在来線から特急が消え、“鈍行”ばかりになる
  「富山県並行在来線対策協議会」(会長、石井知事)が、05年7月に出来た。しかし、具体的なことは、まだ何も決まっていない。「どうすれば赤字を避けられるのかの議論を始めたばかり」(同会長)という状況で、どうやら、「新幹線の一日も早い開通」で頭がいっぱいのようだ。
  並行在来線については、長野、青森両県などに先行例がある。これに、現在の北陸線のデータなどを勘案すると、少しずつ見えてくるものがある。

  姿消す特急列車

  「はくたか」(12往復)、「サンダーバード」(15往復)、「しらさぎ」(8往復)は当然、富山県内から姿を消し、「はくたか」は完全廃止、後の2列車はいずれも金沢始発になる見通しである。新潟との動脈である「北越」は、存続要望が強いが、現在の乗車率が悪く、存廃は微妙のようだ。貨物列車は当然残るが、いくつものセクターをまたぐだけに、運営の点で困難を伴いそう。
  普通列車の一日あたりの乗車人数は県内相互で30,500人、石川方面は5,700人。このうち金沢が3,000人(以上05年11月15日調査)だ。しかし、少子化によって、この数字は今より減る。
  「普通」は、現在60往復あるが、増便を求める声が高まるのは必至で、また金沢までの「快速」を求める声も当然強まる。「サンダーバード」に乗るのに、金沢まで新幹線を利用する人はどれくらいいるだろうか。
  気になる運賃は、8年後の物価水準や高速バスとの競合などを考慮して決めることになるが、利用者からは今よりも割安感を求める声が高まる。料金は当然、運営収支を無視するわけにはいかないが、「利用しやすい料金」に設定して赤字が出れば、県などの負担が増える。
  特急はどれくらい利用されているのか。「普通」と同じ日の調査では、県内から石川方面が6,400人で、うち金沢が1,660人。一方、新潟方面は2,400人。県内通過は2,900人だ。単純にこの数字から見ると、新幹線利用客は、ちょっと寂しいものを感じさせる。
  長野新幹線(本来は「北陸新幹線」だが、長野までの開通で、これが通称になっている)は、関係者もびっくりするほど好調だ。開業して9年目だが、1年間に920万人を運んでいる。これはかつての在来線特急の140%という。リゾート地の軽井沢や善光寺への観光客が増えたためだ。
  立山・黒部、金沢が、単独または善光寺など連携して観光客を引寄せられるかが、今後のカギのようだ。
  
  鉄道資産譲り受けに約160億?
  
  並行在来線の第3セクター化による出費は、いろいろ考えられる。
  まず、JR所有の鉄道資産。県は当然、「無償譲渡」を求めるが、これまでの各地の例では難しく、「簿価」(一種の評価額)での払い下げが予想される。
  「長野新幹線」の開通で、3セクの「しなの鉄道」(旧信越線)となった旧JR軽井沢ー篠ノ井間は65.1qで、払い下げ額は103億円。1qあたり1.6億円で、単純に富山県内の並行在来線約100qにあてはめると、160億円にもなる。JR西日本の業績は好調、と言われており、このことから「切り下げ」を期待する声も強い。
  第3セクターには、この額が重くのしかかる。長野県は3セクに23億円を出資した。これとは別に100億円を貸し付けたが、その後の赤字続きで返還が不能になり、全額の債権放棄をした。さすがに住民は黙っておらず、05年、監査請求が出された。
  北陸新幹線建設費の富山県内分の総額は約6,000億円。うち富山県や市町村の負担分は3分の1の2,000億円。この9割が起債に頼るという。
国庫補助にしろ起債にしろ、国民の負担には違いない。北陸新幹線も並行在来線も、公共交通の確保とともに大きな経済効果をもたらすと期待されている。しかし、県民がそれらが、これから増える負担に見合うものかどうか、大いに懸念している。

                               (07年4月) 
  
  平成26年、北陸新幹線の最新型の車両が、東京ー金沢を疾走する。「北回り新幹線」の「建設のノロシ」が上がってから、実に40年ぶりのことだ。
  新幹線が走り出すと、現在のJRの線路からは、「はくたか」や「サンダーバード」などの特急はことごとく消え、鈍行だけが頻繁に走る。その運営に当たるのは、鉄道には素人同然の富山県や市町村が作る第3セクターだ。
  JR西日本は、鉄道資産を第3セクターに売り払って手を引く。富山県民は新幹線に多額の税金を注ぎ込み、いままた、在来線の維持に大きな負担を強いられる。
 
  県内並行在来線は約100q

  北陸新幹線は、ある時期まで、「富山までの開通」が考えられたが、富山駅の近くに広大な車両基地が確保できないこと、観光面での利点や一時的にせよターミナルとしての機能は、はるかに金沢が有利なことから、いまや金沢までの開通は確定的だ。
  いま、並行在来線と言われているのは、直江津と金沢の間のJRの路線、約177qのことだが、富山県の第3セクターが建設・維持の資金を受け持つのは、新潟県境から石川県境までの約100qだ。直江津ー金沢の区間は、普通列車や「快速」を走らせる場合の、他県との連携という点で、今後意味を持ってくる。
  「並行」ではない、城端、氷見、高山の3線は、従来通りJRが運営するが、現在の城端線の一日17往復、氷見同18往復、高山(富山ー猪谷、一部八尾まで)25往復が、今後増えるかどうか、住民の大きな関心事である。3線の収支は、調査されていないというが、「調査すれば、廃止が取りざたされるデータとなろう」とJR西日本金沢支社は言っている。
  

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 11.前途多難 平行在来線
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 9.政務調査費返上しては
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    ライトレールの将来性 
      
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      (「データで見る県勢」から)
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新幹線の光の陰に
前途多難 並行在来線
とやま豆新聞