English

カラリヨガインストラクター浅見千鶴子

トリートメントとしてのとカラリ

カラリの道場は診療室を付設しており、そこでは薬用オイルを用いたオイルマッサージによって様々な症状に効果的な治療が行われています。もっとも、科学的な根拠や文献には欠いていますが、今後研究対象となるテーマを豊富に持ち合わせています。

例えば神経系や血液系の循環系の病気にもカラリ独特のマッサージは効果があると言われています。神経系の圧迫や血流の滞りから生まれる病気はたくさん考えられます。

カラリの診療ではマルマといわれるvital point(急所) を中心にしたマッサ-ジが行われており、このマルマはアーユルヴェーダのマルマ(急所、vital point )とほぼ照らし合わせることもできます。アーユルヴェーダの古典書であるスシュルタサンヒター(改訂された最も新しいもので2世紀に編集されたが原書は紀元前1000年にさかのぼる)には107のマルマ(急所、vital point )の記載があります。

マルマについては、アーユルヴェーダの3大古典書のひとつであるこのスシュルタサンヒターで詳しく論じられています。スシュルタは外科術の父と呼ばれ、おそらく外科の手術では損傷によって致命的となるvital pointの理解が必須と考えられていたからかもしれません。


マルマのはなし

ここで少しマルマ(急所、vital point )の話をします。

カラリのマスターは、おそらくはマルマ(急所、vital point )を単に指で突付くだけで攻撃して、相手を意識不明にすることもできるし、瀕死の状態である人を突然生き返らせることもできるので、カラリマスターのこれらのパワーは奇跡的で驚くべきものである、といろいろな古典書に記載されています。

スシュルタサンヒターには107のマルマ(急所、vital point )の記載があります。そこでは、“筋肉、脈、腱、骨、関節が合わさるところで生命の源としての性質を持つ場所”として定義されています。カラリのマルマ(急所、vital point )はスシュルタに由来していると考えられており,なかでも“マルマニダナム”という作者不明、年代不明のカラリの医学書では、マルマ(急所、vital point )をつぎのように定義してあります。“身体のいかなる部位に攻撃を受けたとき、その痛みの程度が常時、変動して痛みが増えたり減ったりするとき、その部位はマルマと呼ばれます。肉体、骨、腱、静脈、動脈、関節、これらすべての6箇所がマルマの場所です。これらは生命の中枢です。”

マルマの知識はどのように習得するか?かつては秘められた知識であり、特定の限られた最も信頼のおける弟子にのみ、師匠(グルカル)から教えこまれるものでした。さもなければこれらの知識は殺人技でもあるのであまり一般にひろまっては困るからです。

しかし今日では一般的に、マルマ(急所、vital point )の攻撃や守備の実践的方法を、武器術を通して習得するとも言われています。とくに槍や、オッタと呼ばれる脊柱の弓なりのカーブをした木製の武器を通して習得するといわれています。107のマルマ(急所、vital point )が損傷をうけたときの治療法として、多くのカラリマスターはもうひとつ別のテキスト“マルマチキッサ”あるいは“グランタヴァリマルマチキツサ”(チキッサとは治療法という意味)といった虎の巻を利用します。これらには、マルマ(急所、vital point )を負傷した際の対処法、医学治療法が細かく記載されています。カラリマスターは今日でもマルマ(急所、vital point )の治療にはこれらの治療法を参考にしているそうです。


カラリとアーユルベーダ

このように、カラリとアーユルヴェーダはとくにトリートメントの面で、ヨガとアーユルヴェーダよりもより深いところでリンクしています。

カラリのマッサージは熟練したカラリの上級生によって行われるため、ボディ・バランスの整った人による適度なプレッシャーのマッサージを受けることができます。また、アーユルヴェーダで行われている様々なマッサージの種類の多くは、カラリ・マッサージから由来したといわれています。そのため、今日、ケララでは多くのカラリでアーユルヴェーダマッサージと称して観光客にマッサージを施すサービスを見かけます。しかしカラリの診療所は、本来地元の人が頻繁に気軽に通って、腰痛、関節痛、リュウマチ、突き指、肉離れや骨折などといった症状を診てもらっている人々で連日待合室は混んでいます。

(写真提供CVN Kalari Nadakkavu)

Roots of Asana (ROA)
Copyright (C) 2006 Chizuko Asami, All Rights Reserved.