ギター  - Asbestosdeath - Sleep
Jeff Matz ベース
Des Kensel ドラム
Greg Fidelman プロデュース

01. Snakes For The Divine  08' 23"
02. Frost Hammer  06' 07"
03. Bastard Samurai  06' 37"
04. Ghost Neck  05' 01"
05. The Path  01' 20"
06. Fire, Flood & Plague  06' 08"
07. How Dark We Pray  08' 06"
08. Holy Flames Of The Fire Spitter  04' 13"
09. Mystery Of Helm *  03' 58"

Total Running Time  49' 57"
* Bonus Track

アルバム第5作。 獣性をむきだしにした蹂躙系メタルの傾向はこれまでとかわらないが、聴きおわったあとの印象がずいぶん異なる。ひと言でいうと、ふつうのメタルらしくなった。 最大の原因はデス・ケンセルのドラミングの変化だと思われる。 すべての時間を打撃で埋めつくす方法論は同一だが、高速を旨とするドラマーならふつうにたたくフレーズが数多く聴かれるのだ。ドカドカいうバス・ドラムで敷きつめられた拍節の上に、拍頭に入るスネアが押しまくるか、もしくは拍のうらに入って2ビートで疾駆するか、どちらかとなる。 この単純さは両刃の剣であり、わかりやすさ・とっつきやすさにつながるかわりに、古色蒼然に思えたりもするだろう。 筆者は退潮を感じた。遅いパートを挿入することで、 起伏に富んだ曲が作られるようになった。 遅重部分はドゥーム愛好者にも充分アピールできそうだ。第1曲よし。第3曲は殺気をはらんだ遅テンポ曲でこれもよし。

・ 未聴作品
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・ 公式 Web
http://highonfire.net/

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