輝石と研究活動

☆輝石

輝石はもっともポピュラーな造岩鉱物の一つである。主要造岩鉱物は一般的にカンラン石、輝石、角閃石、黒雲母、斜長石、カリ長石、石英などであり、我々の住む地球表面(いわゆる地殻)の主な構成鉱物となっている。
これらの鉱物により構成される岩石は多くの種類に分類されるが、輝石はその中でも黒っぽい火成岩や変成岩にごく普通にみられる鉱物である。

☆顕微鏡写真

手持ちの顕微鏡写真を掲載する。岩石は緻密で光など通さないように見えるが、ある程度薄く削ってやると、光を通すようになる。およそ、0.03mmの厚さまで削ったプレパラートを薄片といい、これを光学顕微鏡で観察する。


玄武岩

玄武岩は黒っぽい火山岩で、熔岩や岩脈として産する。写真の灰色の部分は細粒の斜長石で、鮮やかな色の少し大きな結晶はカンラン石の斑晶である。写真は西日本の第四紀の玄武岩のもの。


ハンレイ岩

玄武岩に近い組成の深成岩。このサンプルは山口県の高山(こうやま)で採集した。高山付近では方位磁石が狂う程の磁鉄鉱を多く含んだ岩石を産するが、灰色の部分は斜長石で、黒い粒状部分は磁鉄鉱。


捕獲岩

細粒部分は玄武岩だが、その中にハンレイ岩の塊が捕獲岩として取り込まれた部分の写真。大きな灰色の結晶は斜長石で平行な筋は双晶を示す。色鮮やかな結晶はカンラン石や輝石である。実際の岩石を手にとってみると何の変哲もない、黒っぽい岩石だが、薄くして光学顕微鏡の下においた途端このような色鮮やかな光の干渉の世界が観察される。

☆私の取り組むテーマ

バラ輝石という名前の鉱物がある。カナダのバンクーバー島等ではお土産に売っている、鮮やかなピンク色の碼碯(めのう)によく似た光沢の鉱物である。


バラ輝石の塊

私は学生のころよりずっとこの鉱物に取り組んできた。この鉱物は本来マンガンという金属の重要な鉱石として国内でも採掘されていた。しかし近年では安い輸入製品に押され、国内では採掘されなくなったが、研究対象としては面白い鉱物である。名前は輝石とついているが、厳密には準輝石という仲間に分類されるものである。このマンガンの多い輝石/準輝石には数種類あり、パイロックスマンジャイト、加納輝石などがこのバラ輝石と共存する場合がある。この共存はCaやFe等の僅かな構成元素の量の違いで、鉱物組み合わせが全く変わってしまうという特徴を持っている。私が研究対象はこの関係を明らかにすることである。