アメダスの設置場所。15カ所にある
被害の黒部市


早朝、不意な強い雨。側溝から溢れた水は民家の床下へ。市や消防署への電話が絶え間ない。「大雨警報が出ていないのに…」。いぶかりながら、職員たちは防災体制を整え、土嚢を積んだポンプ車はサイレンを鳴らして街中を走り回っていた。
遅れてきた大雨警報ー。9月12日早朝、こんな事態が黒部市で起きた。
富山気象台が集めるデータはかなり豊富。それをもとにして出す警報・注意報は、正式なルートとともに、自治体職員の多くが持つ携帯メールに送られる。タイムラグはない。
だが、データは豊富でも、予測するのは人である。“ピンポイント狙い“のような最近のゲリラ豪雨は、時にヒューマン・エラーを誘うこともある。黒部のケースは、今後も起きうる一例にもみえる。
警報・注意報の、それ以前のお天気情報を、リアルタイムで手に入れたいー。そんな考えで、民間の気象会社から情報を受ける契約を結ぶ自治体が県内で出始めている。万一の気象災害に備えた、いわば気象台より一歩先を行く試みにもみえる。
「50mm超えた」そこへ大雨警報
その日、黒部市の防災担当の責任者は、「いやな予感がして」午前7時前に自宅を出た。強い雨、携帯をのぞいても「大雨警報」の文字はない。注意報は、同日午前3時に雷、波浪などとともに出ていた。
黒部消防署の雨量計は、怖い数値を示し始めていた。どこの消防署にもある、それなりの精度のものだ。その時間雨量。
・6時-7時 1.5mm、
・7時-8時 43.5mm
・8時-9時 57.5mm
気象台が「黒部市に大雨警報」を出したのは、この間の、午前 8時38分だった。
・10時-11時 35mm ここで峠を越し、午後3時、警報解除。
被害は、三日市、生地、石田地区で床下浸水が計25戸、外に道路の冠水なども数カ所あった。
「こんな体験は初めて。市民の不安を肌で感じた」。ベテランの職員はこう言う。同市の防災関係者だけでなく市幹部にも、「警報は後手に回った」という思いが強い。
“音無し”だった?周囲のアメダス
気象台が、大雨警報を出す基準は、1時間当たりの降水量が50mmを超えると予想される場合だ。40mmの場合は「注意報」だ。気象台が気象レーダーなどとともに参考とされたと思われる、同じ日のアメダスのデータは以下の通りだ。
・地方気象台 未明-正午 0.5-1.0mm
・泊(朝日) 7-8時 12.5mm
・宇奈月、魚津 同 1.0mm
これらの数値は前述の黒部消防署のものとは、大きく違う。
気象台は、黒部市から時系列の雨量データを取り寄せ“検証”を試みているが、いまのところ、「警報が遅れた」という積極的な認識はない。
黒部市の関係者には、黒部消防署の雨量計がこれまでにない50mm以上の数値を示したことと、同時間帯に朝日、宇奈月、魚津のアメダスが、それほどの数値でなかったことから、「黒部川扇状地地域にアメダスがあれば、予報官を助けたかも」と設置を求めている。
今回の事態は、当然、県や市町村の関係者にも伝わり、関心を集めている。


