静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー

静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー
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ディスコグラフィ

Khanate

「Khanate」  2001年 (2006年) 1st アルバム
「Things Viral」  2003年 (2006年) 2nd アルバム
「Capture & Release」  2005年 (2006年) 3rd アルバム
「Clean Hands Go Foul」  2009年 4th アルバム

Khanate
Khanate

Khanate: Khanate Khanate: Khanate ・ 1st アルバム
・ Doom / Sludge
・ 2001年 (2006年) アメリカ
・ Southern Lord Recordings / SUNN 14
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Alan Dubin ヴォーカル
Stephen O'Malley ギター  - Thorr's Hammer - Burning Witch - Sunn O)))
- Teeth Of Lions Rule The Divine - Magistral

James Plotkin ベース  - Khlyst - James Plotkin
Tim Wyskida ドラム

[ Disc 1: Khanate ]
01. Pieces Of Quiet  13' 22"
02. Skin Coat  09' 36"
03. Torching Koroviev  03' 38"
04. Under Rotting Sky  18' 18"
05. No Joy  11' 32"

Total Running Time  56' 28"

[ Disc 2: Live WFMU 91.1 ]
01. Pieces Of Quiet  16' 14"
02. G>>>D>>>Work [ German Dental Work ]  10' 21"
03. No Joy  09' 58"
04. Skin Coat  10' 20"

Total Running Time  46' 54"

真性の狂気の音像でせまるアメリカ出身のドゥーム / スラッジ・バンド Khanate のデビュー・アルバム。極端なノイズ・ドローン弦楽器奏者、ステファン・オマリーの凶悪なギター・サウンドと、もはや人間とは思えない甲高い絶叫を聴かせるアラン・デュービンのヴォーカル (クレジットには、Vokill と表記されている…) が中心となった、病的な遅重スラッジ・サウンドを特徴とする。まさに音拷問。オマリーの別バンド Sunn O))) にくらべて 「構成」 が存在し、各種エフェクタを駆使して変化自在なサウンドづくりを心がけている点でも聴きやすい。しかしデュービンの絶叫によって、好悪がはっきり左右されそうだ。第1曲 「Pieces Of Quiet」 のデュービンの第一声が聴こえた時点で嫌悪感がきたリスナーは、このバンドをあっさりとあきらめてプレイヤーの停止ボタンを押すべきだろう。音楽はなにも楽しいものばかりではない。

追記: 2006年12月に Daymare Recordings から日本盤がリリースされた ( DYMC-012 / 013 )。ボーナスとして、自主制作50枚限定スタジオ・ライヴCD−R 「Live WFMU 91.1」 (2002年) 全曲がついてくる。ディスク2の第2曲 「G>>>D>>>Work」 は、Earth のライヴ・アルバム 「Sunn Amps And Smashed Guitars Live」 (1995年 / 2001年) 再発盤におさめられた 「German Dental Work」 のカヴァー。このナンバーだけでなく全曲ともすばらしい演奏を披露しており、生演奏特有の楽器ノイズをふくんだ混沌とした空気を音と一緒に吸いこむことができる。ボーナスCDが目的で本作を購入したとしても、割にあわないとは感じないだろう。

Khanate
Things Viral

Khanate: Things Viral Khanate: Things Viral ・ 2nd アルバム
・ Doom / Sludge
・ 2003年 (2006年) アメリカ
・ Southern Lord Recordings / SUNN 28CD
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Alan Dubin ヴォーカル
Stephen O'Malley ギター  - Thorr's Hammer - Burning Witch - Sunn O)))
- Teeth Of Lions Rule The Divine - Magistral

James Plotkin ベース  - Khlyst - James Plotkin
Tim Wyskida ドラム
James Plotkin プロデュース

[ Disc 1: Things Viral ]
01. Commuted  19' 13"
02. Fields  19' 50"
03. Dead  09' 27"
04. Too Close Enough To Touch  11' 11"

Total Running Time  59' 43"

[ Disc 2 ]
01. Reh / Improv 1103  03' 20"
02. No Joy ( Remix )  12' 05"
03. Commuted ( Coda )  12' 29"

Total Running Time  27' 56"

アルバム第2作。前作 「Khanate」 (2001年) 以上に先鋭的な、拷問スラッジ・サウンドに苦しめられる。全4曲、60分弱にわたって展開される絶叫、ノイズ、ドローン、フィードバック、不協和音に胸苦しい不安をかきたてられない者はいないだろう。すでにビートをきざむという本来の役割を放棄しているドラムのアタックのいちいちは棍棒のように振りおろされ、アラン・デュービンの甲高い絶叫は、絶望的な言葉で聴き手の心を切り裂く。アルバム第1作にはまだリフ、リズム型の反復が存在したが、本作ではそれすらも無視。すべてがノイズに解体され、器楽はヴォーカルの背景にまわっている。まったく容赦なし。一音必殺の緊張感と殺伐感が怖い。ささやき声で 「うちにとどめよ… Stay inside」 と繰りかえす 「Too Close Enough To Touch」 (第4曲) はアルバム中もっとも極悪非道なナンバー。第1曲 「Commuted」 も印象ぶかい。

追記: 2006年12月、Daymare Recordings から日本盤がリリースされた ( DYMC-014 / 015 )。ボーナスとして、ライヴ・アルバム 「Live Aktion Sampler 2004」 (2004年) から 「Reh / Improv 1103」 (トラック1)、12インチ・シングル 「No Joy ( Remix ) / Dead」 (2003年) 所収の 「No Joy ( Remix )」 (トラック2)、アルバム第2作 「Things Viral」 (2003年 / 2006年) のアナログ盤のみに収録された 「Commuted ( Coda )」 (トラック3) の計3曲が入っている。第3曲 「Commuted ( Coda )」 は本編よりもアンビエント色が強いが、口唇をピチャピチャと鳴らして血をすするようなデュービンの口腔ノイズが嫌悪感を誘い、さらに中間部の絶叫で責め苦が頂点にいたる。

Khanate
Capture & Release

Khanate: Capture & Release ・ 3rd アルバム
・ Doom / Sludge
・ 2005年 (2006年) アメリカ
・ Daymare Recordings / DDCD-7003
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Alan Dubin ヴォーカル
Stephen O'Malley ギター  - Thorr's Hammer - Burning Witch - Sunn O)))
- Teeth Of Lions Rule The Divine - Magistral

James Plotkin ベース / シンセ  - Khlyst - James Plotkin
Tim Wyskida ドラム
James Plotkin プロデュース

[ CD: Capture & Release ]
01. Capture  18' 13"
02. Release  25' 03"

Total Running Time  43' 16"

[ DVD: Dead & Live Aktions DVD ]
01. Dead ( Clip )
02. Commuted ( Live )
03. Fields ( Live )
04. URS [ Under Rotting Sky ] ( Live )
05. No Joy ( Live )

Total Running Time  76' 39"

Hydra Head Records から発表されたアルバム第3作 「Capture & Release」 (2005年) の日本盤。ボーナスDVDとして 「Dead & Live Aktions DVD」 (2005年) が付属する。いわゆるリフは消滅し、一般的な意味でのドラミングも存在しない。作風はアルバム第2作 「Things Viral」 (2003年 / 2006年) にちかく、ノイズや各種の噪音、空気の振動を体感する作品だ。第1曲 「Capture」 は冒頭のギター・コードが後半で再現され、第2曲 「Release」 では身をひそめるような静かな展開から一気に全楽器による劇的頂点をかたちづくるなど、構成の点ではわかりやすい。DVDの第1曲 「Dead」 は、鏡の前でこめかみを打ちぬく自殺男のクリップ。映像に感情移入しやすい人は、見るタイミングを自分自身と相談したほうがよい。ほかライヴ映像以外にも、メンバーの姿をとらえたみじかい映像4本が入っている。2006年9月にバンドは解散を宣言。

Khanate
Clean Hands Go Foul

Khanate: Clean Hands Go Foul ・ 4th アルバム
・ Doom / Sludge
・ 2009年 アメリカ
・ Daymare Recordings / DYMC-086
・ 評価 09/10 ■■■■■■■■■□

Alan Dubin ヴォーカル
Stephen O'Malley ギター  - Thorr's Hammer - Burning Witch - Sunn O)))
- Teeth Of Lions Rule The Divine - Magistral

James Plotkin ベース / シンセ  - Khlyst - James Plotkin
Tim Wyskida ドラム
James Plotkin プロデュース

01. Wings From Spine  06' 48"
02. In That Corner  09' 19"
03. Clean My Heart  11' 10"
04. Every God Damn Thing  32' 52"

Total Running Time  60' 09"

アルバム第4作。 前作アルバム (2005年 / 2006年) と同時期のセッションにて録音され、発表されないまま2006年の解散をむかえてしまったため、リリースまでに3年の月日が経過している。拷問バンドの死にふさわしく執拗で苦しく、 静かで秘めやかでもあり、 きわめて研ぎすまされた感性に満ちた最終作品と断言できる。刃物のような絶叫と、 即興的に挿入される不協和音、不規則に放たれるドラムの打撃の混交による前半2曲は、もはや Khanate スタイルともいうべき音でむしろ安心して聴けるが、後半2曲は新機軸で刺激的。 第3曲は過剰出力された低音が、音=物理現象というあたり前だが、 本来は意識されない本質を聴き手に教えてくれる (車中のバックミラーの振動がやまない)。 第4曲は決して無音にはならないが、極力、音を排して不穏当な 「気配」 のみを伝えてくる。音を出したほうが語りやすいのだが、これほど雄弁な沈黙はめずらしい。

・ 未聴作品
「Let Loose The Lambs Tour DVD」 ライヴ・アルバム DVD 全5曲
「KHNT vs. Stockholm」  2004年 ライヴ・アルバム 全3曲
「It's Cold When Birds Fall From The Sky」  2005年 ライヴ・アルバム 全3曲
・ 公式 Web
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