書類のコピーは、さいたま市議会の「事業成果書」。調査費を使ったテーマについて議員が書き、それを市長が読む
他市では公認会計士が…
各会派はチェックは真剣にやっていると思いたいし、それは当然のことだ。しかし、市民には「『第三者』のチェックを受けるなど、もっとクリーンな方法があったはず」との思いがある。当然、この制度をスタートさせるに当たって、関係者は他の議会の状況も調べたはずである。
さいたま市の場合はこうだ。議員からの領収書(5万円以上)は、いったん、会派の会計責任者に提出され、それらはまとめて「第三者機関」である、市が選んだ公認会計士(2-3人)に渡され、綿密なチェックを受ける。「使途基準」の項目は、ほぼ富山市と同じである。
会計士は問題点があれば指摘し、問題点のない領収書は会派へ返され、そのコピーは事務局で保管される。会派へ戻された領収書は、半期に一度、収支報告書とともに議長のところへ提出される。
これとは別に議員は、個人またはテーマによってはグループで「事業成果書」の提出が義務付けられている。これは、議長ではなく市長が目を通すことになっている。調査費は行政当局が支出しているから、というのが理由だそうだ。
ちなみに、18年度に返還された調査費は2千万円(1人月額34万円。議員64人)という。
東京・目黒区では、領収書のコピーを議会事務局の職員がチェックして、問題点があれば、会派の責任者に指摘し、書類を事務局内に保管しているという。
政務調査費の「成果」のほどは?
富山市民が領収書を閲覧したい場合、どうしたらよいか。活用するのは情報公開制度である。行政管理課に出向き、必要な書類に記入。書類は議会事務局に回され、議長に伺いを出す。これは形式的なもので、OKなら担当課にその旨伝えられる。この間、1-2週間。ただし、領収書添付はまだ始まったばかりで、閲覧できるのは、収支報告書提出後の21年春ごろとみられる。
これまで、政務調査費については、収支報告書の閲覧請求が2件あり、いずれも認められているが、今後、領収書に対する請求が出された場合、「個人情報保護法」に基づいて、個人名が黒塗りにされる場合があり、その正当性について、閲覧請求者が疑義を申し立てることも考えられる。
ところで、政務調査費は補助金だから、当然、監査の対象になるが、富山県などの議会では、監査はほとんど行われておらず、住民監査請求も出されていない。
政務調査費が支給されるのは、議会の活性化、議員活動の活発化のためだという。その「成果」の発表の場は、議会内でいくつがあるが、最たるものは一般質問であろう。
その一般質問の時間が、富山市議会でみると、かなり少ない。定例議会が1年に4回あるのに、質問は1人年1回。その中身は質問20分・回答40分だ。20分でどれほどのことが聞けるだろうか。これは、テーマを多く抱える会派や少数会派には辛い。
ちなみに、主義主張の点ではほぼ同じ自民会派(33人)は33時間である。以前は、せっかくの質問の機会を、「質問することがないから」などと言って、他の議員に“譲る”人もあったそうだ。
むろん、一般質問は時間だけの問題ではなく、内容にもよる。前置きが長かったり、その場で当局に答えさせるほどの意味もなく、自分で事前に調べれば済むような数字を尋ねたりして、時間を“浪費”する質問もある。緊張したやりとり、厳しい質問が展開されれば、「議会の傍聴を」と呼び掛けなくとも、市民は集まってくるはずだ。
ともかくも、政務調査費の「領収書付き」がスタートした。市民の目が、これまで以上に光っていることを、議会は肝に銘じて欲しいものだ。
(08年7月)

「政務調査費の収支報告書に領収書を付ける」。昨年、こんな論議が富山県内で本格化した時、市民から「え? 今までなかったの」という声が多かった。「議会活動のための調査・研究のため」と、使途が限定された“公費”に領収書がないなどとは、市民レベルでは考えられないからだ。
当然ながら、全国のあちこちの議会で、調査費の流用事件が起こっていた。県内の議会でも、年1回、議長に提出する収支報告書が「収支ゼロ=返還金なし」という“疑えばキリがない”状態が、制度がスタートして以来続いている。
その「領収書添付」が、富山市議会でこの4月からスタートした。しかし、そのチェックの仕方が、かなり甘い。さいたま市や東京・目黒区など、先進県ではチェックは厳しく、見習うべきところが多いようだ。
これでは“身内”でチェック
富山市議会の政務調査費は、各会派ごとに1人月額15万円、他に会派の議員数に応じて会派に15ー45万円が出されており、年間総額はざっと9千万円に上る。ちなみに、給与に当たる報酬は、一般議員で月額60万円(他に年2回の期末手当)である。
調査費は、「地方議会の活性化」を目的に、平成12年度に自治法に盛り込まれ、富山市では13年度に導入された。「調査・研究」に限るというワクをはめて支給されたものの、導入後の不透明さから、全国的に「第2の報酬」と受け取られてきた。
富山市議会の領収書の流れはこうだ。各議員が提出した領収書は、会派(党など)ごとに置いている「経理責任者」が調べる。議員数が多い会派は「補助者」を置いて業務をこなしている。チェックの済んだ領収書は年に一度、収支報告書に付けて議長に提出され、それらのコピーが議会事務局に渡される。情報公開請求などに対処するためだ。
領収書のチェックは、「使途基準」という規則で、@研究・研修費A調査旅費B人件費C資料作成費D資料購入費E広報費F公聴費G事務費Hその他経費にーにあてはまるかどうかについて行われている。
しかし、この「基準」の多くは抽象的で、中身によって該当するかどうか判断が難しいものが多い。調査旅費には「私的な部分」も含まれていることもあるかもしれないし、「公聴」では、飲食を伴って意見を聞いた場合はどうか、というケースもあろう。
「そこは一般的なセンスで」と言う議会関係者もいるが、市民のセンスと議員のセンスは、日ごろでも大きく異なる。