静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー

静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー
Forest Of Tranquilness

Doom / Stoner / Sludge-Core Rock Site

ディスコグラフィ

Om

「Variations On A Theme」  2005年 1st アルバム
「Conference Of The Birds」  2006年 2nd アルバム
「Pilgrimage」  2007年 3rd アルバム
「God Is Good」  2009年 4th アルバム

Om
Variations On A Theme

Om: Variations On A Theme ・ 1st アルバム
・ Doom / Stoner / Sludge
・ 2005年 アメリカ
・ Holy Mountain / Holy Mountain 77525
・ 評価 09/10 ■■■■■■■■■□

Al Cisneros ヴォーカル / ベース  - Asbestosdeath - Sleep
Chris Hakius ドラム  - Asbestosdeath - Sleep - The Sabians
Om / Billy Anderson プロデュース

01. On The Mountain At Dawn  21' 18"
02. Kapila's Theme  11' 56"
03. Annapurna  11' 54"

Total Running Time  45' 09"

2005年発表のアルバム第1作。ディストーションで強烈にゆがめられたベースと、手数が豊富で、即興性のきわだつドラミングが織りなすマントラ・スラッジ・ドゥームだ。バンドの基本姿勢にブレはないが、より精神的な重さに比重をおいて音楽性を深化させていったセカンド・アルバム 「Conference Of The Birds」 (2006年) 以降の作品にくらべて、本作では音のヘヴィさ、リフとドラムの豪快さが強調されている。Sleep 期の最高傑作 「Jerusalem」 (1999年) に作風がもっとも近い。 しかし読経めいたヴォーカルの声音のニュートラルさ、ひたむきさが両者の性格のちがいを如実に示してもいる。CDを再生してすぐに、あたらしい潮流がはじまったことを誰もが知るだろう。「カピラ」 とは釈迦族の住む地に先住していたとされる黄髪の仙人の名で、「アンナプルナ」 はネパールのヒマラヤ山脈にある連峰。ドゥーム聖典第2章の誕生を祝福したい。

Om
Conference Of The Birds

Om: Conference Of The Birds ・ 2nd アルバム
・ Doom / Stoner / Sludge
・ 2006年 アメリカ
・ Leaf Hound Records / LHR-010
・ 評価 09/10 ■■■■■■■■■□

Al Cisneros ヴォーカル / ベース  - Asbestosdeath - Sleep
Chris Hakius ドラム  - Asbestosdeath - Sleep - The Sabians
Om / Billy Anderson プロデュース

01. Al Giza  15' 56"
02. Flight Of The Eagle  17' 29"
03. Bedouin's Vigil  04' 29"

Total Running Time  37' 56"

もと Sleep のベーシスト、アル・シスネロスと、ドラムのクリス・ハキアス2人組による新バンド Om のアルバム第2作。ギターをふくまない歌、ベース、ドラムによる、きわめて限定されたモノクロのサウンド世界が眼前に現出する。ほとんど展開しないシンプルな酩酊リフが反復され、アルのクリアな声がまじない師のように解放、飛翔、自由への幻影を鳥のイメージに託してつぶやく。リズム・セクションのみのデュオ編成でも、音のヘヴィさは損なわれていない。重厚なサウンドづくりにはビリー・アンダーソンの手腕が生かされている。曲は長尺だが、演奏は微塵も弛緩しない。音の数がすくないぶん、かえってライド・シンバルのワンショット、スネアのフラムのいちいちにまで耳の焦点があつまってしまう。バンドはミニマル的な発想から出発し、これほど豊穣な音の収穫を得られるということを証明してみせた。

Om
Pilgrimage

Om: Pilgrimage ・ 3rd アルバム
・ Doom / Stoner / Sludge
・ 2007年 アメリカ
・ Daymare Recordings / DYMC-046
・ 評価 09/10 ■■■■■■■■■□

Al Cisneros ヴォーカル / ベース  - Asbestosdeath - Sleep
Chris Hakius ドラム  - Asbestosdeath - Sleep - The Sabians
Steve Albini / Om プロデュース

01. Pilgrimage  10' 33"
02. Unitive Knowledge Of The Godhead  05' 50"
03. Bhima's Theme  11' 41"
04. Pilgrimage ( Reprise )  04' 13"
05. To The Shrinebuilder ( Live ) *  08' 32"

Total Running Time  40' 49"
* Bonus Track

2007年にリリースされたアルバム第3作。前作アルバム 「Conference Of The Birds」 (2006年) で確立された、ベースとドラムのみによるスピリチュアルなスラッジ・ドゥーム路線をさらに追求している。はっきりと曲間がおかれているものの、全4曲 (トラック1〜4) は、すべて単一モティーフのテーマと変奏と見なすことができる。ささやき声による静かな第1曲 「Pilgrimage」 はアルバム全編のテーマをなす。背後で鳴りつづける静的なタムと鈴の音の質感がすばらしい。不規則な拍節によるテーマは、おなじことの繰りかえしのようでいてそのじつ正体をつかませない不思議な浮遊感にみちている。第2曲はヘヴィ編。第3曲は詠唱ふうの中間部がテーマに依拠している。テーマの再現 (第4曲) は歌詞が異なるほか、低音の深みがより増している。 ボーナスの第5曲はテーマと変奏のコンセプトに反する余計なおまけだが、もちろん聴いて損はない。

追記: 2008年にドラムのクリス・ハキアスが脱退。バンドは解散かと思われたが、新ドラマーにエミール・アモス Emil Amos を迎えて、待望の来日公演も果たした。

Om
God Is Good

Om: God Is Good ・ 4th アルバム
・ Doom / Stoner / Sludge
・ 2009年 アメリカ
・ Daymare Recordings / DYMC-102
・ 評価 07/10 ■■■■■■■□□□

Al Cisneros ヴォーカル / ベース  - Asbestosdeath - Sleep
Emil Amos ドラム

[ Guest ]
Lorraine Rath タンブーラ
Robert Aiki Aubrey Lowe フルート

01. Thebes  19' 08"
02. Meditation Is The Practice Of Death  06' 51"
03. Cremation Ghat I  03' 11"
04. Cremation Ghat II  04' 58"

Total Running Time  34' 10"

最重要メンバーだったクリス・ハキアス Chris Hakius が脱退し、 エミール・アモスが加入してはじめてとなるスタジオ録音アルバム、第4作。ディストーションなど音のゆがみを極力排した 「脱ヘヴィ」 のコンセプトを提示し、聴く者を驚かせると同時に、バンドの内的、外的な変化をおおいに印象づける作品となった。 静かな歌いだしからはじまる第1曲は後半からヘヴィなベースとグルーヴが導入され、 従来の音楽性の延長上にあるナンバーとなっている。しかし第2曲からさきはベース音がクリーンなため、 楽器本来の役割である音楽的な 「支え」 にまわってしまった感がある。歌とフルートがからむ第2曲はまだしも、尺が短い第3・4曲は、音楽の枠組みだけが示されて終わる無展開ぶりに疑問が残る。ベースをこれまで主役たらしめてきたディストーションの威力をまざまざと感じる。ヘヴィさを手放したさきに代替が見えてこない点がマイナスだ。問題作の予感。

・ 未聴作品
「Live At Jerusalem」  2008年 ライヴ・アルバム 全2曲
「Conference Live」  2009年 ライヴ・アルバム 全2曲
・ 公式 Web
http://www.omvibratory.com/

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