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 迫る水、「大丈夫かと思った」
  16日の状況はざっとこんな具合だ。地下道は、鍋田側からは右カーブで緩やかに下り、先が見通せない。中央部はほぼ水平。進入した軽四1台が、浸水に気付き、突っ切ろうとしたが、動けなくなった。水位はみるみるうちに上昇。ドアが水圧で開かなくなり、運転手は窓から脱出した。「大丈夫かな」と身の危険を感じたという。
  後続の車は何台かあったが、“事故”に気付いてバック。信号の「青」は、下赤江側になり、何台かが乗り入れたが、立ち往生している軽四を見て後退。再び鍋田側の信号が「青」になったところで、軽四1台が入った。この車も、既に動けなくなっている車に行く手を阻まれ、手間取っているうちに水でエンジンが止まった。
  現場に到着した市職員は、両方の入り口に車止めを置くとともに、排水ポンプを運び込んだ。しかし、流入量に追いつかず、一時、最深部の水位が3.5bにも達した。この時の水量が単純計算で約7千d。排水した水量は、この何倍、何十倍になるか分からない。完全に排水するまで5時間もかかった。
  ちなみに、この日、降雨がひどかった午後2時から4時までの、1時間当たりの最高雨量は52_(10分では20_)、一日の合計量は113_に上る=富山地方気象台調べ。
  雨が激しく降り続いている間、車の運転手や近くの住民は、鍋田側のトンネルの手前左手から落下する“滝”を、いまいましく見ていた。10年前の夏も7月8日も同じ現象が起きていたのだ。
  “滝”の正体は用水から溢れ出た水。以前は農業用水で、近くの土地改良区が管理していた。農地の多くが住宅地となったいまは、周辺からの排水路になり、事実上、市が管理している。

  宅地化で用水変じて排水路に
  この用水の流れ方が複雑だ。地下道の北20bを並行に流れ、直角に曲がってトンネルの入り口付近へ。ここから地下道の下を隧道でくぐって反対側に出る。つまり「サイフォンの原理」を利用したものだが、この付近で水が溢れ“滝”となった。初めからあった農業用水が、地下道で分断されることになったため、このような構造になったらしい。
  用水が地下道の下ににもぐる直前に、ごみを阻止する鉄製のスクリーンが設けられている。このスクリーンには、「自動ごみすくい上げ器」が設置されているが、流れてくるごみに、この働きが間に合わなかったのも一因と市はみている。
とやま豆新聞
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  富山市のJR旧鍋田操車場の地下道が、7月8日と8月16日の豪雨で水深3.5bまで浸水。それぞれ車2台が水没して運転手の命を脅かした。平成10年の夏には、なんと14台が水没していた。
  “犯人”は、流れ込んだ雨に加え、近くの用水から溢れた大量の水。用水は、農地の宅地化によって地面が保水能力を失い、排水路となっていた。市は10年の事故の直後、排水ポンプを増設するなど一応の対策を施したが、及ばなかった。しかも、対策の一つ、車に「冠水通行止め」を知らせる表示板が、両日とも壊れていた。
  8月16日には、栃木県鹿沼市の高速道路下の地下道で、軽四が水没、運転していた主婦が、携帯電話で「お母さん、さようなら」と言い残して亡くなった。1時間雨量85_という豪雨による浸水の速さに市職員、消防、警察とも手が出なかったという。  
  「鍋田地下道は、こんな状況にならない」とは言い切れない。「想定外の豪雨」は、日常化している。行政は危機意識を強め、対策を練る必要がある。

  故障していた「通行止め」表示板
  地下道は、通称・産業道路方面の下赤江側と鍋田側を結ぶ市道下奥井ー広田線で、長さ400b。うちトンネル部分はほぼ中央に当たる200b。1車線(幅6b)の交互通行だ。片側の高い位置に歩道(2b)がついている。
  昭和33年ごろ、旧鍋田操車場の建設の際に、JR(当時は国鉄)と富山市が協議して造ったといわれ、後に市道になった。“築50年”だけに、どこか“作業車用道路”を思わせ、運転者には評判は悪いが、南北に走る幅広い線路群を越えるための重要な道路だ。 
    お盆の8月16日。午後2時ごろから富山市内の雨が強くなり始めた。市道路維持課の職員は、課内にあるモニター(有線で信号だけを送る方式)で、地下道の3台の排水ポンプがフル稼働していることを確認した。雨脚が速い。職員の何人かは現場に向かった。1時間後に、大雨洪水警報が出た。
  市職員らが現場に着くと、既に軽四2台が中央部で動けなくなっていた。ポンプの排水が追いつかない。可搬型ポンプ2台が持ち込まれた。職員は「冠水通行止め」の回天灯付き表示板を、苦々しく見上げた。「やはり、消えている」。
  表示板は7月8日、軽四2台が水没した事故の際に作動していないことが分かり、業者に修理を依頼したが、「基盤部分の難しい故障のため」ということで、この日に間に合わなかった。表示板が作動しているかどうかも、ポンプ同様、課内のモニターで確認できるが、7月8日は「モニターは“作動”を示していた」という。
手ぬるい水路や表示板の管理
「地下道水没」にもっと危機意識を








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