結局は個人のマナーの問題?
  ところが、ヘリオスは、導入してから運用面で、ちょっとした「難題」にぶつかった。
  携帯電話は、いまや、身内の急病や事故など、緊急連絡の役目を担っている。伝えたい相手がどこにいようが「圏外」や電源を切っていない限り、必ずつながるはずである。

  講演会やジャズは“対象外
  演劇やコンサート中の受信・発信は、言うまでもなく論外だ。では、ホールが主催者でない講演会や、それに類したもの、同じコンサートでも歌謡曲、ジャズなどの場合はどうか。
 検討した結果、同装置をONにするかどうか、事前に主催者と協議して決めることにしたという。主催者の判断がつかない場合には、アドバイスすることもあるそうだ。
  オーバードホールも、ほぼヘリオスと同じように、貸し館の場合、主催者と協議することになる、と言っている。
  
  ところが、これでひと安心というわけにはいかない。「内敵」がいるのだ。携帯自体が発するアラーム音。この中には、電源がOFFでも、セットされた時間が来たら、ONになって音を発するものがある。
  観客が、アナウンス通りにマナーを守りさえすれば、このような装置もいらず、アラームにも煩わされることはないのだが、この問題でコスモホール(入善町)のやり方は示唆的である。
  コスモホールは、自ら多くのクラシック・コンサートを手掛けているが、「演奏中に携帯の呼び出し音が鳴ったことは一度もない」と言う。しかし、講演などの時は、しょっちゅう鳴っているそうだ。
  このことを「客層の違い」と言えばそれまでだが、つまり、特にクラシック系の客は、携帯を持ってホールに入ることに細心の注意を払い、さらに、注意を喚起するアナウンスで、もう一度確認する。いつの間にか、そんな“習性”が身についてしまっているらしい。
  コスモホールのスタッフはこう言っていてる。「装置はあるにこしたことはないが、いまのところ、必要性はさほど感じない」。

                                 (08年1月)

 「事件」は、07年10月27日、富山オーバード・ホールで起こった。シェークスピアの戯曲をもとにした、蜷川幸雄演出の演劇「オセロー」のクライマックス。主人公のオセローが“死んだ”、まさにその時、客席の前の方で、携帯電話の呼び出し音が鳴った。リーンという、ありふれた音が数回。
  この音は、役者にはむろん、ステージの袖にいた人たちにもはっきり聞こえた。「何ということ…」「あれほど、電源を切って下さい、とのアナウンスを繰り返したのに」。ホールのスタッフたちは、そんな言葉をかみ殺し、悔しがった。

  催し物が行われている最中の、携帯の呼び出し音は、富山県内のどこのホールでも、たびたび聞かれる。ダメージが大きいのは演劇、コンサートだ。呼び出し音には、甲高い着メロがあり、それが自分のものだとは気付かず、いつまでも続くこともある。
 
 繰り返されるアナウンス
 どこのホールも、イベントの始まる前に必ず「携帯電話の電源を切るか、マナーモードにして下さい」とアナウンスをしている。マナーモードでもいいというわけではない。電話やメールを受信した場合に画面を開く人が多く、その際の画面の光が周囲の人には目障りだ。だから、ホールには「電源を切って下さい」とだけ、アナウンスしているところもある。
  携帯の電波が外からも入らず、中からも発信出来ない装置はないのか。実は、そのバリアーともいえる「携帯電波制御装置」が数年前に開発され、ほぼ実用化されている。しかし、かなり高額なことや、新しい携帯が出回るたびに、周波数調整などの問題が生じ、導入をためらうところが多い。
  オーバードホールは、あの「不愉快な事件」もあって、電波制御装置の導入を決め、2月から運用を始める。スイッチ一つで携帯電波の侵入・発信、つまり電話もメールもシャットアウトされる。経費がかかることからレンタル方式にし、5年契約で315万円。

  実は、ほぼ同じ装置を、南砺市のヘリオスが、既に2年前から運用している。こちらは買取りで、結構、維持費用がかかっているようだ。東京では、オペラシティーやNHKホールなども導入している。

導入進むか電波制御装置
ホール内の「携帯」を包囲せよ
とやま豆新聞










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