エアブラシ 実際に塗ってみよう


いよいよ実際に塗装してみます。

塗料の希釈
エアブラシに使う塗料は、ラッカーにしろアクリルにしろ、
ビンに入っているままの濃度では使えません。
必ず溶剤で薄めます。
この、塗料の濃度がエアブラシ塗装の成否を決めるといってもよい。
非常に重要な手順です。


まずは塗料を塗料皿に出します。
今回は買ったはいいけどぜんぜんつかってない、ロシアングリーンを
使ってみました。
在庫数年、初めて開けた気がする・・・・・
塗料はふたをしていても溶剤分が揮発していきます。
この通り、すっかりどろどろに・・・・糸引く濃さです。


塗料皿にあけてもこの通り、丸くなったまま。
これじゃエアブラシはもちろん、筆塗りも無理な状態。
これをレベル0とします。


ラッカー溶剤を加えました。
比率は塗料1:溶剤0.5くらい。
これで新品塗料くらいに戻ったか。レベル1とします。
私の経験では、エアブラシにはまだ濃い。
筆塗り(細部塗り用)にはこれくらいでしょうか。


さらに薄めました。
塗料1:溶剤1の同率くらい。
これをレベル2とします。
おそらく、エアブラシ塗装に適切な濃度に近いはず。
筆塗り(広塗り用)もこんな感じ。サラサラです。

写真を撮り忘れましたが、
もう少し溶剤を加え、塗料1:溶剤1.5のものも作りました。
これをレベル3にします。いい感じです。
外観は上と変わらず。


さらに溶剤を加え、塗料1:溶剤2になりました。
非常に薄くなり、皿の底が透けて見えます。
これをレベル4にします。


さらに溶剤を加えました。塗料1:溶剤2.5くらいです。
完全にサラサラで、皿の底がよく見えます。
スミ入れ用の濃度一歩手前ですね。
これをレベル5にします。


レベル1〜5の塗料を、順に吹きました。
コンプレッサー圧0.13、ブラシは0.3ミリのタイプを使用し、
プラ板を垂直に立てて、距離は1p前後、トリガーをちょい引いて
(これは数字化無理)1秒間前後吹いたものです。
プラ板はサフェーサーを塗ってあります。
左からレベル1です。

1は完全に濃すぎですね。粉っぽく大きく広がっています。
今はいいですが、間もなく詰まって塗料が出てこなくなる濃度です。
2は吹けますが、ちょっと濃い感じ。粉っぽさがのこっています。
塗料が濃いと、トリガー引いてから塗料が出るまで、
一瞬の間があくのです。
3は丁度良し。非常に吹きやすい濃度です。こうなるように調整しましょう。
4は薄い。エアの風圧で塗料が押し広げられ、真ん中が薄くなります。
ドーナツ化現象?この状態って、実際の塗装でも良く発生します。
5は完全に薄くて、まるでダメです。お花が咲いたような感じになります。

どろどろの状態からの希釈ですから、絶対的基準にはならないですが、
塗料1:溶剤1〜1.5くらいが適切な濃度ということになります。
あくまでも塗料の状態によるので、経験を積んで
判断する以外にありませんが。

一番正しいのは、
一回色を変えるたびに、
プラ板(サフェーサー塗り)に吹いてみる
ことです。

いきなり模型に吹き付けないように!
失敗する可能性大です。
濃度もそうですが、前の塗料が残っていたりして、
別の色や溶剤が吹き出てくる可能性大です。
試し吹きは紙や布など、塗料を吸い込む素材では意味なし。
金属板やただのプラ板も塗料が滑って飛ばされるので、
基準になり得ません。
サフェーサー塗装済みプラ板を用意しておくことをおすすめします。


上では塗料の希釈は塗料皿で行いましたが、
面倒くさい、ブラシのカップに直接入れてできないの?と思われるかも。
できます。
ただし、注意点がいくつか。
カップには先に溶剤を入れます。塗料を先に入れないでください。
濃い塗料が濃いままブラシ内部へ入っていき、詰まります。
全部塗料を出してうがいする羽目になりますよ。

カップに溶剤を入れ、塗料をちょっとずつ入れる。
その都度ようじかなにかでよく混ぜる。

そうすれば詰まることもないでしょう。



ブラシと対象との距離

レベル3の濃度の塗料を使い、実際に吹いてみます。
スペックは上とほぼおなじで、時間のみ0.5秒くらいに縮めました。
プラ板との距離だけ変化させます。
一番左は距離0。ノズルをプラ板に押しつけるような距離です。
順に、3ミリ前後、5ミリ前後、10ミリ前後、20ミリ前後、30ミリ前後です。

エア圧、濃度、トリガー引きしろに変化がなくとも、
対象との距離で太さが変わるのが理解できると思います。
また、ボケ味も同様、対象との距離で変化していきますね。

一言で言えば、距離と太さ・ボケは正比例して変化するわけです。
広く塗りたければ距離をとり、細く吹きたければ近づける。
ぼかしたければ距離をとり、ぼかしを少なくしたければ近づける。


注意点として、左の二つは、濃度は正しいのに距離が近く、
エア圧で塗料が飛ばされています。
このように近い距離で塗りたい場合はエア圧を下げる必要があるわけです。



一点に吹くのではなく、ブラシを移動させながら線吹きしました。
移動速度は、上から下へ、4pに約1秒です。
普通に吹くよりかなり速い速度です。

左は距離0、順に3ミリ、5ミリ、10ミリ、20ミリです。
ここで注意して欲しいのは、線の最初と最後です。
丸く塗料が濃くなっている部分があります。
全体吹きなら問題にならないのですが、細かい迷彩パターンを塗る際、
この一瞬の「丸」は目立つ。
指先の引きの調整である程度押さえることは可能ですが、ゼロにはならない。
下地の色でのリタッチが必要になる場合も出てきます。

もう一つ注目して欲しいのが、
一点で吹いているより、色の透明度が上がるという点。
下地の色が見えるようになります。
つまり、透明度はブラシの移動スピード(=時間)に比例して上がる。
一カ所にブラシが止まっていれば下地が隠れ、
さっと通り過ぎれば下地の見える仕上がりになります。
前線での急造迷彩によくある、透けた迷彩パターンがこれですね。



迷彩パターンを吹いてみよう

エアブラシの大活躍の場といったら、何といっても迷彩塗装でしょう。
作例でおいおい実演するとして、
今はめんどくさいので図で説明しちゃいます。

特に大戦中のドイツ機、ドイツ車両などは、
非常に細かく繊細なパターンで迷彩されており、
これが大きな魅力となっています。この再現にはエアブラシは大きな味方。

でも、エアブラシにも限界があり、
上で見たようにどうしても丸っこくしか塗ることができない。
それをうまくカバーしましょう。


ドイツ機のインクスポット迷彩をイメージします。
まず下地の色を塗ります。


グリーンでパターンを塗りましたが・・・・
御覧のようにどうしても丸っこいパターンになる。


そこで下地の色でふたたび吹くのです。
そうすればこのようにパターンがシャープに。



ドイツの夜間戦闘機によく使われたパターンです。
まずはダークグレーで塗りつぶしちゃいます。


で、下地の色で線を引くように塗れば、
御覧の通り、三角形のパターンのできあがり。


今度はドイツAFVをイメージした迷彩です。
下地を塗ってから・・・・


グリーンとブラウンでパターンを描きます。
しかし単調で丸っこい。かっこわるいパターンですね。


で、再び下地の色でリタッチ。
こんな風に不規則でシャープなパターンへ変身です。


下地のダークイエロー塗り。


グリーンを大きく塗ってから・・・・


ブラウンを塗ります。


下地のダークイエローで形の調整。
ドイツ迷彩っぽくなりました。


エアブラシの特徴の一つが、
塗膜を薄くできること。
何回でも重ね塗りが効き、何回でも修正が可能です。
納得いくまでパターンをいじってください。

あとはもう、ひたすら練習あるのみですね。
プラ板相手に練習もいいですが、
やっぱり模型を塗っている方が楽しいはずです。

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