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妊娠9ヶ月(32〜35週)


胎児の様子

頭を下にした姿勢に落ち着きます
妊娠28週ごろまでの赤ちゃんは、羊水の中でクルクル回転して、頭が上になるさかごの姿勢(骨盤位)になることもありました。しかし、妊娠30週ごろには、ほとんどの赤ちゃんは、頭が下になる頭位の姿勢に落ち着きます。ですから、さかごの診断がついたら、お産の対策について検討する時期です。
 頭位に落ち着いた赤ちゃんには、子宮はかなり窮屈になります。羊水量も少なくなって運動が制限され、手やひじをムニュッと突き出したり、足やひざで子宮壁をポーンと蹴ったりの動きになります。胎動としては「赤ちゃんの足?ひじ?」と思わせられるような、モッコリとおなかが盛り上がったり、グニュグニュッとおなかの表面が波打ったり、おなかが部分的にかなり大きく動くようになります。胎動は赤ちゃんからママへ「元気だよ!」と知らせる便りです。1日に1回、安静にして、胎動を観察しましょう。赤ちゃんはおよそ20分おきに眠ったり起きたりしています。もし、30分以上も胎動が感じられなかったり、今までになかったような激しい動きを感じた時は、赤ちゃんからのSOSかもしれません。できるだけ早く診察を受けましょう。

皮下脂肪がついて顔がふっくらしてきます
赤ちゃんの体には皮下脂肪がついて丸みを帯び、顔もふっくらしてきます。全身をおおって羊水の刺激から守る働きをしていたうぶ毛が薄くなり、皮膚の色、爪の色にもつやが出てきますし、髪の毛や爪も伸びてきます。また、内性器、外性器ともに完成します。
 妊娠37週未満のお産は早産ですが、妊娠34週ごろになると、赤ちゃんは外見的にも内臓などの完成度も、誕生後の赤ちゃんとほとんど変わらないぐらいまでに成長します。このため、妊娠34週以後であれば、たとえ早産で生まれても、ほぼ成熟児と変わらずに育つことができるようになります。

発育の個人差が大きくなります
妊娠34週ごろにはいつ生まれても大丈夫なぐらいまでに成長しますが、発育の個人差は大きくなります。この時期、赤ちゃんの発育を観察する方法はいくつかあります。
★推定体重
 超音波検査で体重を推定します。大横径(頭の横幅)、腹部面積、大腿骨の長さを測って体重を推定します。子宮内胎児発育遅延が疑われる場合には、さらに詳しい検査をします。
★胎児評価
 赤ちゃんが元気かどうかを調べることを「胎児評価」といいます。一番簡単で頼りになるのが、赤ちゃんの心拍数を調べる胎児心拍数モニタリングです。ママのおなかにつけたセンサーを分娩監視装置に連動して、心拍数を調べます。妊娠後期の妊婦健診では、NST(ノンストレステスト)といって、胎児心拍数と胎動、ママの子宮収縮を同時にモニタリングするようになります。。


ママの状態
胃のもたれ、動悸、息切れなどが出てきます
子宮がみぞおちのあたりまで届いてきますから、胃や肺を上にもちあげ、心臓を圧迫するようになります。このため、胃がもたれたり、動悸や息切れなどの症状が強くなります。
 胃が子宮に押されると1回に食べられる量が減ります。過食をしないように、1回の食事量を抑えてくれる胃からのサインと受け止めましょう。食事量が減った分、すぐにおなかがすきます。お菓子などの間食が欲しくなりますが、これはガマン。1日の食事量を6回ぐらいに分けて食べる「小分け食い」にするのがコツです。
 このころには、血液の循環量が妊娠前より30%以上多くなって心臓への負担が大きくなるだけでなく、肺や腎臓などすべての内臓への負担がピークに達してきます。軽い動悸や息切れはほとんどのママが経験しますが、心配な時は早めに医師に相談しましょう。


腰が痛くなったり足がつることも
大きくなった子宮を支えるために、腰に負担がかかり、腰痛症状が強くなるママが多くなります。足のつけ根にも負担がかかり、股のあたりがつれたり、足がつったりすることがあります。
 おなかが大きくなると、体を動かすのがおっくうになりますが、適度な運動は、血行をよくして腰痛解消にも役立ちますし、太りすぎや妊娠中毒症の予防にもつながります。積極的に体を動かすようにしましょう。
 マタニティエアロビクスやスイミングに通っているママは、医師の許可を受けながら、引き続き、楽しく体を動かしましょう。ウォーキングやラジオ体操などを日課にするのも効果があります。ただし、おなかが張る時は、無理をしないで休みましょう。

尿が近くなったり、尿がもれたりします
子宮が膀胱(ぼうこう)を圧迫して容量が少なくなり、尿が近くなります。残尿感といって、排尿後に尿が残っているような感じも出てきます。尿意を我慢すると膀胱炎などの原因になりますから、トイレは我慢しないようにしましょう。
 くしゃみや咳をして下腹部に力が入ると、尿が少しもれることがあります。腹圧性尿失禁といって、お産が近くなったママにはよく見られるトラブルです。ホルモンや大きくなった子宮の影響で、内臓を支えている骨盤の底にある筋肉(骨盤底筋群)がゆるんだり、疲労します。もともと尿道が短い女性では、骨盤底筋のゆるみに伴い、尿もれが起こりやすくなるのです。尿失禁用のパットを使ったり、下着をまめに替えるなどの対策を。
 ただし、ときには破水(はすい)のことがあります。破水は赤ちゃんを包む卵膜が破れて中の羊水が流れ出るもの。尿と違って羊水は臭いがなく無色ですが、自分では区別がつかないこともあります。破水かも知れないと思ったら、早めに診察を受けましょう。

里帰り出産は妊娠35週ごろまでに帰郷しましょう
里帰り先の病院への予約は済みましたか。できれば妊娠中期に一度帰郷し、里帰り先の病院で健診を受けたり、母親教室に参加しておくと安心です。妊婦検診に通っている病院には早めに伝えて、妊娠経過を記した紹介状を頼んでおきます。
 できれば、妊娠9カ月のうちに、遅くても妊娠35週ごろまでには帰省しましょう。妊娠10カ月になると、妊婦健診は1週に1回になります。お産入院までに4〜5回は健診を受けたいものです。
 帰省する時の交通手段は、できるだけ短時間で済む方法で。パパの運転する車で帰る時は渋滞を避けて、無理のないスケジュールで帰りましょう。

おりものが増えたら注意を
普段よりおりものの量が増えたり、黄色みを帯びたりした時は、かゆみなどの症状がなくても早めに診察を受けましょう。細菌性腟症といって、とくに症状のないままに、居候のような細菌が増えていることがあります。細菌性腟症であっても、母体には何も困ったことは起きません。しかし、細菌が子宮のほうへ上がり、卵膜(赤ちゃんを包む膜)に炎症が起こると、破水して早産になる心配があります。早産の大半は、この細菌性腟症による卵膜の炎症(CAM)が原因とわかってきました。
 最近は、腟分泌物の検査で細菌性腟症を早期発見したり、早産の兆候をいち早くキャッチする検査法ができるとともに、炎症を抑えて早産を防ぐための治療法もあります。細菌性腟症と診断された場合も、ママは必要以上に心配せずに、指示された治療をきちんと受けるようにしましょう。