第11章 下ヒ城 3.鍛錬 あの宴から3日後、城内はやっと落ち着きを取り戻し平常通りの日々に戻っていった。 昨日、散々呂布や趙雲に追いかけられたは疲れたように起き上がった。 「ったく、呂布も趙雲もしつこかったなぁ・・・お陰で体に痣出来ちゃったじゃない」 着替えながらは足や腕に付いた青く赤くはれ上がった痣を見て愚痴った。昨日追いかけられて 必死で逃げていたは何度も転び何度も体を壁にぶつけたのだ。 そのお陰なのか城内をぐるりと見れたのは良かった、は着替え終わると鳳凰閃刀を腰にぶら下げ 部屋を出た・・・するとすぐに出くわす、あの怖い顔。 「あ、呂布・・・おはよう」 「・・・ふん」 まだ少し怒っている呂布は挨拶を返さない、いや返したほうがちょっと怖かったかもしれないが・・・ こんな所に呂布がいるということは何か用事があるのだろうか? 「ここに来て鍛錬を怠り、体が鈍ってしまう・・・従って鍛錬をする」 「鍛錬かぁ・・・はい、分かりましたー」 淡々に話す呂布には気が抜けた返事を返す。 「そこでだ、蜀の軍師の奴に場所を提供して貰えるよう話し合って来い。以上だ・・・」 「え!?ちょっと!!」 呂布は簡単な用件だけ伝えるとさっさとその場を後にしてしまった。その後を慌て止める・・・ すると呂布は振り返り、口を開いた。 「話が終わったら俺のところに来い」 「・・・え、あの・・・」 だが、呂布の口からはが期待した言葉は出なかった。さっさと一人で行ってしまった呂布・・・ 呆然とはその後姿を見るしか出来なかった。 ふっと呂布の姿が見えなくなると・・・ 「パシリかいっ!」 は酷くむっとしてずかずかと進んでいく。 「そうだったか、だから諸葛亮殿の部屋に向かっているのだな?」 「そうなんだよね、もう!人使いが荒いんだから!」 「まぁまぁ、この役は殿が適任だと思ったのだろう?そう気を悪くするな」 途中で出くわした張遼と二人並んで廊下を歩く、はパシられることに大変怒っていた。 でもこういった交渉はの役目、呂布はの力量を知っていたのでこうしてこの話を押し付けたのだろう。 張遼も呂布の判断は正しいとに言い聞かせる、するとむすっとしているだが小さく頷いた。 「でも、こんないい日に鍛錬なんて・・・あーあ、のんびりしたいんだけどなぁ」 「いや、こんな日だからこそ鍛錬をするには絶好の機会だぞ?」 「どうして?」 日差しは暖かくお昼寝には最適な日、風もほんのり吹いて肌をすり抜けると気持ちよくなる・・・ なのにこんな日に鍛錬をするには絶好の機会とは?は首を傾げて尋ねると・・・ 「いい日だからと怠けていては武は磨けん、こんな日だからこそ鍛錬を積み重ね精神共に 鍛え上げるのだ」 「へぇ・・・」 熱く語る張遼・・・そういえば張遼は武の頂を目指している一人だった、の横で強く語った その張遼の目は武人のものだった。感心してはゆっくりと頷くと、ふと思った・・・ 自分自身も鍛える時なのかな?っと・・・ 二人はそれから黙って歩いていく、しばらくすると大きな扉の前に立った・・・ここは諸葛亮が 仕事をしている部屋、扉の前には色々な装飾が施されて威圧感さえ感じる。 コンコン 「おはようございます、諸葛亮殿・・・お時間宜しいでしょうか?」 はその扉をノックして声を上げる。すると中から人の気配が・・・それはゆっくりと近づいてきて 扉に手がかかった。 「おはようございます、お二人ともどうしたのですか?」 中からにこやかに現れた諸葛亮、宴の時とは違ういつもの諸葛亮が目の前に立っていた。 「少し、お話があるのですが宜しいでしょうか?」 「・・・ええ、宜しいですよ。あまり時間がありませんので手短にお願いしますね」 すっと扉を開いて達を招き入れる諸葛亮、一礼したと張遼はゆっくりと部屋に入っていく。 「あら?さんに張遼殿・・・どうされたのですか?」 「ええ、少し諸葛亮殿にお話がありまして・・・」 「突然の訪問、失礼した」 中に入ると何かの整理をしていた月英がいた、月英は二人に気が付くと笑顔を向けて尋ねる。 と張遼は手短に説明すると、それを理解できた月英は「どうぞ、こちらに・・・」と 席に案内してくれた。 「で、話とは一体なんなのですか?」 「実は、兵士達に鍛錬をさせたいと思いまして・・・場所を貸していただけないかと・・・」 薄笑いを浮かべて諸葛亮は尋ねると、は率直に説明をしたのだが・・・ 「ほう、それはそれは・・・」 扇を取り出した諸葛亮・・・その目はを射抜くような痛い視線に変わった! そして・・・諸葛亮vs ROUND 2 ・・・FIGHT!! 「あの呂布軍の兵士に場所を提供してほしいと?・・・鍛錬場を壊すつもりですか?」 「っ!?・・・居候の身、そういうことは兵士にきつく言い聞かせておきますので」 突然始まった戦いには驚いたものの、何とか平常心を保てる事が出来た。諸葛亮は を見下すように口元を扇で隠す諸葛亮、これぞ精神的にダメージを追わせる技だ! 「しかし・・・あの呂布殿の兵士、乱暴極まりないでは?」 「・・・では、何故その乱暴極まりない兵士を中に入れたので?」 しかも息をつかせぬままの連続パンチだ!自分の事ならまだしも兵士の事を言われ内心 怒りたい・・・のをぐっと堪えて、はその言葉の弱点をついた!その言葉は 諸葛亮の力量をけなすような言い方で、「所詮そんなものね」という軽蔑つきだ! 「・・・おっと、忘れてました・・・兵士よりも殿の方が乱暴でしたね、これは失礼」 諸葛亮はスッと話題を変えての一撃を避けた!少し卑怯な気もするが、この二人の間では 正当な攻撃・防御方法なのだ! 「・・・諸葛亮殿?女性を乱暴というのは失礼極まりませんよ?」 だが、はその諸葛亮の攻撃を弾き飛ばした。その弾き飛ばした攻撃は諸葛亮の精神面に ダメージを負わせる事になった!そのの言葉は諸葛亮の人間性にメスを入れるような攻撃だった。 「そうですよ、女性に乱暴という酷い言葉をいうのは・・・孔明様ですか?」 だが、ここでまたもや乱入者・・・月英が飛び出してきた!いや、月英はの援護に来たのだ! 月英は冷ややかな視線を送り諸葛亮を凍りつけさせた!ROUND 2 ・・・月英 () WIN!! 「兵士が鍛錬を出来ないなんて、かなりの拷問ではないですか?孔明様・・・」 「・・・・・・分かりました、許可しましょう」 月英のお叱りもあって諸葛亮は達の要望を飲む事になった。その事実にほっと胸を撫で下ろして 張遼と顔を合わせる。 「あ、それでしたら・・・」 「はい?」 何か思いついたように諸葛亮は声を出した。 「こうしましょう、こちらの兵士とそちらの兵士の・・・合同鍛錬にしませんか?」 それは本当に思いつきなのだろうか?何か裏は無いのか?は直ぐには首を縦には振らなかった。 この事は呂布を通して相談をしたほうがいいのではないのか?はそう考え込んでいると・・・ 「おや?この提案を受け入れないのですか?それほど、難しい提案ではないと思いますが?」 「・・・ですが、この事は呂布に話してから・・・」 「ほぅ・・・なるほど、兵士の無様な鍛錬を見せたくないのですね?」 「・・・何ですって?」 まるでをからかう様にけなす様な言い回しをする諸葛亮・・・いや実際その標的は ここには居ない兵士達に向けられたものだった。その言葉にはピクリと反応をした・・・ 兵士を馬鹿にされた、これは自分に向けられるよりもカチンときた。 「いや、いいんですよ?隠れてやっていただいても・・・」 その言葉がを燃えさせた。 ダン!と机に両手をつくとはキッと諸葛亮を睨んで・・・ 「合同鍛錬、やります!」 ここまで言われて引き下がる事は出来ない!背後に炎を背負いはやる気満々だ! はそのまま張遼を引っ張って部屋を後にした・・・はまんまと諸葛亮の言葉にのせられたのだ! 不意打ちの場外乱闘・・・勝利を掴んだのは諸葛亮だった。 鍛錬場・・・そこに向かう一軍があった。とてつもない殺気を放ち、その殺気で野良猫が逃げ出してしまう。 皆の気迫は尋常じゃなかった、我々の鍛錬・武を見せてやろうと!とみな躍起になっている。 先頭にいる呂布も一段と怖い形相で向かい、張遼も静かにその闘志を燃やしていた。 鍛錬場につくと、先に蜀の兵士達が綺麗に整列をして待機していた。 互いの意地にかけて、己の武を見せ付けるため・・・男達(女子も含まれる)は睨み合った! 「ふん!カス共が!何人集まろうと、俺の軍には勝てない」 「俺達の兵士を舐めんじゃねぇ!」 軍と軍の間で呂布と張飛が睨み合う、互いに引かないその姿勢は武将だということをまざまざと見せ付ける。 その二人に続くように兵士達も異様に力を込め始める。も前の列でやる気十分だ・・・ 「では!これより、合同鍛錬・・・開始する!!」 関羽が高台から大声で号令をかけると、地響きのような兵士達武将達の雄たけびが鳴り響く。 すると、開始されるそれぞれの鍛錬・・・掛け声と共に武器が風を斬る・・・ まさに圧巻だった。大勢の兵士が一糸乱れぬ動きにそれを覗きに来た文官達は息をするのも忘れてしまっている。 「はぁ!!やぁっ!!」 も呂布軍と同じ型で剣を振るう、強くしなやかに・・・無駄の無い動きで鍛錬をしている。 呂布軍の気迫に負けじと蜀の方もさらに声と気迫を高めた。互いに意識し力を見せつける・・・ しかし、どちらも一歩も譲らない。 ずっと、続くと思われたその気迫の応戦に・・・張飛が一人軍と軍の間に入ってきた! 「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」 張飛は目立つように矛を振り回しパフォーマンスを始めた。それは一瞬で大勢の兵士をなぎ払うような 強さを感じた。圧倒的な力を見せ付けられて呂布軍の兵士は息を呑んだ・・・ 「俺も居るぜ!!」 するとやってきたのは馬超・・・この場は譲れないとばかりに馬超は槍を手に振るい始めた。 張飛とは違う槍捌き・・・素早く隙が無い。大きく回した槍からは風が発生していた・・・ 「うおぉぉぉっ!!張飛殿!馬超殿!!」 二人のパフォーマンスに蜀の兵士が一気に盛り上がる、それを黙ってみていた張遼が・・・ 「ふっ・・・私の武も見ていただこう!!」 不敵な笑みを浮かべて張遼は鎌刀をビュン!っと振り回す。軽やかな足取りで振り回す鎌刀から 風を斬る音が聞こえる・・・その音はまるで音楽を奏でているように様々な音を作り出していた。 「流石!張遼殿ーー!!」 すると呂布軍から歓声の声が上がる・・・呂布軍も負けじとパフォーマンスをするが これに蜀が黙っているわけにはいかなかった! 「うむむ、ワシの武勇も見てみよ!!」 「我・・・回ル・・・」 すると、黄忠も魏延も名乗り出てきて・・・何故か武勇披露宴になってしまった。 二つの軍の間で行われる武将のパフォーマンスに兵士は声を上げて場を盛り上げる・・・ だが、そんな事を無視して地道に頑張る武将の姿も見え隠れする・・・ 「全く・・・何をしているのだ」 「・・・関羽殿、止めてきますか?」 その鍛錬場の端の方で普通に鍛錬を重ねる武将達・・・呆れるように視線を向ける お祭り騒ぎのように騒ぎ立てる兵や武将にはついていけないと言わんばかりだ。 「でも、楽しそうでござる・・・」 「・・・関平が行っても何も出来ないわよ?」 「しっ失礼だぞ!拙者だって!!」 遠巻きで見るその雰囲気に関平が恨めしそうに眺めていると、星彩にからかわれた。 行ってもただ人の波にのまれるだけでしょ?という目線を向けると関平は否定した・・・が 返す言葉が見つからなかった。 「鍛錬というのは、見せるためにあるものではない・・・己と向き合うためにあるものだ」 「その通りです関羽殿、自らの鍛錬に集中し己の武の極みを見つけてこそ・・・」 騒ぐ集団をそっちのけで関羽と趙雲は鍛錬について語りだした。それぞれには自分の信念が あるのだろう・・・それを口々に言って鍛錬というものがどんなものか確かなものにした。 だが、ここで星彩が口を出した。 「しかし、諸葛亮殿が言ってましたよ?互いの武を見せ合う事で、互いに意識し対抗心を煽らせ 競い合い互いを高めあう鍛錬もある・・・と」 それはもっともな話だった、一人で極地を目指すのは困難だろう・・・だから、競い合う相手がいて その相手に負けじと鍛錬に磨きをかける、もしかしたらこっちの方が効率がいいのかもしれない。 「おお!流石、諸葛亮殿!策だけではなくこんな事まで考えていたとは!」 「・・・関平、貴方も考えなさいよ」 関羽、趙雲、諸葛亮の考えに感動する関平・・・皆そこまで考えていたとは、と声を上げた。 そこに星彩が呆れた声を出す、相変わらず自分で考えない関平の将来を心配をしてしまうのだ。 ここで、まったりとしているとき・・・それは起こった。 「何すんだ!危ねぇじゃねぇか!」 「何を!?お前が先にぶつけてきたんじゃないか!!」 それは鍛錬中、呂布軍の兵士と蜀軍の兵士の武器がぶつかりあったことから始まった。 互いに非はお前にあるとの一点張り・・・話は拗れるばかりだ。 すると、兵士達が武器を振り回し始めた・・・乱闘だ!ガキン、ガキン!っと武器がぶつかりあう音に 皆の中で燻っていた思いが爆発して、我も我もあっという間に兵士同士の一騎打ちになってしまった。 あちこちで始まる兵士同士の一騎打ち・・・それに武将も参加してしまう。 「ワシの相手はいないかぁぁ!?」 「俺の正義の刃を受ける、漢はいないか!?」 聞こえてくるのは黄忠と馬超の声・・・どうやら一騎打ちの相手を探しているらしい。 すると二人には呂布の親衛隊が相手となった。 「こ、これはいかん!止めなければ!」 「しかし・・・こんな状況、どうやって止めましょう!?」 関羽と趙雲が何とかして止めようと動き出そうとするが、あまりの数にどこに手をつけていいか分からなかった。 あちこちで聞こえる武器が重なり合う音、兵士の雄たけび・・・どうしていいか分からなかった。 「一騎打ち・・・」 だが、ここに一人目を輝かせいる武将が・・・ 「・・・殿と一騎打ちが出来る!?」 それは関平だった。以前から一騎打ちをしてみたいと思っていた関平・・・こんな絶好の機会は 無いだろう。目を輝かせ期待で胸躍る関平は、武器を片手にその集団の中に入って行ってしまった。 「殿ー!!拙者と一騎打ちを!!」 それを呆然と見送る武将達・・・すると、むずむずと心の底から武将としての闘志が燃え上がってきた。 相手にはあの、張遼、そして呂布・・・強豪ばかりだ。 この乱闘をとめる事も忘れ、三人は武器を取った。 「これぞいい機会・・・お相手願おう!!」 「・・・あの一騎打ちをもう一度!今度は負けん!」 「・・・貴方とは一回戦ってみたかった!」 そして、唯一の望みだった三人も集団の中に入っていく。 「なんだかすごい事になってるなぁ・・・」 正気を取り戻したは遠巻きにその乱闘を見守っていた。ただ武器と武器がぶつかり合い、決着は 全て寸止めで終わってしまう・・・血が流れない乱闘だ。だから、今まで感じたことがないような 緊張感を感じるのだろう・・・その気迫には押されていた。 ボーっとして眺める乱闘・・・その中にこちらに向かってくる人影があった・・・ 「殿!!」 「か、関平?」 「お相手願おう!!」 大きな斬刀を引きずって関平が一騎打ちを申し出た、もちろんそれに驚く・・・だが に猶予は与えられなかった。関平がそう叫ぶと斬刀を石床に擦り合わせながら向かってくる! 慌てては鳳凰閃刀を取り迎え撃とうとした。 「うりゃぁぁぁっ!!」 腰を使い遠心力で斬刀を振り回してきた関平・・・重い一撃になるだろう、はそれを予測し その斬刀を流すようと剣を構える。ガッ!っとぶつかり合うと、振り回した斬刀の力で 関平は体を持ってかれる。 「くっ・・・流石、殿!その受け流し見事であった!」 「・・・関平こそ、よくそんな重い一撃をっ」 関平もも相手の力を褒めた、互いのその強さを感じて二人共武者震いをしていた。 高鳴る鼓動、荒くなる息・・・今、二人は戦いでこんなにも興奮している。それは、相手が強いからだ・・・ 「では、拙者の斬刀・・・受けてみよ!」 すると関平は態勢を戻すとに向かって軽々しく飛び跳ねた、すると宙で関平は回るように 体を回転させて斬刀を振り下ろす! その一撃はによって紙一重でかわされるが、関平は追撃の手を休めなかった。 石床に着地した関平はしゃがみこむと今度は下から上に斬刀を体ごと浮かせて回した! ブォォン!っと風の音が聞こえる・・・一撃一撃がとても重く感じた。 「くっ!」 その斬刀をかわしきれずには鳳凰閃刀を構えてその一撃を耐える・・・だが、重い一撃は 手をしびれさせ、足もしびれさせていた・・・ 『関平って・・・結構強い!?』 素早い動き、体の機敏性、重い斬刀をものともしない剣捌き・・・何故功績を挙げていなかったのか 不思議に思えてくる。は咄嗟に間をあけて関平と距離を取った・・・ 「くぅ〜・・・流石でござる!この時が拙者にとって至福の時!いざ、参ろう!」 戦える事に感動し拳を握る関平・・・やっと戦いたかった人物との一騎打ち、これほど 嬉しいことはなかった。関平は再び斬刀を構えるとに向かっていった。 「今、鍛錬場ではどんな事になっているのでしょうね?」 「そうですね・・・きっと張り詰めた雰囲気なのでしょう」 鍛錬場に向かうのは姜維と諸葛亮・・・二人は一応合同鍛錬を見学をしようと廊下を歩いているのだ。 果たして鍛錬場ではどんな事になっているのか、姜維は楽しみだった。 だが、諸葛亮の頭の中では違う事が浮かんでいた・・・ 『きっと、雰囲気は最悪で・・・きっと殿は困っている事でしょう。そこで私が宥めれば・・・ ふふっ、殿よりも優れているという印象が・・・』 諸葛亮は意外と心の狭い人間だった・・・どうやら、色んな事を計算した上で最後には 自分の功績を挙げるような結果にさせようとしていたのだ。これを月英が聞けば諸葛亮はどんな 仕打ちを受けるのだろうか?きっと、以前受けたムサイ兵士の部屋での生活という罰よりも 重い罰になるだろう・・・ 「あれ?何か、金属音が・・・」 諸葛亮が物思いに耽っているときに姜維は耳に聞こえる金属音を感知した。しかもその音 一つや二つだけではない、大量に聞こえるその音は近づくたびに大きくなってくる。 「・・・何?」 「い、行きましょう!」 慌てて駆け出す姜維・・・その後を追う諸葛亮、そして二人が見たものは・・・ 「うおぉぉぉぉっ!!」 「どうだ!参ったか!?」 「俺の勝ちだぁぁぁ!!」 響く兵士の声、鳴り響く武器がぶつかり合う音・・・鍛錬場は一騎打ち祭りと化していたのだ。 予想外の事が目の前に広がり言葉を失う諸葛亮・・・よくよく見れば、あの関羽もあの趙雲も あの星彩も集団の中に入っている・・・ 「なっ・・・」 よろりとよろける諸葛亮・・・こんなはずではなかったのに、眩暈と頭痛が一変に襲ってくる。 だが、二人が来たことに気づかない兵士、武将達は尚も一騎打ちをやめようとしない・・・ 次第にワナワナと震えだす諸葛亮・・・ 「・・・何を・・・」 強く握った扇が光り輝いた! 「何をしているのですか!!貴方達はぁぁぁぁ!!!」 諸葛亮から超特大の光線が放たれ、着弾・・・爆破した!! それから数時間後・・・諸葛亮の怒りが少し静まって兵士達は各々戻っていく・・・ だが、そこに少しの変化が生まれていた。 「民から兵になったお前達も結構やるじゃないか?」 「やっぱり鍛え方が違うんだな!俺達も見習わなくては!」 呂布軍と蜀軍の兵士が互いの健闘を褒めあっている、ある人は肩を組み、ある人は固い握手をし・・・ 仲間意識が芽生え始めてきた。また、恐怖の対象であった呂布にも気軽に声をかける武将や兵・・・ どうやら、互いの間にあった壁が取り壊されたようだった。 「まっ、結果オーライ?」 満面の笑みを浮かべてはこの状況を嬉しく思った。 「殿・・・もう一度、勝負を・・・」 「そんな体で出来ると思ってるの?」 ヘロヘロの関平を他所には嬉しそうに駆け出して行った。ブラウザバックでお戻りください