A1
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循環器科は心臓病や血管の病気を専門にしています。胸痛が主症状である狭心症や心筋梗塞などの「虚血性心疾患」、心雑音で気づかれることが多い「心臓弁膜症」、脈の不整・動悸を伴うことのある「不整脈」、心電図異常や動悸・息切れがする「心筋症」、息切れ、浮腫みが現れる「心不全」などの心臓疾患や、頭痛・肩こり・動悸を伴うことがある「高血圧症」、動脈の拍動・背・腹部が痛むことのある「大動脈瘤」、下肢の腫脹・疼痛が現れる「静脈血栓症」、呼吸困難・血痰がでることのある「肺梗塞」などを対象にしています。これの診断、治療、予防をしています。さらに、「糖尿病」、「高脂血症」、「脳梗塞」などの動脈硬化と関連が深い病気の診察や治療をすることが多い。
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A2
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かつて成人病といわれていた高血圧、高脂血症、糖尿病などは、生活習慣(食生活や運動習慣、職場や家庭のストレスなど)と強く関与することから、生活習慣病といわれるようになった。
これらの疾患は明らか症状が現れないことも多く、サイレントキラー(沈黙の殺人者)とも呼ばれ、心筋梗塞、脳梗塞などが発症するまで放置される場合がある。バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、禁煙、適度な飲酒などの生活習慣全般の改善が最も重要である。すでに発症した生活習慣病に対しては、積極的に薬物治療をするは当然なことである。最近では、肥満が進むと生活習慣病の発症が促進されて動脈硬化が進み、最終的に心筋梗塞、脳梗塞などに至るとする「メタボリックシンドローム」の概念が提唱され、肥満解消の運動が積極的に推進されている。
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A3
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心臓は全身に血液を送り出すポンプであり、その筋肉は冠動脈によって栄養されている。加齢により動脈硬化が進むと冠動脈の壁が厚くなり、血液の流れる動脈内腔も狭くなり(アテローム硬化
)、血液の供給量が減少する。
狭心症は、心臓が必要とする血液の消費量が血液の供給量を越えたときに起きる。労作時に起きる労作時狭心症と安静時に起きる安静時狭心症の二つに大きく分かれる。典型的な労作時狭心症は駅の階段を上るときや重いものを持ったときに胸部が圧迫され、安静時狭心症では早朝睡眠時に胸痛で目が覚める。いずれもじっと安静にしたり、ニトログリセリンを舌下すると2~3分以内に症状が消失する。労作時狭心症は動脈硬化による冠動脈の狭窄、安静時狭心症は冠動脈の痙攣が原因である。
冠動脈の高度の狭窄を伴わない冠攣縮性狭心症では薬物療法が著効するが、冠動脈狭窄のある狭心症では、薬物による治療の他に、カテーテルインターベンション(カテーテルによる風船療法やステント移植術)、冠動脈バイパス手術などの治療法がある。
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A4
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典型的な狭心症の症状は正中部から左胸部にかけての痛み、圧迫感、締めつけ感、焼きつけられる感じなどが出現し、左腕の痺れが伴うこともある。一方、咽喉から歯ぐきの痛み、息切れ、腹痛などの症状、またはほとんど無症状(無症候性心筋虚血)で発症することがある。
狭心発作は通常3~5分、長くても15分以内である。「労作性狭心症」の場合は一定の労作(例えば駅の階段を上る)により出現し、「冠れん縮性狭心症」では早朝、デスクワーク中、飲酒・喫煙時などの安静時に出現ことが多い。いずれもニトログリセリンの舌下で速やか(2~3分)に症状が消失する。
狭心症の診断には、狭心発作の状況・ニトログリセリンの効果、運動負荷心電図、ホルター心電図検査の所見などから総合的に判断される。確定診断・治療のために心臓カテーテル検査をすることもある。

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| A5 |
冠動脈が詰まって、血流が止まると心臓の筋肉に酸素と栄養が供給されなくなくなり、その部分の筋肉は死んでしまう(壊死になる)。血流の停止から15分以上経つと、急性心筋梗塞が徐々に発生し、6から12時間ぐらいで完成する。症状として激しい胸の痛み、呼吸困難、冷汗、嘔気、嘔吐など現れる。
心筋梗塞症が起きると心臓の筋肉の動きが低下し、ポンプの機能が落ちる。また筋肉がもろくなり、破れやすくなる。もろくなった部分は徐々に修復され、3ヶ月前後で固まってくるが収縮力は回復しない。また急性心筋梗塞の発生初期には重篤な不整脈が発生する。
急性心筋梗塞の診断は症状、心電図変化、血液検査の結果(心筋逸脱酵素)で判断されるが、治療開始が早いほどその後の結果が良いとされている。熟練した循環器専門医ならば、症状と心電図変化から即座に心筋梗塞を診断し、心臓の集中治療室(CCU)に患者を転送し、緊急カテーテル治療を考慮する。
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| A6 |
急性心筋梗塞は冠動脈が血栓などにより詰まり、血液の供給が途絶することにより起こる。血流の途絶が30分以上続くと、冠動脈によって栄養されている心筋が徐々に死んでしまい(壊死する)、心筋梗塞が発症する。
胸部中央や左胸に激しい痛みや圧迫感が出現し、ニトログリセリンが無効で、典型的な心電図変化が認められれば心筋梗塞と診断される。採血により心筋逸脱酵素が上昇すれば確定される。
放置して治療をしなければ胸痛は数時間持続する。高齢者、糖尿病患者では胸痛を自覚しないこともある。なんとなく元気がない、吐き気が主症状である(無症候性心筋梗塞)ことから、見落とされることも多い。
心筋梗塞は非常に重篤な病気であるので早期に心臓集中治療室(CCU)に患者を搬送することが大事である。適応があれば、早期に閉塞した冠動脈の血栓を溶かしたり、風船で拡張したりして、血流の再開を図る必要がある。合併症として不整脈や心不全が発生することもあり、集中治療が行われる。
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| A7 |
心臓には血液の逆流防止のために4つの弁がある。弁膜症とはこれらの弁が炎症、外傷または先天的に障害されて起きる。弁膜症には弁が狭くなる狭窄症と逆流を引き起こす閉鎖不全症、または両者が同時に起きることがある。
弁膜症は心雑音で偶然発見されることもあるが、①呼吸困難、浮腫などの心不全症状、②不整脈、③臓器塞栓症(血液の塊が脳、腎臓、手足の血管に詰まって起きる脳卒中症状、腹痛、手足の痺れ、痛みなど)、④感染性心内膜炎(抜歯などを契機に、細菌が弁膜に感染巣をつくり、弁膜を破壊したり、発熱、塞栓症を起こす)などで発見され。
軽症の弁膜症はほぼ無症状で経過し、特別の治療は不要であるが、中等度以上になると心臓に負担がかからないように日常生活に留意し、服薬が必要なことが多い。
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| A8 |
不整脈とは、脈の打ち方が正常でないことを意味する。脈が不規則になったり、速くなったり、遅くなったりする。
心臓が血液を全身に送り出すポンプである。心臓の筋肉が正常に動くには「刺激伝導系」という電気系統の制御が必要である。不整脈はこの電気系統の障害である。
不整脈の原因の多くは加齢・体質による。ストレス、睡眠不足、過労、興奮により不整脈が発生しやすくなる。普通の人でも精密検査すれば1日に数個の不整脈が発見される。多くは危険性の少ない不整脈である。弁膜症、心筋梗塞などの心臓病患者は普通の人よりも不整脈が出やすくなる。
不整脈には脈の遅くなる「徐脈」、速くなる「頻脈」、脈が飛ぶ「期外収縮」に分類される。徐脈には洞機能不全症候群と房室ブロックがあり、薬物療法は無力である。極端な徐脈ではペースメーカー移植をする場合がある。頻脈のうち、心房細動、発作性上室性頻拍、心室頻拍では薬物治療の他、カテーテルアブレーション(心臓の内膜を焼却する)をすることがある。最重症の心室細動では直ちに電気ショックなどの救命処置をしないと救命は困難である。「期外収縮」には心房性期外収縮と心室性期外収縮があるが、通常は危険性が少く、治療と必要としないことが多い。
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| A9 |
不整脈の症状は自覚されないことが多く、程度が強いときや夜間・不安時に気づかれる。
脈が遅い場合、動くと息切れを感じることがあり、極端に遅いとめまい、フラットすることが生じ、数秒間脈が止まると意識をなくすことがある。脈が速い場合動悸を自覚したり、さらに速くなると吐気や冷や汗、意識が遠のくことがある。脈が極端に遅かったり、速かったりすると心臓のポンプ能力が低下し、心不全を起こすことがある。
期外収縮では症状のない場合が多いが、脈の飛ぶ感じ、胸騒ぎ、きゅっとする胸痛を感じることがある。
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| A10 |
心不全は病名ではなく、「心臓がバテてしまって、ポンプ機能が低下し、十分な血液循環ができなくなった状態」をいいます。心不全には急激に起きる急性心不全(例えば急性心筋梗塞による)と徐々に起きる慢性心不全(例えば弁膜症による)がある。心不全を引き起こす原因には、急性心筋梗塞、弁膜症、心筋症などの心臓病のほか、長年の高血圧によって心臓に負担がかかり、心機能が低下して心不全になることがある。
急性心不全ではショックや肺水腫になることがある。前者は(!)広範囲心筋梗塞の時に心臓が広範囲に壊死に陥り、、ポンプ機能が著しく障害された場合、(2)心筋梗塞の合併症として心破裂や心室中隔穿孔などが発生した場合に現れる。血圧低下、頻脈、冷汗、意識低下などが出現する。後者では肺の毛細血管圧力が上昇したために起きる。呼吸困難、ピンク色の泡沫状の痰、チアノーゼ症状となる。
慢性心不全の症状には、(1)心臓のポンプ機能が低下し、十分な血液を送り出せないための症状、(2)血液循環がうつ滞して起きる症状がある。前者では疲れやすい、だるい、四肢の冷感、意識障害、尿量減少などが出現し、後者では肺のうっ血による呼吸困難、起座呼吸(横になると息苦しくなり、起きて座る状態)などの症状や心臓(右心房)への流入がうつ滞して起きる腹水、下肢の浮腫、腹部膨満や腹痛(肝腫大による)などの症状が起きる。
急性心不全の場合はCCUなどで濃厚な薬物療法が必要なことが多く、重症例では補助循環や手術などの治療を要する。慢性心不全の治療では安静、塩分制限は当然であり、ジギタリスや利尿剤が投与される。さらにACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬が投与されるようになっている。
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| A11 |
心臓は収縮と拡張を繰り返し、断続的に血液を全身に送り出す。そのとき血液が動脈壁を押し上げる圧力が血圧である。心臓が収縮するときに伝わる圧力が最高血圧(収縮期血圧)、拡張するときの圧力が最低血圧(拡張期血圧)とい呼ばれる。繰り返し測定した血圧が正常よりも高い時高血圧と診断される。
高血圧治療ガイドライン2009によると、収縮期血圧が140Hg以上、あるいは拡張期血圧が90 mmHg以上を高血圧とし、収縮期血圧130~139mmHg、拡張期血圧85~89
mmHgを正常高値血圧としている。更に収縮期血圧120mmHg未満、かつ拡張期血圧80mmHg未満を至適血圧としている。

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| A12 |
我が国では3,300万人(国民の4人に1人)が高血圧と言われている。高血圧症は発症の原因から(1)本態性高血圧症と(2)二次性コ血圧症に分類される。(1)は全体の95%以上を占め、原因は不明であるが、遺伝および過剰な塩分摂取、飲酒、喫煙、運動不足、精神的ストレス、肥満などの環境因子が大きく関与し、生活習慣病の一つである。(2)は原発性アルドステロン症、腎動脈狭窄、褐色細胞腫などの血圧上昇を引き起こす病気のために二次的に発病する。
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A13
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高血圧の初期は自覚症状があまりなので放置されることが多い。しかし、高血圧を放置して持続すると動脈の壁は次第に厚く硬くなり(動脈硬化)、脳梗塞、脳出血、動脈瘤、心筋梗塞、腎硬化症が起こりやすくなる。更に、心臓は高い圧力をかけないと血液を送り出せないため、負担がかかり心肥大が起こり、やがて心不全を引き起こすことがある。
高血圧によるこのような心血管疾患の発症率は年間2~3%未満とされるが、リスクの高い人ほど発症が高いといわれている。
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| A14 |
日常生活の注意点の基本は生活習慣の改善である。
(1) 食事療法:a)食塩制限:日本人の1日平均塩分摂取量は10から12gといわれ、味付けなどを工夫し、約半分の6g未満になるように心かけよう。外食時は塩分の多いラーメンやそばつゆなどに気をつけよう。b)野菜、果物の摂取:含まれたカリウム、カルシウムなどは降圧効果がある。c)カロリーとコレステロールの制限:過食は肥満、高脂血症につながる。肥満の人は体重を1kg減量すると血圧が1mmHg程度低下すると期待されている。
(2) 運動療法:ゆったりしたペースで無理なく行う運動でも降圧効果が認められている。ウオーキング、ジョギング、水中歩行などの少し汗ばむ程度の有酸素運動が勧められている。可能ならば1日30分以上週3~4回以上行うことが望ましい。ただし、心臓病や血圧の高い人は主治医と相談してからはじめてください。
(3) 適正体重の維持:肥満(特に内臓脂肪型肥満)はメタボリックシンドロームの元凶とされ、高血圧などの生活習慣病を引き起こす。男女ともBMI=25を超えないように努力しよう。≪BMI
=体重(kg) / 身長(m)×身長(m)≫
(4) 適度の飲酒:アルコールを少量摂取する人はまったく飲まない人に比べ、心臓病による死亡が少ないと報告されている。男性ではビールなら中ビン1本(200kcal)、日本酒なら1合(180cc;
200kcal)女性ならその半量が適量とされている。過多の飲酒は脂肪肝、肝機能障害、体重増加,血圧上昇を来す。
(5) 禁煙:喫煙により血管が収縮し、血圧が上がると共に血液が凝固しやすくなり、動脈硬化が加速する。
(6) 入浴時の注意:高温(>42°C)のお風呂に長時間(>10分)浸ると、血管が急速に拡張し血圧が著しく低下することがある。特に動脈硬化が進んでいる人は血圧低下が著しく、入浴中の事故につながるので注意を要する。
(7) 排泄時の注意:排泄(大便)時に長時間力むと血圧が上昇する。規則正しい排便習慣、繊維の多い野菜、海草などの摂取、運動などをして便秘にならないように注意する。
(8) 十分な睡眠と休養:睡眠不足、ストレスは高血圧をきたす。肉体的・精神的過労を解消し、十分な睡眠と休養をとりましょう。
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| A15 |
主要降圧薬として単剤もしくは併用使用を目的に最初に投与すべき降圧薬は,JSH2004では,Ca拮抗薬,ARB,ACE阻害薬,利尿薬,β遮断薬,α遮断薬の6剤であったところが,JSH2009ではα遮断薬が外れ,1)降圧薬は1日1回投与を原則とするが,24時間にわたって降圧することがより重要であり,1日2回の分割投与が好ましいこともある。2)降圧目標を達成するためには,多くの場合2,3剤の併用が必要となる。その際,少量利尿薬を積極的に併用すべきである。3)合剤により処方を単純化することはアドヒアランスの改善,血圧コントロールの改善に有用である,等の詳細な記載となった。併用療法については,JSH2004からβ遮断薬とα遮断薬の併用が外れた。

*1少量から開始し、注意深く漸増する *2非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬 *3冠攣縮性狭心症には注意 *4ループ利尿薬 *5メタボリックシンドローム *6ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬
また,主要降圧薬の積極的適応については,Ca拮抗薬では糖尿病が外れ,頻脈(非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬)が追加され,ARBとACE阻害薬では蛋白尿,メタボリックシンドロームと心房細動予防が新たに追加された。
降圧剤の副作用を心配して服用したがらない人がいるが、これらの副作用は中止すればほとんど回復する。
高血圧は重篤な合併症が出現するまでは症状が乏しく、”silent killer (沈黙の殺し屋)”といわれている。必要時は服薬しましょう。降圧剤は原則として一生の飲み続ける必要があるが、生活習慣の是正により、血圧が正常化して降圧剤の減量または中止となる人もいる。

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| A16 |
血圧をどこまで下げるかについては、(1)下がりすぎるとよくないかもしれないという”Jカーブ理論”と(2)”The lower, the better.”の二つの考えがある。Jカーブ理論は頚動脈や冠動脈に狭窄がある場合、血圧を下げすぎると潅流が悪くなり、結果として虚血や梗塞が生じる考えです。しかし、高リスクの患者でも血圧を130/80あるいは135/75まで下げたほうが有益であることが明らかになっている。すなわち、血圧が低いほどいいと考えられている。
拡張期血圧を下げすぎると冠動脈の血流が低下することが心配されるが、拡張期血圧が67 mmHgまで下げても心筋梗塞の発生は減少して、利点の方が大きいと報告されている。
さらに、中年~高齢者(59~89歳)のどの年齢層においても、収縮期血圧(120~180mmHg)、拡張期血圧(70~110mmHg)ともに低いほど脳卒中の発生率が低いことが報告されている。Jカーブは存在しないと思われる。しかし、高齢者や狭心症のある患者では症状や心電図などを参考に徐々に降圧する必要がある。---詳しくはこちらへ
高齢者についてはJSH2009では、降圧目標はJSH2004と同様に140/90mmHg未満とされ,高齢者でも厳格な降圧を必要とすることが強調された。ただし75歳以上の後期高齢者では,150/90mmHg未満を中間目標とした緩徐な降圧を行う。推奨薬剤はCa拮抗薬またはRA系阻害薬,少量の利尿薬であり,必要に応じて2剤,3剤を併用する。

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高脂血症とは、血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)が多過ぎ病気のことです。高脂血症を放置し動脈硬化が進んでも、症状がほとんどない"沈黙の病気”です。やがて動脈内腔が狭くなり、血栓が形成されて脳梗塞、狭心症、心筋梗塞などの重篤な血管合併症がおこる。
*動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版では、「高脂血症」という記載では重要な脂質異常である低HDLコレステロール血症を含む表現として適切ではないため、「脂質異常症」に記載が変更されましたが、本HPでは従来の名称「高脂血症」で記載する。

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血液中の脂質(脂肪)には(1)コレステロール、(2)リン脂質、(3)中性脂肪(トリグリセライド)、(4)遊離脂肪酸の4種類があります。血液と脂質は「水と油」と言われ、そのままでは脂質は溶けないので、アルブミンやリポ蛋白(比重により5種類に分類される)という容器に同梱されて全身を循環する。
肝臓で生成された脂肪を含むリポ蛋白が組織に運搬されて利用される過程で「低比重リポ蛋白(LDL) 」となる。細胞への取り込み障害や肝臓でのコレステロール産生過剰で血液中に
LDLコレステロールが多く残り、高コレステロール血症となる。このLDLコレステロールが血管壁に進入すると動脈硬化の元となるので悪玉コレステロールと呼ばれている。一方、体内の利用されない脂質を回収する「高比重リポ蛋白(HDL)」コレステロールは動脈硬化を予防する作用があり、善玉コレステロールと呼ばれている。
さらに、(1)と(2)は細胞膜や、ホルモン,胆汁の構成成分として必要であり、(3)と(4)はエネルギー源として利用される。
1)コレステロールが高い:総コレステロール値 220mg/dl以上またはLDLコレステロール値 140mg/dl以上
2)中性脂肪が高い:トリグリセライド値 150mg/dl以上
3)HDLコレステロールが低い:HDLコレステロール値 40mg/dl未満
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欧米の大規模臨床試験では、高脂血症治療により狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の発生予防(一次予防)や狭心症や心筋梗塞の人の再発予防(二次予防)が可能が否かが研究されてきた。これらの研究から、スタチン系の高脂血症治療薬の服用により悪玉LDLコレステロールが低下すると、発生予防が2~3倍あるとされ、特に再発効果が顕著である。
米国のフィブラート系の薬剤を用いた研究(VA-HIT)では、悪玉LDLコレステロールが低下しなくても、トリグリセライドの減少と、善玉のHDLコレステロールの上昇により、心筋梗塞などの冠動脈事故(22%)や脳梗塞(27%)が減少すると報告くしている。
日本での成績では、トリグリセライドが上昇すると狭心症などの虚血性心疾患の発生が激増する。トリグリセライド100mg/dlのときの危険度を1とした場合、250mg/dlまで上昇すると日本では5倍、アメリカに1.7倍に比べて遥かに危険である。
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リスク別高脂血症の治療目標値
まず悪玉コレステロールであるLDL-Cを評価し、各人の危険因子の数により、4つのカテゴリに分類する。
それぞれの分類に従って治療の目標値を設定する。
詳細は高脂血症表2参照

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高脂血症の原因に遺伝も関係するが、8割以上は食べすぎ、高脂肪食、運動不足がどの生活習慣、肥満などが関与している。従って適切な食生活が重要である。食事療法の基本は以下の通りである。
(1)エネルギー制限と体重制限
高コレステロール血症の人では体重が1kgの増えると総コレステロール値が20~40mg/dl上昇し、逆に体重が減少すれば総コレステロール値や悪玉コレステロールが低下する。従って標準体重に近づくように適切な総エネルギー量(kcal)になるようにカロリー制限が必要である。以下に標準体重と総エネルギー量(kcal)の計算式を示します。
標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22;例えば160cmの人では1.6×1.6×22=56.3kg
:適切な総エネルギー量(kcal)は標準体重と生活活動の強度から計算される。
すなわち総エネルギー量(kcal)=標準体重(kg) × 生活活動強度指数(kcal)
生活活動強度指数:
*軽労働(主婦・デスクワーク):25~30 kcal
*中労働(製造・販売業・飲食店):30~35 kcal
*重労働(建築業・農業・漁業):35~40 kcal
例えば標準体重が60kgで主にデスクワークの人の適切な総エネルギー量は1500~1800kcalとなる。
ただし肥満があれば目標値を低めに設定する必要がある。
(2)脂肪制限
わが国では総エネルギー摂取量における脂肪の割合は年々増加し、この30年間で20%未満から27%に増加し、特に若い年代で増加が顕著である。心筋梗塞の増加が危惧され、脂肪摂取量は25%以下に抑制する。
さらに、飽和脂肪酸(主に獣肉類の脂肪)と不飽和脂肪酸(主に植物性脂肪や魚の脂肪)の摂取比率を1:1.5~2の割合にするように心がける。魚に含まれるイコサペント酸(EPA)やドコサヘキサエン酸はコレステロールや中性脂肪を下げ、血液をさらさらにする作用があることから、魚料理が勧められている。
(3) 食物繊維の摂取
さといも、かぼちゃ、大豆製品、ネーブルやいちご、しいたけなどのきのこ類やひじき、寒天などの海藻などは繊維を多く含み、脂肪の吸収を抑制し、コレステロールを低ささせるので積極的に摂取する。
(4)抗酸化作用のある食品の摂取
ビタミンE(かぼちゃ、ほうれんそう、たらこ、緑茶、植物油、ナッツ、果物)、ビタミンC(野菜、果物など)、βカロチン(青のりなどの海藻、黄緑野菜、玉露、にんじんなど)やフラボノイド(果物:りんごなど、野菜:たまねぎなど、緑茶などの茶類、赤ワイン、大豆など)をしっかり摂取する。これらは悪玉コレステロールが動脈壁に入り込み、酸化されて動脈硬化を来たすのを防ぐ。
(5) 高コレステロールの人は、コレステロール摂取量を1日300mg以下にし、コレステロールを多く含む食品を控える。肉の脂身や霜降り肉、バター、生クリームやアイスクリームは、コレステロール値を上げやすいのでとり過ぎに注意。鶏卵1個のコレステロールは約250mgであるので1日1個が限度である。
(6) 中性脂肪が高い人は、砂糖、菓子類や果物などの糖分摂取を制限し、アルコールも1日に日本酒にして1合程度、ビ-ルなら中びん1本、ウイスキ-はダブルで1杯、赤ワイングラス2杯程度に制限する必要がある。
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