活用の足跡
1.はじめに
建造後間もない初代敬天丸を利用して,昭和29年(1954)5月〜6月に「奄美諸島の学術調査」が行われた.初代敬天丸は,その後も種々の調査研究に利用された.昭和49年に代船建造された敬天丸も,初代敬天丸と同様に,数多くの調査研究に活用された.調査研究は学生を対象とした乗船実習航海中に余席を利用して行われたほか,別途経費によって調査研究のみを目的とする航海も行われた.調査研究以外では,鹿児島大学の理学部,工学部,医療技術短期大学部(現医学部看護学科)の学生を対象とした実習に利用された.また,大学間学術国際交流にも貢献した.
初代敬天丸と敬天丸の航海海域は,鹿児島湾から南西諸島海域,東シナ海,本州南方海域,ミクロネシア,メラネシア海域,中部北太平洋海域までの広範な海域におよんだ.調査活動は鹿児島湾の海洋・海底調査,海洋エネルギー調査,黒潮調査とその関連の海洋調査,南西諸島の総合調査,南西諸島海域の海底地震調査,熱帯島嶼の総合調査などである.中でも黒潮調査と関連の海洋調査は本州南方海域から東シナ海,熱帯海域にまでに広がっている.また,鹿児島大学南太平洋海域研究センター(現:鹿児島大学多島圏研究センター)を中心として,全国の研究者が参加して,ミクロネシアおよびメラネシア海域の島嶼の総合調査が行われた.
以下に,航海事務記録や調査報告書などから調べた,初代敬天丸と敬天丸の活用の足跡を紹介する.記載は,初代敬天丸を利用した調査研究,専攻科学生または学部学生のための乗船実習航海の余席を利用して行われた調査研究,調査研究のための特別経費による調査研究航海,他学部などの教育利用の4種類に分類して,その各々について,年次順に海域・目的別にまとめ(文中敬称略),各航海についての簡単な説明を乗船者の所属機関(括弧内に乗船責任者を示す)とともに記した.なお,多岐の内容を短期間に調べたため,本稿の記載内容は万全ではないと思われる.事情をご理解の上,お許し戴きたい.また,個々の活用の模様については,敬天丸航海に参加された方々から本誌に寄せられた別掲の文章を参照されたい.
2.初代敬天丸 昭和29年(1954)〜昭和49年(1974)
建造後間もない昭和29年(1954)5月〜6月に「奄美諸島の学術調査」を鹿児島大学各学部の教官と鹿児島県立大学の教官35名が参加して行った.昭和32年(1957)から昭和34年(1959)までの3年間の毎年10月〜11月には,鹿児島大学と琉球大学が参加して,琉球諸島の学術調査を行った.これらの調査団の団長は山本清内(鹿大水産学部長)であった.
昭和30年(1955)の「日・米 ・加北太平洋海洋調査(NORPAC)」,昭和31年(1956)の「赤道太平洋海洋調査(EQUAPAC)」,昭和33年(1958)の「国際地球観測年赤道海流一斉調査(IGY)」に参加した.IGY航海はビキニ環礁での水爆実験があり途中で中止された.昭和40年(1965)から昭和43年(1968)まで4年間の毎年4月〜5月に「黒潮共同調査(CSK)」に参加し,東経125度線の春季の観測を担当した.海洋観測終了後,台湾南東海域でクロマグロの漁場調査を行い台湾の高雄港に入港した.これらの国際海洋調査の総括は高橋淳雄(鹿大水産学部)である.
3.乗船実習航海の余席を利用した調査研究 昭和52年(1977)〜平成14年(2002)
3.1 鹿児島湾調査
敬天丸による鹿児島湾の調査は,鹿大理学部による海底地質,海洋生物,水質調査が主なものである.昭和53年(1978)より昭和61年(1986)までの間と,平成13年(2001)に行われている.これらの航海の乗船責任者は,鹿大理学部の早坂祥三と大木公彦(地質関係),柿沼好子(生物関係),鎌田政明と坂元隼雄(水質関係)であった.平成13年の調査には産業技術総合研究所,
3.2 南西諸島海域の海洋と自然環境の調査
昭和52年(1977)と昭和54年(1979)に,南西諸島における火山島の火山学研究および南西諸島周辺海域の海洋生物学的,海洋学的研究が行われた.早坂祥三(鹿大理学部), 蟹江松雄(学長)を乗船責任者として,鹿大理学部,鹿大水産学部,鹿大工学部,鹿大理学部,鹿大教養部の教官と学生が参加した.
3.3 琉球弧南端海域海洋環境に関する台湾大学との共同調査
昭和58年(1983)から昭和60年(1985)の3年間にわたって,特異な海底地形をもつ琉球弧南端海域の海洋学的研究が行われた.参加機関は,鹿大工学部(武石泰亮),鹿大理学部,鹿大農学部,鹿大水産学部,東大理学部,宇都宮大学教養部,神戸大学理学部,千葉大学理学部,静岡大学理学部,京都大学農学部,東京水産大学,台湾大学地質学部である.
3.4 海洋エネルギーの調査研究
昭和55年(1980)〜昭和57年(1982)の3ヵ年の各年秋に,海洋温度差発電の基礎調査として,南西諸島周辺の海洋調査を行った.この航海には,鹿大教養部(杉浦吉雄),鹿大理学部,鹿大工学部,神戸大学理学部が参加した.
3.5 海洋の動的構造に関する基礎的研究
敬天丸による南西諸島や東シナ海の黒潮調査は昭和52年(1977)から行われていたが,昭和54年度(1979)からは文部省科学研究費補助金による「海洋の動的構造に関する基礎的研究」によって黒潮の観測が本格的に開始された.この研究では,昭和59年度(1984)までの5年間にわたり,毎年1〜2回の航海を実施し,海洋観測と係留流速計の設置・回収を行った.調査海域は,本州東方B点,伊豆海嶺,都井岬沖,四国海盆である.なお,都井岬での係留流速計観測は,本研究終了後も水産学部独自に継続して続けられた.鹿大水産学部(高橋淳雄,茶圓正明),鹿大工学部(前田明夫),東大海洋研(寺本俊彦,平啓介),東京水産大,九大応力研,京大理学部が参加した.この研究を契機として,以下に述べる,黒潮の研究や深層循環の研究に敬天丸が継続して利用されるようになった.
3.6 本州南方海域の海洋混合層に関する総合研究
この研究は,世界気候研究計画(World Climate Research Programme, WCRP)に対応した国内計画の研究課題4「海洋混合層の実験観測」の一環として,文部省科学研究費補助金総合研究(A)に採択された研究であって,昭和61年(1986)から平成2年(1990)まで,鹿大工学部前田明夫を代表として行われた.敬天丸は主に海面ブイの設置・回収を担当した.この研究は次節に述べる「深層海水循環過程の研究」と同時に進行しており,敬天丸はしばしば同時に2つ研究課題の観測を合わせて,毎年1回〜2回の航海を行った.参加者の所属機関は,鹿大水産学部(茶圓正明,市川洋),鹿大工学部(前田明夫),東大海洋研(平啓介),九大応力研,北大理学部,東海大学海洋学部であった.
3.7 深層海水循環過程の研究
文部省科学研究費補助金重点領域研究「深層海水循環過程の研究」の研究課題「フィリピン海の深層西岸境界流と深層水の海盆への流入」の一環として,昭和62年(1987)から平成3年(1991)までの5年間に,四国海盆,琉球海盆,台湾南のバシー海峡,ヤップ海溝において深層流観測のための係留流速計の設置・回収やSOFAR フロートの投入を行った.毎年,1〜2回の航海が実施されたが,昭和63年(1988)には3航海を行った.これらの航海には,鹿大水産学部(茶圓正明,市川洋),鹿大工学部(前田明夫),東大海洋研(平啓介),九大応力研,北大理学部,名学水圏科学研究所,東海大学海洋学部が参加した.
3.8 日本産ウナギ幼生の採集
日本産ウナギの産卵場を特定するためには,ウナギの幼生を採集することが必要であった.それまで東大海洋研の白鳳丸が台湾近海などで大規模にウナギ幼生の採集を試みていたが,産卵場を特定するまでには至らなかった.鹿大水産学部の小澤貴和は,昭和63年(1988)と平成元年(1989)のマグロ延縄漁業実習航海に参加し,中層トロール網を用いた小規模な調査で,ミクロネシア海域においてウナギ幼生の採集に成功した.
3.9 南西諸島海域の海底地形地質調査航海
平成2年(1990)7月〜8月と,平成4年(1992)から平成13年(2001)までの10年間,4月〜7月に敬天丸により南西諸島近海の海底地震調査のための海底地震計の設置・回収と,スパーカーによる海底地形地質調査が行われた.また,平成7年(1995)8月にはエアーガンによる橘湾,有明湾内の海底下構造調査が行われた.
海底地震調査には,鹿大理学部(角田寿喜,後藤和彦,宮町広樹),東大理学部,東北大理学部,北大理学部,東大地震研究所,富山大理学部 ,九大理学部島原地震火山観測所,東北大院理地震噴火予知研究センターなどの研究機関が参加した.海底地形地質調査は鹿大理学部(大塚裕之,大木公彦),鹿大教養部(根建心具),ウイーン大学が参加した.
3.10 東シナ海における黒潮変動に関する研究
平成3年(1991)と平成4年(1992)に米国ロードアイランド大学と東シナ海の黒潮変動の共同研究を行った.この研究では沖永良部島の北西海域で黒潮を横断するように流速計と転倒式音響測深器(Inverted Echo Sounder, IES)を1991年秋に設置し,翌年10月に回収した.参加機関は,鹿大水産学部(茶圓正明,市川洋),鹿大工学部,および米国ロードアイランド大学である.
3.11 東シナ海における水塊分布機構の学際的研究
本研究は,青島海洋大学(現:中国海洋大学)と鹿児島大学水産学部との国際共同研究の一環として,平成5年(1993)から平成9年(1997)までの5年間と平成13年(2001)に行われた.敬天丸は毎年5月または6月に東シナ海の黒潮海域から中国沿岸水海域に至る観測線の観測を行い,黒潮水塊,東シナ海陸棚水,中国大陸沿岸水の分布を調査した.この研究は昭和62年(1987)に青島海洋大学(当時:山東海洋学院)の研究実習船“東方紅”が鹿児島に入港したことより始まった.平成3年には“かごしま丸”が調査航海を行った.平成5年からは敬天丸により行われた.平成8年には青島海洋大学の新造研究実習船“東方紅2号”が鹿児島に入港した.この研究には,鹿大水産学部(茶圓正明,市川洋,税所俊郎),鹿大工学部,鹿大理学部,青島海洋大学が参加した.
3.12 足摺岬沖黒潮協同観測(ASUKA)
本研究は,平成5年〜9年度文部省国際共同研究事業「海洋観測国際協同研究計画(GOOS)(代表:平啓介)」,平成5年〜7年度文部省科学研究費補助金総合研究(A)「黒潮及び黒潮反流の流量・熱流量の測定に関する総合的研究(代表:今脇資郎)」の一環として,平成5年(1993)から平成9年(1997)まで毎年,2回〜3回の航海が行われた.黒潮の観測は四国足摺岬から南東に黒潮を横断する観測線で係留流速計とIESの設置・回収とCTD/XBT観測が行われた.この観測航海には,鹿大水産学部(茶圓正明,市川洋),九大応力研(今脇資郎),ロードアイランド大,広島大工学部,東海大海洋学部,東大海洋研,海洋科学技術センターが参加した.
3.13 東シナ海における海水循環に関する研究
韓国海洋研究所との共同研究として,平成9年(1997)の3月,8月,11月と平成10年(1998)3月の合計4回の航海を行った.平成9年11月と平成10年3月の航海は,次に記す「上流域での黒潮変動モニタリング」の調査と関連する.韓国海洋研究所から2名が乗船し,鹿大水産学部(市川洋)と共同で,九州南西方の東シナ海大陸棚斜面域において係留流速計の設置・回収とCTD/XBT観測を行った.
3.14 上流域での黒潮変動モニタリング
この研究は,科学技術振興事業団の戦略的基礎研究推進事業「地球変動のメカニズム」の「黒潮変動予測実験(代表:今脇資郎)」の分担課題として,鹿大水産学部の市川洋を代表として,平成9年10月から平成14年9月までの5年間にわたり実施された.平成10年(1998)には6月 ,8月,11月 の3回の航海行われた.黒潮上流域である九州南西方東シナ海黒潮流域,トカラ海峡および奄美大島南東海域で,係留流速計の設置・回収とCTD/XBT観測を行った.また,四国南方海域でCTD/XBT観測,IESの回収・設置,係留流速計の設置が行われた.参加機関は,鹿大水産学部(市川洋,中村啓彦),鹿大工学部,ロードアイランド大学,科学技術振興事業団,九大応力研,九大院総合理工学研究科,地球観測フロンティア研究システムである.
3.15 東シナ海の海況モニタリングの研究
この研究は,文部省国際共同研究事業「縁辺海観測国際協同研究計画(NEAR-GOOS)」(代表:平啓介,平成11年より文部省科学研究費補助金特定領域「縁辺海の海況予報のための海洋環境モニタリングの研究」に再編)の計画研究班として,鹿大水産学部の市川洋を代表として,平成10年から平成13年の4年間の毎年6月に東シナ海黒潮流域および大陸棚域でCTD/LADCP観測,栄養塩類・クロロフィル・ピコプランクトン分析のためのRMS採水などが行われた.参加機関は鹿大水産学部(市川洋),鹿大理学部,鹿大工学部,青島海洋大学である.
3.16 石垣島付近でのマグロ延縄漁業調査
平成10年から平成13年の各年5月には,沖縄東方沖・東シナ海でマグロ延縄操業を行い,延縄漁具の水中での展開形状の計測,漁具沈降運動の計測,漁獲生物のストレス計測,クロマグロ稚魚および他魚種稚魚の採集,漁獲調査を行った.参加機関は,鹿大水産学部(松岡達郎,安樂和彦),水産庁西海区水産研究所,日本大学生物資源科学部である.
3.17 その他
マグロ延縄漁業実習ほかの実習航海中に得た,漁獲資料,CTD観測資料,航海資料,表層流速資料を用い,船舶教官(邉見富雄,湯脇泰隆,嶋田起宜,東政能,他)は数多くの研究を行った.また,鹿大水産学部の前田広人は平成13年4月〜5月に3名の大学院学生とともにホノルルまでの航海に乗船し,太平洋におけるピコプランクトンの分布形態の観測を行った.
4.特定研究航海 昭和52年(1976)〜平成13年(2001)
鹿児島大学南太平洋海域研究センター(平成11年に改組し,多島圏研究センターと改称)は,敬天丸を調査船とする文部省特定研究経費あるいは学長裁量経費の配分を受け,ミクロネシア,メラネシアの海洋,島嶼,畑作,自然環境,人間社会の調査を行った.以下にそれらを記す.
4.1 南方海洋生物生態調査
昭和51年(1976)10月〜11月の航海でグアムに寄港し,鹿大水産学部(平田八郎)と京都大学が参加して,グアム大学海洋生物研究所で鹿児島大学・グアム大学合同シンポジアムを開催した.
4.2 パプアニューギニアの人間と環境
平成元年(1989)11月〜12月の航海でラエとポートモレスビーに寄港し,調査を行った.参加機関は,鹿大南太平洋海域研究センター(井上晃男),鹿大水産学部,鹿大農学部,鹿大教育学部,鹿大教養部,信州大教育学部,京都大農学部,京都大霊長類研究所,神戸大理学部,佐賀大教養部である.なお,本研究航海のポートモレスビーからの帰路には,茶圓正明(鹿大水産学部)と櫻井仁人(鹿大工学部)が乗船して,「深層海水循環過程の研究」のためにヤップ島近海に設置してあった流速計の回収を行った.
平成2年(1990)11月〜12月の航海でも,ラエとポートモレスビーに寄港し,調査を行った.参加機関は,鹿大南太平洋海域研究センター(寺師真一),鹿大法文学部,鹿大水産学部,鹿大農学部,鹿大理学部,鹿大医療技術短期大学部,東大理学部,東京水産大学,弘前大医学部である.
平成3年(1991)11月〜12月の航海では,ラエとウエワックに寄港し,調査を行った.参加機関は,鹿大農学部(林満),鹿大南太平洋海域研究センター,鹿大水産学部,鹿大理学部,鹿大法文学部,鹿大教育学部,鹿大教養部,鹿大医療技術短期大学部,神戸大学理学部である.
4.3 ミクロネシアの人間と環境
平成6年(1994)10月〜11月の航海ではポンペイに寄港し,調査を行った.参加機関は,鹿大南太平洋海域研究センター(中野和敬),鹿大水産学部,鹿大農学部,鹿大理学部,鹿大工学部,九大理学部,弘前大医学部である.
平成7年(1995)10月〜11月の航海ではパラオに寄港し,調査を行った.参加機関は,鹿大南太平洋海域研究センター,鹿大農学部,鹿大理学部(塚原潤三),鹿大水産学部,鹿大教育学部,鹿大教養部,鹿大歯学部,東京水産大,群馬大,琉球大理学部,鹿児島県立短期大,兵庫県立博物館,ウィーン大学である.
4.4 多島域における小島嶼の自律性
平成 11年(1999)10月〜11月の航海ではヤップに寄港し,調査を行った.参加機関は,鹿大多島圏研究センター(中野和敬),鹿大農学部,鹿大法文学部,鹿大教育学部,鹿大工学部,鹿大医学部,鹿大遺伝子実験施設,佐賀大農学部,大正製薬(株)である.
4.5 ミクロネシア連邦ヤップ州ウリシー環礁学術調査
平成13年(2001)10月〜11月の航海ではコロニアとウリシーに寄港し,調査を行った.参加機関は,鹿大多島圏研究センター(青山亨),鹿大法文学部,鹿大教育学部,鹿大農学部,鹿大水産学部,琉球大農学部,鹿大連合大学院である.
5.他大学,学部,学科の学生の実習 昭和58年(1983)〜平成13年(2001)
5.1 マレーシア大学海洋水産学科の学生の実習
昭和58年(1983)7月〜8月の航海で,武石泰亮(鹿大工学部)が責任者となって,マレーシア大学の学生を対象とした乗船実習航海を行った.
5.2 鹿大理学部生物学科の海洋生物採集実習
昭和62年(1987)から平成元年(1989)までの3年間と,平成6年(1994)から平成12年(2000)までほぼ毎年8月または9月に海洋生物調査・採集実習を行った.航海海域は鹿児島湾,種子島,屋久島近海,奄美諸島海域で,教官(塚原潤三,市川敏弘),学生,大学院生約20名が乗船した.調査には,教育学部と農学部の教官と学生が加わった.
5.3 鹿大工学部海洋土木工学科学生の沿岸域の海洋測量,調査実習
昭和63年(1988)7月〜8月,平成元年(1989)7月〜8月,平成2年(1990)8月に実習が行われた.航海海域は鹿児島近海,瀬戸内海で,教官(前田明夫,櫻井仁人),学生20〜26名が乗船した.
5.4 鹿児島大学医療技術短期大学部の船内医療実習
平成11年(1999)4月, 平成12年(2000)4月,平成13年(2001)4月に,教官(嶋田紀膺子,下敷領寿美子)と助産学特別専攻学生約20名が乗船した.
6.国際交流
水産学部では,昭和60年代から中国および韓国の研究者との学術交流が盛んに行なわれるようになった.その一環として,敬天丸に乗船した学生・教官が外地に寄港した際に訪問した大学を,その年月とともに以下に示す.これらの大学と鹿児島大学との間では,敬天丸の寄港による学生および教官の交流の進展を契機として,大学間学術交流協定が締結されている.
・韓国釜山水産大学校(釜慶大学校海洋大学) 平成元年4月,平成2年5月,平成3年5月,平成5年6月,平成9年6月
・韓国済州大学校 平成4年10月,平成6年5月,平成9年5月,平成12年5月
・中国青島海洋大学 平成5年5月,平成6年5月,平成7年5月,平成8年6月,平成9年6月,平成13年6月
・韓国群山大学校海洋産業大学 平成8年4月
7.おわりに
以上に述べたように,敬天丸は初代の建造直後の昭和29年(1954)5月〜6月に行われた「奄美諸島の学術調査」以来,専攻科および学部学生の教育のみならず,国内外の研究計画に参加し,海洋科学研究の発展に多大な貢献を果たしてきた.昭和49年度から平成14年度までに乗船した鹿児島大学大学院水産学研究科学生と,他学部,他大学,研究機関などの教官,研究者,大学院学生学部学生の延べ総数は1612名に達している.昭和62年10月には,それまでの約30年間の海洋物理学的調査研究への貢献が評価され,敬天丸は,鹿児島大学水産学部の“かごしま丸”,“南星丸”,海洋環境物理学講座(当時)とともに,鹿児島大学水産学部海洋物理学研究グループとして,第20回MBC賞を受賞している.
敬天丸は,平成15年3月に用途廃止となるが,ここに述べた,その足跡は海洋観測資料の中に永遠に残り,その貢献は後世にまで語り継がれていくであろう.
(茶圓正明・市川洋)