新会社法解説・対応サポート

                   
               特例有限会社のメリット

  新会社法施行後は、「有限会社の廃止について」のページでお話したとおり、有限会社を設立することが出来なくなります。しかし、特例有限会社(新会社法施行後、既存の有限会社が特例有限会社として存続した場合)にも、新しい株式会社にないメリットは結構あります!そのことを以下でご説明しようと思います。(既存の有限会社に関する経過措置は、整備法第1章第2節(2条〜46条)に定められています。)
  ※なお、このページでの「既存の有限会社」とは、新会社法施行前の有限会社を指すものとします。

  整備法・・・会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

 
 【特例有限会社のメリット】

 1.特例有限会社には、決算公告の義務はありません。
   株式会社には、原則、決算公告の義務があり、なおかつ近い将来その義務が強化される可能性もあると、個人的に考えています。(というのも、新会社法において資本金1000万円という、ある種の担保制度が撤廃され、より株式会社の経営の透明性が求められるようになると考えるからです。ただ、そのとき特例有限会社にもその義務が課せられるようになるかもしれませんが・・・。)
 
 
2.取締役・監査役の任期に法定の期限はありません。(変更が無ければそのままで可)
   新会社法上の株式会社でも最長10年(株式譲渡制限会社)であることを考えると、役員変更の事務的負担やコストが抑えられるという点でメリットがあると思います。

 
3.特例有限会社は会計監査人の設置が強制されません。

 上記のように特例有限会社には新しい株式会社には無いメリットといえそうな点があります。ただし、特例有限会社は、既存の有限会社と実質的に同様に取り扱われるために上記のような経過措置が準備されていますが、必ずしも前者と後者はイコールという関係にはなりません。

  というのも

    特例有限会社も、新会社法施行後、法律上は株式会社扱いになるからです。

  ですので既存の有限会社と扱いが異なる点も出てきます。
  (例)
  ○特例有限会社は、社債や新株予約権が発行できる。
  ○株主数の上限なし
     既存の有限会社の社員の上限は50人
        ※ここで言う社員とは、世間一般でいう社員=従業員のことではな
       
  く出資者のことを指します。
  
○会社更生法の適用がありうる
                                          など

     (ご注意ください!)
   確かに、特例有限会社には、新株式会社にはないメリットがありますが、同時にデメリットとなる点もいくつか
  考えられますので、その点は十分考慮する必要があるものと思われます。
   (今考えられる特例有限会社のデメリット)
     (1)総株式会社化が進む
        会社法施行後、有限会社制度が廃止され、有限会社の数が減少していくのは間違いありません。
     (
2)会計参与・会計監査人を設置できません
        一部の金融機関では、会社法施行後、会計参与を設置した株式会社に対しての優遇措置が検討
       されているようです。
     (3)特例有限会社は、吸収合併の吸収合併存続会社、吸収分割の吸収分割承継会社になることがで
       きません。また、株式交換、株式移転を行うこともできません。(整備法37条、整備法38条)
       上記(3)の点から考えると、今後、積極的に事業を拡張させたい場合には、デメリットかなと思いま
      す。
        
         ※吸収合併存続会社・・・会社が吸収合併をする場合において、吸収合併後存続する会社
                                                          (749条1項)
         ※吸収分割承継会社・・・会社が吸収分割をする際、当該会社がその事業に関して有する
                        権利義務の全部又は一部を当該会社から承継する会社
                                                          (757条)
         ※株式交換・・・株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得
                  させること                                  (2条31号)
         ※株式移転・・・一又は二以上の株式会社がその発行済株式の全部を新たに設立する
                  株式会社に取得させること                        (2条32号)
                                                        など
     (4)株式の譲渡制限に関する定め(整備法9条1項)を変更できません。
        整備法9条1項において
           1.特例有限会社の株式を譲渡により取得する場合当該特例有限会社の承認が必要である
           こと
           2.特例有限会社の株主が当該株式を譲渡により取得する場合には、株主総会の承認をし
           たものとみなす旨の定めがあるものとみなすこと
        という規定がなされており、整備法9条2項では、この定めと異なる定款の変更ができないことと
        されています。
          もっとわかりやすくご説明すると、
           「株主以外の者に株式を譲渡する場合には、特例有限会社(株主総会)の承認を
          必要とするが、当該株主間での譲渡に関しては承認が不要」
          であり、この内容と異なる定款の定めはだめ
            
                                      ということになります。
          
   

   
【特例有限会社と新株式会社(会社法・整備法施行後の株式会社)の比較】
       
特例有限会社 新株式会社
出資者の数 1人以上 1人以上
出資者の名称 株主 株主
最低資本金 1円(※) 1円(※)
社債の発行
種類株式の発行 可※一部制限あり
決算公告の要否 不要 必要
      
     (※)設立後0円にすることが可能と解釈されています。

     機関構成
特例有限会社  新株式会社
非公開会社 公開会社
取締役数 1人以上 1人以上 3人以上
取締役の任期 無期限 最長10年 最長2年
取締役会設置 不可 任意 必要
監査役設置 任意 任意※別規定あり 必要
監査役任期 無期限 最長10年 4年
会計参与設置 不可 任意 任意

                                                               
       
         行政書士 野田良和事務所
          (事務所住所)   岐阜県岐阜市日置江2648番地2
                        岐阜県自動車会館 4階
              行政書士      野田 良和

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