「金のかかる廃線利用」へ
25メートルしかないせいだ。しかも車体を支えるのが空気バネでないため、つなぎ目での振動がもろに伝わる。「JRの電車の乗り心地のほうがよかった」と言う人もいるくらいだ。運営会社では、今後、1本50メートルぐらいの線路に「溶接」工事をする計画という。

  全長7`、新設は1`

  LRVは最短間隔15分で走り、全区間を25分で結ぶ。1日約60往復。間引き運転だったJR時代とは格段に違い、賑やかになる。6キロ余りの郊外は時速50キロ、約1キロの市街地はいわゆるストリートカーらしく、信号もあって30キロ前後だ。
  そのカッコいい市電も、結構風当たりが強い。一家にマイカーが3台も4台もある中で、「うたい文句の公共交通の一翼が担えるか」とか、「観光客の利用が期待できるか」、「工事費が膨大過ぎる」、「溜まる一方の赤字をどうする」といった意見が出始めている。沿線住民は交通渋滞を心配している。
   例えば、工事費用。従来の「郊外電車」を市電にするため、利便性を計って駅を4つ増やして13駅にした。単線の弱点を補うため、交換駅を4カ所造った。低床式だから、従来の高いホームは撤去し全駅でホームを新設した。旧JRの電車の動力は1500ボルトだったが、市電は600ボルトのため電流が増え、架線は全部太いものに取り替えた。これを支える古い柱約100本余りを交換した。
  新設路線は、JR富山駅北口のターミナル駅から先方約1キロ地点で旧JR路線と“接続”された。この区間では、既存の橋 1カ所を、市電と線路の重さに耐えさせる工事が大掛かりなものになった。単線なのに両側にホームのある駅が1カ所ある。「上り」「下り」専用で、これは市電の降車口が、運賃を徴収する運転手の席が左側にあるせいだ。この「余分なホーム」が車道を狭くしてしまった。むろん、単線である旧JR線も、ホームは線路を挟んで両側にある。 

  新設部分は車のラッシュ

  新線は交通量の多い所を走る。工事中は当然、1車線化を余儀なくされたが、開通後も1車線のままだ。ここのラッシュを避けるため、細い住宅地の道路を抜ける車が増えると、住民は心配している。市は新規部分の一部を元の2車線にするため、拡幅用地の買収を始めているが、この区間はほんのわずかだ。ビル街でもあるこの区間は電柱だらけで、そこへ架線が加わって余計美観を損ねている。「無電柱化」の計画はあるが、いつになるか分からないという。
  「市電の一方のターミナル(海岸側)には、何もないではないか」と指摘する経済人が多い。地元では、酒造会社などの若い人たちが中心になって、にぎわい施設づくりに懸命だ。近くにある富岩運河と組み合わせるプランもあるが、疑問視する意見も多い。従って、乗客がそう簡単に増える見通しはなく、当分は現在の通勤・通学者が中心と見られる。
   雪対策は大丈夫だろうか。郊外を走る旧JR線は、市街地の線路と違い、線路の間に雪が積もる。これが凍ったりすると軽い車体を持ち上げることはないのか気になるが、「こまめに除雪車を走らせる。心配ないと思う」と関係者は言っている。除雪車は今のところ、ロータリー式の「軌陸車」(道路などに待避出来るタイプ)1台だけだ。

  富山地鉄が手を出さなかったわけは?

  ライトレールの乗降客の数は予想以上に多く、06年11月に100万人を超えた。07年5月の丸1年では180万人と推定される。旧富山港線時代とは、格段の多さである。問題の収支は、固定資産税が4千万円ほどあり、これを差し引いて1千5百万円程度の黒字が予想されている。計画段階では、年間2千万円程度の赤字と推計されていた。
  しかし、この収支と乗降客数に多少の不安がある。運賃の改定だ。現在、大人は200円だが、平日の日中と土、日、祝日の料金100円(片道)。しかし、これは「暫定」で、07年度から200円になる。しかし、半数以上を占める高齢者のうち65歳以上には、条件付きながら「半額制」がとられるため、現在の経営状況に変化が出そうだ。
  ところで、市内電車を経営する富山地鉄が、なぜライトレールの建設に乗り出さなかったのだろうか。運営や技術的なノウハウが豊富で人的資源の確保も容易である。しかも、旧富山港線は、戦前・戦中、地鉄の所有だった。
  問題は補助金である。富山市が絡む第3セクターの富山ライトレールは、国、県、市合わせて55億円も引き出した。しかし、私企業である富山地鉄は、「市街地の活性化」という、ライトレールと同じ大義名分を掲げても、とてもそれだけの補助は出ない。自己資金または借入金による投資額を回収するには、年間2千万円程度の利益は「雀の涙」だ。「お役所の事業はうらやましい。税金が使えるのだから」。関係者からそんな声が聞こえる。
  ライトレールの運営に当たるのは「富山ライトレール会社」で、資本金5億円。県、市などの出資だ。他に廃線に当たってJRから10億円の寄付を受けた。この金は、「都市整備基金」として、ライトレールを含めた街づくりに使われるという。

                                     (06年5月20日)
 新型市電はLRV(軽快電車)といい、軽量で低騒音、低床式が特長。2連接で、5連接の欧州タイプよりやや小ぶりだ。車両は全部で7両。それぞれ青や赤、緑など縦のストライプをつけ“識別”している。座席は28だが定員は80人。120人まで乗れる。新規部分の線路は振動・騒音を少なくするため、全てが「溝付きレール」になった。
  確かに、新規路線部分は、つなぎ目のないロングレールだから、ゴトンゴトンの音がなく快適だ。ところが、旧JR路線に入ると、途端にゴトンゴトンの連続。これは、1本のレールの長さがわずか23−
 「不採算新幹線」と言われ、着工が遅れていた「北陸新幹線」(長野−当面は金沢)が、10年後にようやく開通する。それに伴い現在のJR路線は第三セクター化されるが、JR富山駅に乗り入れていた「富山港線」が、同駅周辺工事のため、いち早く廃線が決まった。全長7キロ余り。この大半がいわば郊外だ。これをそっくり富山市がJRから譲り受けた。「バス専用路化を」の声も強かったが、市の強い意志が、その声をはねのけた。富山駅南側で二方向に走る既存の市電が、細々ながら全国19都市の市電と共に頑張っていることも、このプロジェクトを勇気づけた。
  JRの廃線に、新たに敷設した線路を接続、その上を欧州タイプの市電「ライトレール」が、06年4月から走り始めた。本体や施設のスマートさが目をひいてか、人気は上々。初年度は予想外の「黒字計上」の見通しだ。しかし、投資費用は、廃線の改修に24億円、新規路線分には15億円、さらに全車両7両に約16億円の計55億円。これらは国や県、富山市からの補助金、つまり税金だ。が、「街づくりや社会的便益に大きく貢献するはず。それで元はとれる」と、ライトレール推進派は強気だ。
 
ライトレールの将来性は
とやま豆新聞

「廃線利用型」市電










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 1.「廃線利用型」市電
    ライトレールの将来性
      
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