ratugede

The Drama of Magic. PartT
Barongのぺーじ

Beryl De Zoete & Walter Spies
『Dance and Drama in Bali』
p.86-115
1973(Reprint) Kuala Lumpur :
Oxford University Press
Originally published by Faber and Faber Ltd. 1938
ratuayu
その9・ 2007年3月16日更新・ DDBHome
Part1−2               p.90(13)〜p.91(32)
Part1−3               p.91(33)〜p.94(26)
Part1−4               p.94(27)〜p.96(13)
Part1−5               p.96(14)〜p.97(22)
Part1−6               p.97(23)〜p.98(40)
Part1−7               p.99(1)〜p.100(19)
 
Part1−8               p.100(20)〜p.101(16)
Part1−10               p.102(22)〜p.104(3)
Part1−11               p.104(4)〜p.105(27)
Part1− 12 Kelekek               p.105(28)〜p.109(34)
Part1−13 トゥルニャン村のバロン・ブルトゥック               p.109(35)〜p.113(29)
Part1−14 バロン・ランドゥン               p.113(30)〜p.115
Part2 チャロナラン その1               p.116〜p.122(21)


p.101の17行目から

 単純なヴァージョンとは少し異なるタマン・インタランのバロン劇は、ランダの仮面を3つ用いる(訳註:ラルンはランダ側なので、ラルンの仮面も含めて「ランダの仮面を3つ」と述べているようですようになってから、舞踊の特徴を実例ではっきりと示すだけでなく、通俗的にも抽象的にも楽しめる、わかりやすい演出になった。



 タマン・インタラン村ではサンダランとジャウッによるプレリュードが終わってから、1つめの仮面の魔女が登場する。彼女は軽快なステップでバロンに近づく。その後、舞台空間の中央で大きな円を描くように動いたのち、瞑想のムドラをおこなったまま不動の状態で立つ。彼女は頭に白い布をかぶったままである(すなわち、彼女の姿は人目には見えない状態であると解釈される)。彼女はランダの弟子のラルン(注3:ある時(バンリ/Bangli地方で)ラルンの仮面はランダの弟子ではなく、木に変身した悪魔のカララウ(Kalaraoe, kalarau)に由来した顔であった。カララウは根から超自然的な声を出したり樹皮に顔を浮かび上がらせたりして 木を掘り返そうとした村人たちを怖がらせる。白い布は例によって演者が隠れている状態を請け負うし、旗棹はキンマの樹を象徴しているで、かなり高度の魔術が使える。ラルンは魔女の仕事である破壊を手伝うために、魔力を獲得しようと墓場へやって来たことを、我々は覚えている。



 バロンはラルンの存在を嗅ぎつけた(注4:レヤックは強くて甘いにおいを放っているので、その匂いでわかる。鼻をくんくんさせながら、忍び足で用心深くラルンに近づく。バロンは歯をカタカタ鳴らして、瞑想していたラルンを驚かせる。バロンはかなり接近しているので、もう少しでラルンをがつがつと食べてしまうように見えた。彼は何度もラルンを追いかけ、ついにラルンは師匠であるランダの前に身を投げ出して泣く。師匠は舞台に登場しているが、背を向けたままである。それは「姿をまだ人目には晒していない」ということをあらわしている。しばらくの間、バロンは意気揚々と進み、ラルンへ鼻を鳴らしたりする。そして自分の傘に向かって猛スピードで突進する。ランダはそのあとすぐに演技を始めだした。ランダはラルンの周囲を跳び、毛の生えた腕でラルンの頭をつかみ、前後左右に優しく揺り動かす。また、ずっとひざまずいた状態でいるラルンの頭を軽く叩いたりする。それは2体の怪物が協議しているような、不思議な光景である。そしてラルンは退場する。ランダの旗は方向を転換し、交差する。旗先は地面に着くか着かないくらいまで低く下げられている。p.102→すなわち、ランダは墓場へ飛んでいるのである。彼女は最初ぞっとするような雰囲気を醸し出しながら、ゆっくりと前進する。それから、旗の陰にかくれながら走り出す。ランダのギョロ目は感情で輝いている。バロンが近づいてきて、瞑想の邪魔をしようとランダを噛む。両者はもつれたようなかたちで絡み合って踊る。彼らが戦っている間に、もう1体のランダが目立たない位置に立っている。このもう1体のランダはドゥルガ・カラ(Durga-kala, ランダ・リンシール/ Rangda Lingsir, 長老のランダ)と呼ばれ、彼女の魔力は戦っているランダの体へ伝えられる。2番目のランダの出現で、戦っているランダは「闇のランダ」、すなわちランダ・プムトゥン(Rangda Pemeteng)となる。



 バロンとランダの戦いシーンの始まりで、数名の男性たちはバロンが最初に入場した場所に座る。彼らはのちに、ブタ・カラによって憑依状態に陥る。そのブタ・カラはバナスパティ・ラジャの従者である魔物で、現在、バロンに変身している。バロンがどうやら負けそうになる瞬間、男性たちはランダへの激しい怒りを感じ、急に飛び跳ねだしてクリスをつかむのである。クリスの数が男性たちの数に足りないことはない。そして彼らはランダの前へ身を投げたして、自分たちのリーダーであるバロンを守ろうとする。このとき、「闇のランダ」は究極の姿であるドゥルガ・ムルティ(Durga Murti、化身)に変身し、手に持った魔法の布で彼らに魔術をかける。その結果、クリスを握った男性たちは力を失って地面に倒れる。怒り狂いつつも勝利を得たランダは舞台裏へ連れ去られる。ときどきランダの踊り手自身もトランスに入っていることがある。そのあと、バロンは手下たちを回復させようとやって来て、男性たちの周囲で鼻をすすったり、あごひげで彼らを愛撫する。男性たちは震えたり叫びながら、あるいは痙攣のような動きとともに空中を叩きながら、跳ね起きる。そのすぐあとに「クリス・ダンス」が始まり、バロンのあごひげを浸して浄化した聖水が振り撒かれる。そしてブタ・カラが男性たちの体から離れ、バロン劇は終了する。

 

p102の21行目まで

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