静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー

静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー
Forest Of Tranquilness

Doom / Stoner / Sludge-Core Rock Site

ディスコグラフィ

Saint Vitus

「Born Too Late」  1987年 3rd アルバム
「Mournful Cries」  1988年 4th アルバム
「V」  1989年 (2004年) 5th アルバム
「Live」  1990年 (2005年) ライヴ・アルバム
「Heavier Than Thou」  1991年 ベスト・アルバム
「Die Healing」  1995年 7th アルバム

Saint Vitus
Born Too Late

Saint Vitus: Born Too Late ・ 3rd アルバム
・ Doom / Metal
・ 1987年 アメリカ
・ SST Records / SST CD 082
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Scott "Wino" Weinrich ヴォーカル / ギター
  - The Obsessed - Spirit Caravan - Place Of Skulls - The Mystick Krewe Of Clearlight - Probot
  - Victor Griffin - Wino
Dave Chandler ギター  - Debris Inc.
Mark Adams ベース
Armando Acosta ドラム
Carducci / Saint Vitus プロデュース

01. Born Too Late  06' 57"
02. Clear Windowpane  03' 19"
03. Dying Inside  07' 27"
04. H. A. A. G.  05' 04"
05. The Lost Feeling  05' 25"
06. The War Starter  06' 46"
07. Thirsty And Miserable  03' 54"
08. Look Behind You  03' 22"
09. The End Of The End  05' 49"

Total Running Time  48' 05"

傑作と呼び声の高いアルバム第3作。バンドは前作 (1985年) までヴォーカルを担当していたスコット・リーガース Scott Reagers を解雇。アメリカのワシントンD.C.で活動していたドゥーム匠スコット・"ワイノ"・ワインリックが The Obsessed の活動を停止して、後任についた (あとから思えば、デイヴ・チャンドラー主導の Saint Vitus への参加はワイノにとって窮屈な時代だったかもしれない)。全編にわたりミドルからスロー・テンポで展開される暗く、陰鬱なドゥーム・リフに刻印されたアルバムだ。極端にローファイなギター音は70年代への憧憬と、地下バンドとしてのみずからの出所を宣言しているものだ。ひ弱な音質・音量は現代ヘヴィネスに慣れた耳からするとかったるく聴こえるが、作品全体のドゥーム度は高い。Black Sabbath を発祥とした、正統派ドゥーム・メタルの系譜を、個性的にいろどるバンドの代表作といえる。

Saint Vitus
Mournful Cries

Saint Vitus: Mournful Cries ・ 4th アルバム
・ Doom / Metal
・ 1988年 アメリカ
・ SST Records / SST CD 161
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Scott "Wino" Weinrich ヴォーカル / ギター
  - The Obsessed - Spirit Caravan - Place Of Skulls - The Mystick Krewe Of Clearlight - Probot
  - Victor Griffin - Wino
Dave Chandler ギター  - Debris Inc.
Mark Adams ベース
Armando Acosta ドラム
Saint Vitus / Carducci プロデュース

01. The Creeps  02' 47"
02. Dragon Time  07' 28"
03. Shooting Gallery  06' 45"
04. Bitter Truth  04' 15"
05. The Troll  06' 57"
06. Looking Glass  04' 51"

Total Running Time  33' 05"

アルバム第4作。サバス直系のドゥーム・リフで貫徹された、迷いのない好作品だ。あいかわらずローファイでこもりがちな音づくりは、独特のアンダーグラウンド臭を発散させている。本作はきわめて遅く、陰鬱で、あやしく、ダウナー感覚にあふれたサバス式の単音リフを徹頭徹尾もちいている。第1曲 「The Creeps」 こそ爆発的な躍動感にみちた演奏を聴かせるが、一転してダウナー・リフにかわり、あとはズリズリと音を引きずりながらすすむ、ドラマティックでスケールの大きなドゥーム・メタルが満載だ。発狂を思わせるデイヴ・チャンドラーのギター・ソロも効果を発揮している。第2曲 「Dragon Time」 や 第3曲 「Shooting Gallery」 は、同時期に活躍した Candlemass などのエピック・ドゥーム・メタルのドラマ性とは別の壮大さをもっており好感をもてる。第6曲 「Looking Glass」 も出色の出来だ。

Saint Vitus
V

Saint Vitus: V ・ 5th アルバム
・ Doom / Metal
・ 1989年 (2004年) アメリカ
・ Southern Lord Recordings / SUNN 32
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Scott "Wino" Weinrich ヴォーカル / ギター
  - The Obsessed - Spirit Caravan - Place Of Skulls - The Mystick Krewe Of Clearlight - Probot
  - Victor Griffin - Wino
Dave Chandler ギター  - Debris Inc.
Mark Adams ベース
Armando Acosta ドラム
Stephan Gross プロデュース

01. Living Backwards  02' 30"
02. I Bleed Black  05' 10"
03. When Emotion Dies  02' 00"
04. Patra ( Petra )  07' 28"
05. Ice Monkey  04' 02"
06. Jack Frost  07' 12"
07. Angry Man  04' 23"
08. Mind-Food  03' 07"

Total Running Time  36' 40"

* Bonus Video ( MPEG File )
01. Saint Vitus
02. Prayer For The ( M )asses
03. Clear Windowpane
04. Zombie Hunger
05. White Stallions

Total Running Time  28' 54"

アルバム第5作。アメリカのドゥーム界の重鎮スコット・"ワイノ"・ワインリックが在籍した最後のアルバム。高音域をカットしたモコモコいうギターが、ドゥーム汁したたるリフを次つぎと繰りだす地下メタル・サウンド。現代の耳には、音質的な重さはあまり感じられない。しかし、Saint Vitus をはじめとする80年代に活動したオールド・スクールのドゥーム・バンドは、基本的にリフ・ワークとその雰囲気によってドゥームの系譜をつくりだしていた。第4曲 「Patra」 の遅さ、ねばり強さ、いかがわしさは特筆もの。おなじく生なましいベース音にみちびかれてはじまる7分強の大曲 「Jack Frost」 (第6曲) も重い。2004年に再発された際、ボーナスとしてビデオ・クリップがついた。MPEG ファイル化された5曲ぶんのライヴ映像を収録。1986年5月16日のショーで、ワイノがメンバーにくわわってはじめての舞台の映像らしい。デイヴ・チャンドラーはキレすぎ。

Saint Vitus
Live

Saint Vitus: Live ・ ライヴ・アルバム
・ Doom / Metal
・ 1990年 (2005年) アメリカ
・ Southern Lord Recordings / SUNN 43
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Scott "Wino" Weinrich ヴォーカル / ギター
  - The Obsessed - Spirit Caravan - Place Of Skulls - The Mystick Krewe Of Clearlight - Probot
  - Victor Griffin - Wino
Dave Chandler ギター  - Debris Inc.
Mark Adams ベース
Armando Acosta ドラム

01. Living Backwards  02' 31"
02. Born Too Late  07' 12"
03. The War Starter  07' 29"
04. Mind - Food  03' 23"
05. Looking Glass  05' 12"
06. White Stallions  05' 52"
07. Look Behind You  04' 16"
08. Dying Inside  09' 00"
09. War Is Our Destiny  04' 26"
10. Mystic Lady  08' 52"
11. Clear Windowpane  08' 32"

Total Running Time  66' 51"

1990年発表のライヴ・アルバムが、2005年に Southern Lord Recordings から再発。1989年11月10日、ドイツの 「Circus Gammelsdorf」 にておこなわれたライヴ演奏全11曲がおさめられている。おそらくは1回の公演をまるごと収録したものであり、むやみにあとから編集の手をほどこしていない点は聴いていて気持ちがよい。録音状態に問題なし。スコット・"ワイノ"・ワインリック加入後のアルバム第3〜5作 (1987〜1989年) を中心に選曲されており、それ以前のアルバム第2作 (1985年) からも3曲 (トラック6・9・10) がえらばれている。リフ・ワークのみでドゥームの属性をあますことなく表現しているデイヴ・チャンドラーのギターはもちろんのこと、ワイノの吠え声もよい。しかしスコット・リーガース Scott Reagers 時代の曲は本人にあわないのか、それともやる気がないのか、音がぶらさがってダラダラした印象だ。全28頁のブックレットには写真が満載。

Saint Vitus
Heavier Than Thou

Saint Vitus: Heavier Than Thou ・ ベスト・アルバム
・ Doom / Metal
・ 1991年 アメリカ
・ SST Records / SST CD 266
・ 評価 09/10 ■■■■■■■■■□

Scott "Wino" Weinrich ヴォーカル / ギター
  - The Obsessed - Spirit Caravan - Place Of Skulls - The Mystick Krewe Of Clearlight - Probot
  - Victor Griffin - Wino
Scott Reagers ヴォーカル
Dave Chandler ギター  - Debris Inc.
Mark Adams ベース
Armando Acosta ドラム

01. Clear Windowpane  03' 14"
02. Born Too Late  06' 52"
03. Look Behind You  03' 18"
04. Thirsty And Miserable  03' 51"
05. Dying Inside  07' 23"
06. The Lost Feeling  05' 22"
07. H. A. A. G.  05' 02"
08. Shooting Gallery  06' 44"
09. Bitter Truth  04' 12"
10. Dragon Time  07' 33"
11. War Is Our Destiny  04' 10"
12. White Stallions  05' 26"
13. White Magic / Black Magic  05' 26"
14. Saint Vitus  04' 47"

Total Running Time  73' 49"

スコット・"ワイノ"・ワインリック脱退後にリリースされたベスト・アルバム。SST Records から発表された初期4枚のアルバムから編集されている。これが非常にかたよった選曲になっており、第1〜7曲は全9曲入りのアルバム第3作 「Born Too Late」 (1986年) 所収。つまりアルバムほぼ1枚ぶんが、そっくりベスト・アルバム入りしていることになる。第11〜12曲は唯一CD化されていないアルバム第2作 「Hallow's Victim」 (1985年) からえらばれており、貴重。ヴォーカル前任者のスコット・リーガースと、一時代をきずいたワイノをくらべると4曲 vs 10曲となる。こうしたワイノ偏重の選曲は、4枚のアルバムすべてが廃盤となっている現在の状況を思うと残念だが、伝説のバンドの姿と代表曲を知る最高の1枚であることにはかわりない。デイヴ・チャンドラーのリフ・ワークや、狂気のアーミングにも注目。

Saint Vitus
Die Healing

Saint Vitus: Die Healing ・ 7th アルバム
・ Doom / Metal
・ 1995年 アメリカ
・ Hellhound Records / H0035-2UX
・ 評価 06/10 ■■■■■■□□□□

Scott Reagers ヴォーカル
Dave Chandler ギター  - Debris Inc.
Mark Adams ベース
Armando Acosta ドラム
Harris Johns / Saint Vitus プロデュース

01. Dark World  04' 57"
02. One Mind  04' 34"
03. Let The End Begin  07' 36"
04. Trail Of Pestilence  05' 10"
05. Sloth  08' 10"
06. Return Of The Zombie  06' 42"
07. In The Asylum  08' 11"
08. Just Another Notch  04' 29"

Total Running Time  49' 53"

オリジナル・メンバーである歌手スコット・リーガースを再加入させて復活を期したアルバム第7作、 1995年リリース。ほとんどの曲が遅く、暗く、不吉な単音リフを繰りかえしつぶやく正統派の遅重ドゥームでそろえてあり、 デイヴ・チャンドラーがバンドの再起を宣言するかのように歌う 第8曲 「Just Another Notch」 (多分にボーナス曲ふう) をのぞけば、 ラッシュするのは第3曲の中間パートのみという徹底ぶりだ。 詠唱ふうをねらったのか、リーガースはしばしば語るように歌ったり、叫んだりするのだが、これが和声をみごとにはずしているのでかなり聴きぐるしい。サバスの 「Hand Of Doom」 のカヴァーかと思えるような第2曲、 鬱屈リフとサビの抜けのよさの対比が印象的な第4曲など聴きどころはある。小細工を弄さないチャンドラーのギターのロング・トーンは、陰鬱さをふかめるのに功を奏している。バンドは活動を停止。最終曲はまさしく白鳥の歌となった。

・ 未聴作品
「Saint Vitus」  1984年 1st アルバム CD 全5曲
「Hallow's Victim」  1985年 2nd アルバム LP 全7曲
「The Walking Dead」  1985年 ミニ・アルバム 全3曲
「Thirsty And Miserable」  1987年 ミニ・アルバム 全3曲
「C.O.D.」  1992年 6th アルバム CD 全12曲
・ 公式 Web
http://www.saintvitusreunion.com

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