静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー

静謐の森 - ドゥーム / ストーナー / スラッジ・コアのアルバム・レビュー
Forest Of Tranquilness

Doom / Stoner / Sludge-Core Rock Site

ディスコグラフィ

Trouble

「Psalm 9 ( Trouble )」  1984年 1st アルバム
「The Skull」  1985年 2nd アルバム
「Run To The Light」  1987年 3rd アルバム
「Trouble」  1990年 4th アルバム
「Manic Frustration」  1992年 5th アルバム
「Plastic Green Head」  1995年 6th アルバム
「Live Dallas Texas 03/12/90」  2004年 ライヴ・アルバム
「Simple Mind Condition」  2007年 7th アルバム

Trouble
Psalm 9 ( Trouble )

Trouble: Psalm 9 ( Trouble ) ・ 1st アルバム
・ Doom / Metal
・ 1984年 アメリカ
・ Metal Blade Records / 3984-14068-2
・ 評価 10+/10 ■■■■■■■■■■ 必聴盤

Eric Wagner ヴォーカル  - Probot
Rick Wartell ギター
Bruce Franklin ギター
Sean McAllister ベース
Jeff Olson ドラム
Trouble / Bill Metoyer / Brian Slagel プロデュース

01. The Tempter  06' 37"
02. Assassin  03' 14"
03. Victim Of The Insane  05' 10"
04. Revelation ( Life Or Death )  05' 08"
05. Bastards Will Pay  03' 44"
06. The Fall Of Lucifer  05' 45"
07. Endtime  04' 58"
08. Psalm 9  04' 52"
09. Tales Of Brave Ulysses  03' 58"

Total Running Time  43' 28"

80年代のドゥーム界をささえた Trouble のデビュー・アルバム。発表当時は 「Trouble」 と題されていたが、のちにレーベル会社を移した際に、再起をかけて同名のアルバムを出したため (1990年)、本作は 「Psalm 9」 と改題された。まさに Black Sabbath の最初期の音像をメタル化したサウンド。ダウン感覚満載のヘヴィ・メタル式リフに、エリック・ワグナーの高音ヴォイスがのる。リフ主導による多彩な曲展開、ツイン・ギターによる悲哀にみちたハーモニーなど、現代ドゥームのカリスマ Cathedral にも多大な影響をあたえている。変拍子と細かいリズム変化によるプログレッシヴなインスト曲 「Endtime」 (第7曲) から、アルバム・タイトル曲 「Psalm 9」 (第8曲) への流れがいちばんの山場。ドゥーム・ロック / ドゥーム・メタルの系譜において重要な位置をしめる。さらに10年後にはストーナー・ロック先駆者ともなる。

Trouble
The Skull

Trouble: The Skull ・ 2nd アルバム
・ Doom / Metal
・ 1985年 アメリカ
・ Metal Blade Records / 3984-14069-2
・ 評価 07/10 ■■■■■■■□□□

Eric Wagner ヴォーカル  - Probot
Rick Wartell ギター
Bruce Franklin ギター
Sean McAllister ベース
Jeff Olson ドラム
Bill Metoyer / Trouble / Brian Slagel プロデュース

01. Pray For The Dead  05' 54"
02. Fear No Evil  04' 12"
03. The Wish  11' 37"
04. The Truth Is, What Is  04' 37"
05. Wickedness Of Man  05' 46"
06. Gideon  05' 11"
07. The Skull  05' 51"

Total Running Time  43' 10"

制作布陣をかえずに、前作 「Psalm 9 ( Trouble )」 (1984年) から1年のちに発表されたアルバム第2作。ドゥームの語法を生かしたヘヴィ・メタル・サウンドが身上だ。サウンド・プロダクションが向上し、ドラムの音づくりには古めかしさを感じるもののツイン・ギターの音にはいまも説得力があり、重さとメタルの切れのよさを堪能できる。プログレッシヴ・ロックを思わせる複雑な曲構成をとり、さまざまなリフによってめまぐるしく部分が交替する。ランニング・タイムは長めになり、第3曲 「The Wish」 などは11分を越える大作だ。しかしそうした創意工夫が、たとえば 「Fear No Evil」 (第2曲) のブリッジ部分の複雑な変拍子などにおいてテクニカルな面での興味はおぼえるものの、作品全体としてみればたいした印象にのこらないのが率直なところ。構成のあいまいな大作主義には、リフをとり散らかしただけの印象をうけてしまう…。

Trouble
Run To The Light

Trouble: Run To The Light ・ 3rd アルバム
・ Doom / Metal
・ 1987年 アメリカ
・ Metal Blade Records / 3984-14051-2
・ 評価 06/10 ■■■■■■□□□□

Eric Wagner ヴォーカル  - Probot
Rick Wartell ギター
Bruce Franklin ギター
Ron Holzner ベース  - Debris Inc.
Dennis Lesh ドラム
Jim Faracl / Trouble プロデュース

01. The Misery Shows  05' 36"
02. Thinking Of The Past  03' 51"
03. On Borrowed Time  05' 27"
04. Run To The Light  06' 02"
05. Peace Of Mind  03' 03"
06. Born In A Prison  04' 49"
07. Tuesday's Child  03' 25"
08. The Beginning  05' 26"

Total Running Time  37' 41"

リズム・セクションを入れかえてのアルバム第3作。ベースのシーン・マカリスター Sean McAllister がロン・ホルツナーに、ドラムはジェフ・オールセン Jeff Olson からデニス・レッシュにチェンジした。プロデューサーも前任者から離れ、新しくジム・ファラーシを迎えている。イントロはレゾナンスを効かせたオルガンではじまり、スラッシュ・タイプのリフで耳をひく。一瞬、ドゥーム色は後退したかと思わせるが、ブリッジ部分に遅いドゥーミーなフレーズを導入するなど、やはり根底にドゥームを鎮座させているところが面目躍如だ。メタル度もさらにアップした。ところがフォスターの 「草競馬」 を短調に移旋したり、ショパンの 「葬送行進曲」 を引用してしまうところはなんだか気恥ずかしいし、あいかわらずめまぐるしく変わるプログレッシヴな曲展開のせいで、せっかくの優良なリフやフレーズを殺してしまっている。

Trouble
Trouble

Trouble: Trouble ・ 4th アルバム
・ Doom / Stoner / Metal
・ 1990年 アメリカ
・ Def American Records / PPD-1138
・ 評価 10/10 ■■■■■■■■■■

Eric Wagner ヴォーカル  - Probot
Rick Wartell ギター
Bruce Franklin ギター
Ron Holzner ベース  - Debris Inc.
Barry Stern ドラム  - Debris Inc.
Rick Rubin プロデュース

01. At The End Of My Daze  03' 11"
02. The Wolf  04' 34"
03. Psychotic Reaction  03' 13"
04. A Sinner's Fame  04' 18"
05. The Misery Shows ( Act II )  07' 20"
06. R.I.P.  04' 08"
07. Black Shapes Of Doom  03' 47"
08. Heaven On My Mind  04' 09"
09. E.N.D.  02' 23"
10. All Is Forgiven  05' 10"

Total Running Time  42' 17"

ストーナー・メタルの記念碑的な名盤 「Manic Frustration」 (1992年) を予感させる、充実した曲の数かずが満載されたアルバム第4作。ドラムがデニス・レッシュ Dennis Lesh からバリー・スターンに交代した。リック・ルービンの Def American Records に移籍し、心機一転、アルバム・タイトルにバンド名をかぶせた再スタートとなった (同名の第1作は 「Psalm 9」 と改題)。いかにもメタル然としていた過去の音楽性からは距離をおき、ルーツであるブルースへの傾倒をふかめ、70年代様式のグルーヴを導入、ストーナー・ミュージックの片鱗を見せはじめた。しかしリフはまだドゥーム色に黒光りしており、ドゥーム者はあるいは本作のほうを気に入るかもしれない。キャッチーなヘヴィ・リフとグルーヴが融合した第3曲 「Psychotic Reaction」 は名曲だ。第7曲 「Black Shapes Of Doom」 も代表作。アルバム後半は、テクニカルなドゥーム・メタルがならぶ。

Trouble
Manic Frustration

Trouble: Manic Frustration ・ 5th アルバム
・ Stoner / Metal
・ 1992年 アメリカ
・ Nippon Phonogram / PHCR-49
・ 評価 10+/10 ■■■■■■■■■■ 必聴盤

Eric Wagner ヴォーカル  - Probot
Rick Wartell ギター
Bruce Franklin ギター
Ron Holzner ベース  - Debris Inc.
Barry Stern ドラム  - Debris Inc.
Rick Rubin / Trouble プロデュース

01. Come Touch The Sky  02' 54"
02. 'Seuse Me  03' 25"
03. The Sleeper  03' 15"
04. Fear  03' 38"
05. Rain  04' 06"
06. Tragedy Man  04' 28"
07. Memory's Garden  04' 24"
08. Manic Frustration  04' 10"
09. Hello Strawberry Sky  03' 04"
10. Mr. White  03' 26"
11. Breathe...  06' 31"

Total Running Time  43' 23"

1992年に Def American Records から発表された第5作。ドゥーム・メタル路線を離れ、60・70年代への憧憬にみちたロックの原点回帰をはたした大傑作。Kyuss とくらべてパンク色が皆無で、メタル属性を維持しているところが特徴だ。ヘヴィ・メタルでありながら、同時にグルーヴを加味したストーナー・メタルの先駆的な作品であり、本作によって Trouble は伝説的な存在となった。アルバム第4作 「Trouble」 (1990年) でバンドにくわわったバリー・スターンの、グルーヴ全開のドラミングがはたした役割は大きい。またメンバーに宿る70年代感覚を見いだし・ひきだしたプロデューサー、リック・ルービンの辣腕ぶりも賞賛に値する。名曲・佳作のオンパレード。エリック・ワーグナーはビブラート歌唱を放棄し、キャッチーなメロディ・ラインをまっすぐ歌う。プログレッシヴな大作主義も捨てさり、コンパクトで密度の高い曲構成もマルだ。

Trouble
Plastic Green Head

Trouble: Plastic Green Head ・ 6th アルバム
・ Stoner / Metal
・ 1995年 アメリカ
・ Bullet Proof Records / CDVEST 45
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Eric Wagner ヴォーカル  - Probot
Rick Wartell ギター
Bruce Franklin ギター
Ron Holzner ベース  - Debris Inc.
Jeff Olson ドラム
Trouble / Vince Wojno プロデュース

01. Plastic Green Head  03' 35"
02. The Eye  04' 20"
03. Flowers  04' 20"
04. Porpoise Song  04' 42"
05. Opium-Eater  04' 25"
06. Hear The Earth  03' 59"
07. Another Day  04' 53"
08. Requiem  04' 54"
09. Below Me  03' 37"
10. Long Shadows Fall  02' 45"
11. Tomorrow Never Knows  05' 23"

Total Running Time  46' 58"

1995年にリリースされたアルバム第6作。 ストーナー・メタルに宗旨がえしてからは2作めにあたる。ドラムのバリー・スターン Barry Stern がバンドを離れ、アルバム第1〜2作 (1984〜1985年) でドラムをたたいていたジェフ・オールソンが復帰した。ルーズさが味わいぶかかったスターンにくらべ、一転パワーと整合性のあるドラミングにかわり、 リズムとしてはへヴィ・メタルへの揺りかえしがみられる。 大サビでのギター・ソロとエリック・ワグナーの声が交錯して盛りあがる第2曲を筆頭としてリフ構成、アレンジの充実には余念がない。 必聴盤 「Manic Frustration」 (1992年) の後続作なのでいくぶん目おとりするが、水準は維持している。 第4曲は Carole King 作、第11曲は The Beatles のカヴァー。どちらもサイケ全開でけっこうだが、 後者は凡庸だと思われていた Ringo Starr がじつは天才だったことを示す名曲であり、ドラマー泣かせの選曲といえそうだ。

Trouble
Live Dallas Texas 03/12/90

Trouble: Live Dallas Texas 03/12/90 ・ ライヴ・アルバム
・ Doom / Stoner / Metal
・ 2004年 アメリカ
・ ----- / -----
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

01. R.I.P.  04' 41"
02. Black Shapes Of Doom  03' 46"
03. Psalm 9  03' 57"
04. The Wolf  03' 52"
05. [ At ] End Of My Daze  03' 42"
06. Assassin  03' 26"
07. The Misery Shows ( Act II )  08' 59"
08. Psychotic Reaction  04' 48"
09. Bastards Will Pay  04' 31"
10. Helter Skelter  09' 30"
11. The Tempter  05' 35"
12. All Is Forgiven  05' 46"

Total Running Time  62' 38"

自主制作のライヴ・アルバムCD−R。アルバム第4作 「Trouble」 (1990年) のリリースにともなう1990年12月3日、テキサス州ダラスでのライヴが収録されている。演目は当時の最新作 (第4作) から7曲 (トラック1・2・4・5・7・8・12) と、アルバム第1作 「Psalm 9 ( Trouble )」 (1984年) から4曲 (トラック3・6・9・11)、思いのほかはまっている The Beatles のカヴァー 「Heltar Skelter」 (第10曲) の計12曲を演奏している。ラストの2曲はアンコールだ。ショーの進行がよく音質良好で、演奏も安定している。ただしアンコール前にメンバーが舞台に再登場するまでしばらく待たされる。ちょうどストーナー・ドゥーム・メタルへの移行期にあたり、両ジャンルのファンにアピールできる内容だ。第1〜4曲はメドレーで演奏され、至福の15分間。途中、エリック・ワグナーの声に疲れがみえるが、名曲 「Psychotic Reaction」 (第8曲) で息をふきかえす。

Trouble
Simple Mind Condition

Trouble: Simple Mind Condition ・ 7th アルバム
・ Doom / Stoner / Metal
・ 2007年 アメリカ
・ Escapi Music / EMUS20077
・ 評価 08/10 ■■■■■■■■□□

Eric Wagner ヴォーカル  - Probot
Rick Wartell ギター
Bruce Franklin ギター
Chuck Robinson ベース
Jeff Olson ドラム
Vincent Wojno / Trouble プロデュース

01. Goin' Home  04' 02"
02. Mindbender  03' 49"
03. Seven  04' 57"
04. Pictures Of Life  03' 53"
05. After The Rain  05' 30"
06. Trouble Maker  04' 07"
07. Arthur Brown's Whiskey Bar  04' 23"
08. Simple Mind Condition  03' 41"
09. Ride The Sky  02' 46"
10. If I Only Had A Reason  04' 18"
11. The Beginning Of Sorrows  04' 18"

Total Running Time  46' 09"

アルバム第7作。ベースのロン・ホルツナー Ron Holzner がチャック・ロビンソンに交代している。アルバム第4作 「Trouble」 (1990年)、 傑作の第5作 「Manic Frustration」 (1992年) の流れをくむストーナー・メタル作品だ。エリック・ワーグナーの歌声は渋みを増して過ぎさった歳月の長さをを感じさせはするものの、いぜんドゥーム / ストーナー界にあってはうまい歌手であることにはちがいない。もはや高音域に張りあげることはなくなり、多重録音された高い声は主ヴォーカルにたいするコーラスとして脇役に徹している。型どおりのフレーズを反復するリズム隊はツボを押さえているといえば聞こえはよいが、すこし退屈。しかし2本のギターが繰りだすソロの掛けあいや、メタル・リフは色あせていない。第9曲は英国ロック・バンド Lucifer's Friend のカヴァー曲。過去の遺産の切りうりをしている印象は否めないが、新鮮さを要求しなければこれはこれでよい。

・ 未聴作品
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・ 公式 Web
http://www.newtrouble.com/

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