出演者と指揮者を強調したチラシ。アマの場合でも、これなら目を引く
  桐朋アカデミー・オーケストラは、桐朋学園(東京)の主力3部門のうちの一つ、「音楽部門」にある5つのセクションのうち、「桐朋オーケストラ・アカデミー」と「桐朋学園大学院大学」の2つを富山キャンパスとして置いている。
  アカデミーは95年に創設、富山県内外で年間、数多くのコンサートを開いている。会場は、オーバードホールや市民プラザのホールなど。さすがに音楽大学のオーケストラだけにレベルも高い。この日は、同じラフマニノフの交響曲第2番を演奏して好評だった。

  著名演奏者・指揮者が名連ねる「定演」
  オーバードホールでの今年度の演奏会は5回。ここでの公演に限らないが、バイオリンやチェロ、ピアノのソリストや指揮者には、時折、かなり著名な人が招かれる。指揮者は、最近では尾高のほか、秋山和慶などだ。
  「岡田の協演で9百人も入ったのは予想外」と学園は言う。が、定期演奏会を欠かさないファンの見方は厳しい。これまで最高の入りは、岡田の演奏会の9百人台、少ない時は3百人程度。年間にすると多い年で4千5百人、少ない年で2千8百人である。「学生であり、まだアマチュア」とも学園は言うが、演奏技術レベルは高く、入場料金も特別演奏会で3千円という格安さだ。
  オーケストラは、他に幼稚園、小学校などに「出前公演」なども行い、音楽文化の普及に大きく貢献していることは確かだ。だが、運営は“火の車”で、オーバードホールの使用料(1回平均20万円)は「市民文化事業団の主催事業」として無料になっているほか、年間、旅費交通費が2千5百万円、出演料3千3百万円が、市から出ている。 入場料は低めに設定されているから、年間多くても入場料収入は6百万円程度とみられ、多くが市からの「持ち出し」に頼っている状況だ。ちなみに、「持ち出し」は、オーケストラだけではない。音楽部門のもう一翼を担う大学院大学などへの補助金(税金)が1億6千万円もあるのだ。
  
  富山のクラシックファンは確かに少ない。加えて同オーケストラに対しては「誘致」のいきさつから、市民の疎外感もありそうだ。そのために、学園は「友の会」(個人2百人、企業40社)などを作っている。しかし、市民も学園側も、そのような課題を、いったい真剣に考えているのだろうか。
  学園は、同オーケストラや室内楽の定期演奏会などのスケジュールを載せたA4版のチラシを、年2回出している。他に新聞に広告、テレビにもスポットを出している。
 
 「アマチュア」に甘んずるな 
 「岡田博美が来るなんて知らなかった」。今回、チラシを見たファンにこんな声が多かった。これは、今回に限らない。くだんのチラシに載っている岡田博美の「氏名」の大きさは、縦、横各2a、指揮の尾高も同様である。ゴチックでもない。これでは、お年寄りでなくても見えにくく、印象が薄いのは当然だ。
  この秋、東京でチェコ・プラハオーケストラの演奏を聴いた。共演者はバイオリンの名手・天満敦子。このチラシのタイトルは、大きな字で、「チェコ・プラハ+天満敦子」である。一目瞭然で目をひきつける。公演が連日、いくつも開催される都会で、ここの客席(東京オペラシティー)は満員だった。もしも、「天満敦子」のチラシの1文字が2_角だったらどうだったろうか。
  仮にも、桐朋学園は、「桐朋オーケストラ+岡田博美(出来れば、尾高の名も入れて)」の単独チラシを作れないのだろうか。チラシの制作費など心配している場合などではないのである。
  むろん、課題はチラシだけで解消するわけではない。しかし、PRがあまり上手でなく、それよりも、どちらかと言えば、「聴かせてやる」という“殿様演奏会”になってはいないだろうか。

                         (敬称略  07年12月)
   音楽教育の名門、桐朋学園。その主要部門で、富山市に本拠を置く桐朋アカデミー・オーケストラってご存知だろうか。では、オーバードホールで開かれる年5回程度の定期公演に足を運んだ人は、どれくらいいるだろう。1回当たりの平均が360人。オーバードホールの収容数(最大で2千2百人)の2割ちょっとである。富山市に進出してから既に12年。年間6千8百万円もの演奏委託金という税金を受けながら、低迷状態なのだ。
 
 名演に5回のカーテンコール
  07年11月23日夜、同ホールで、同オーケストラの「特別演奏会」が開かれた。ピアノのソリストは富山市出身の岡田博美、指揮は尾高忠明。同オーケストラでは、滅多にないハイレベルなキャストである。入場料は3,000円。
  ところが、観客の評判は芳しくなかった。演奏に対してではなく、観客の少なさに対してである。918人。収容数の半分以下である。
  岡田が弾いたのは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18。クラシックファンならよく知っている名曲だ。地元ということもあったのだろう、岡田は自信たっぷり、かつ叙情豊かに弾いた。酔った観客は彼に5回もカーテンコールを求めた。
  岡田は、日本音楽コンクールやマリア・カナルス国際コンクールをはじめとした数多くのコンクールで次々と優勝。84年からロンドンに住んでまもなく、デビューリサイタルを行い、「まさしく来るべきスター」(デイリーテレグラフ紙)などと絶賛された。世界に誇る逸材である。
  オーケストラと岡田を導いた尾高忠明は、74年から17年間東京フィルの常任指揮者を務め、87年ウェールズ交響楽団首席指揮者に就任。93年ウェールズ大学より名誉博士号が授与され、後にエリザベス女王から大英帝勲章(CBE)を受けた。
とやま豆新聞
PR方法、もっと工夫を
低迷続ける桐朋オケ公演









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