カラリヨガインストラクター浅見千鶴子
カラリヨガとは
カラリヨガとは、カラリパヤットメイタリ(KALARIPPAYAT-MEYTHARI)と呼ばれる南インドケララ州に伝わる独特の身体訓練法を中心としたエクササイズのことです。流れるように美しく、かつダイナミックな動きを通してbody(身体)とmind(心)とsoul(精神)の統一化を目指します。練習の成果は、すばらしく健康な体をもたらし、同時に平穏な心と高い集中力を身につけることができます。
カラリパヤット(KALARIPPAYAT)とは、ケララ州に根付いた伝統的な体系的身体訓練プログラムであり、ケララ州にのみ伝わる独特の武術です。メイタリ(MEYTHARI)とは、三段階で構成されているカラリパヤットの訓練法−@MEYTHARI AKOLTHARI BANKATHARI−の第一段階のことです。第一段階であるメイタリの訓練は体系的で連続した動きを中心に、バランス感覚や柔軟性、身体をコントロールする力を高め、同時にスタミナをつけて強化でしなやかな身体を作ることで、あとに続く第二、第三段階での武器術の動きに備える為のものです。メイタリは、最も重要でエッセンスの詰まった基本訓練法であるといえます。
カラリパヤット(KALARIPPAYAT)はケララの言語であるマリアラム語ですが、その語源はサンスクリットに起因します。カラリはサンスクリット語のKHALOORIKAに起因し、その意味は、武器を巧みに操る為の練習の場所であり、同時に武術に必要な身体形成鍛錬の場である道場のこと言います。一般に、KALARIは練習場とか体育館といった意味です。パヤット(PAYATTU)はエクササイズとか練習、訓練とった意味です。本来、カラリパヤットの語源的意味は武術を練習するための場所、道場といった意味で、そういった特定の道場で日々訓練され受け継がれている伝統武術そのものをカラリパヤットと言うようになったと考えられています。
ここでは、カラリパヤットの体系的身体訓練プログラムのうち、第一段階であるメイタリの部分を中心としたエクササイズをカラリヨガと称して皆さんに紹介しています。道場で行われている実際の身体訓練法を、そのままヨガスタジオに持ち込んだのではなく、都市生活に活用できるスタイルで、日常に取り入れて実践できる身体強壮プログラムとしてエッセンスはそのままに組み直したエクササイズです。
カラリヨガの本質
カラリヨガの本質は、自分の身体をコントロールする力を最大限に高め、柔軟で強化な下半身を身につけ、高度なバランス感覚を使って様々な連続技を実践できるように身体を段階的に鍛えることです。バランス感覚は、身体的な面だけではなく、精神、知的心理面でもプラスに作用していろいろな場面で役立ちます。
カラリパヤットは時に妙技とも離れ業ともいえる息を呑むほどのすばらしい動きを見せることがあります。そういった技はすべてメイタリと呼ばれる第一段階の基礎訓練でしっかりと土台の身体をつくることから始まっています。その身体訓練法のプログラムは歴史的に古いだけではなく、驚くほど体系的で科学的に考案されていて、今後様々な場面で役立つことに違いありません。非常に優れた身体訓練法といえます。
カラリヨガを通して、柔軟で強化なバランス感覚に優れた身体、そして自分の身体をコントロールする力を最大限にまで高めることでスタミナのあるしなやかでのびやかな身体を手に入れることができます。カラリパヤット独特の、美しくかつ活力に満ちた流れるような動きのエクササイズを通して、身体(body)と心(mind)、精神(soul)の一体化を実現することが、カラリヨガの目指すところです。
カラリの普及
カラリがヨーロッパに知られるようになって、ヨーロッパでカラリスクールがいくつかでき始め、また最近ではスポーツジムなどでもカラリ教室が始まったりもしているそうです。
そのような流れで、ヨーロッパ人を中心とした練習生を受け入れるカラリ道場ができました。そのようなカラリでは西洋人に多い肥満で治療に訪れる人や、もと格闘家で身体にダメージを受けている人が治療に来ているケースをいくつか見ました。
リタイヤしたキックボクサーが試合で脊柱にダメージを受け、まったく前屈できない、とか神経系のダメージで(太腿の神経が麻痺して)普通に歩行できず左右のバランスが悪い歩き方をしている、などの症状をよく見ます。中には治療に2年から3年かかるケースもありますが、今現在では普通に歩くことができるようになった、という元キックボクサーと実際道場で一緒に練習しました。彼らはいずれもマッサージとカラリの訓練を組み合わせて行っていました。
また、肥満の治療で滞在していた人も、朝夕のマッサージとカラリ運動をメニューとして実践していましたが、カラリの動きは、肥満体には負担が大きいので、簡単なキックと動物のポーズを組み合わせた特別なメニューでカラリ運動は25分ほどでした。マッサージは1時間ほどかけて念入りにやっていました。
食事は普通で、何の制限もなく、ハードな練習をこなす私たち他の訓練生と全く同じ食事をとっていました。朝はパンケーキやケララフードであるココナツカレーに甘いライムティー、夕飯は、ご飯とココナツカレー、魚のフライやイカのチリソース炒めとともに、フルーツなどのデザートと甘いライムティーを、普通にときにはたくさん食べていました。それでも彼は2週間で7Kg減量していました。(80kg台から70Kg台)見た目にも明らかに顔や腰周りがスッキリしたのがわかりました。彼はここで治療を受ける前もドイツで様々な、ときには過酷なダイエット療法を経験しましたが、どれもひとつとして効果がなかったようです。彼自身とても満足してドイツに帰っていきました。
また、地元インド人のたくさん通うカラリ道場でも、治療目的でカラリを利用したケースをいくつか見ました。
脳神経系に問題のある障害児で、平衡感覚が著しく欠いていてまっすぐ歩けない女の子がいました。カラリの練習によって平衡感覚(バランス感覚)を養い、また下半身の筋肉の強化によって、彼女は6ヶ月で普通に歩くことができるようになっていました。驚くべき効果です。
何と言っても薬剤、薬物を一切使わずに、エクササイズだけでここまでの効果を出すというところがカラリのすごいところだと思います。
(一部写真提供CVN Kalari Nadakkavu)
