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1970年代後半製 YAMAHA SL-1200






1970年代半ば,ヤマハが他社のコピーモデルの製造を始めた初期の頃のギター。SL(Studio Lord)シリーズはレスポールコピーモデルのラインナップで,SL-1200はその最上位に鎮座していた。

この機種はもう相当の長い期間探していた。まず見つからないだろうと半ば諦めていた。私の知っている範囲でこのギターをオークションで見たのはこの個体が初めてだった。最近ギターに金を使いすぎて金銭的に厳しくなっていたので,お目当てのGreco EG-1500を落札したらもう暫くはオークションウオッチャーとして見て楽しむだけにしようと思っていたのだが,そんな時に限って欲しいギターが出品されたりするものだ。ネックに補修歴があるということで予想よりはるかに安価に落札できた。ネックの修理痕なんかに拘っていられない,このギターのレアさといったらTokai LS-200もGreco EG-1500も敵わない,これを逃したらおそらくもう手に入らない。

SLシリーズには1970年代半ばに始まる初期シリーズと,1980年前後に始まる後期シリーズがあり,両者の仕様は全く異なっている。基本仕様の違いとして,初期シリーズはバックが合板(いわゆるパンケーキ)で塗装はラッカーだが,後期シリーズは単層材によるバックで,塗装はポリウレタン塗装という点が上げられる。両者の型番上の見分け方は型番の最後に"S"や"C"というアルファベットが付随しているものが後期シリーズになる。また,後期SLシリーズの最高機種はSL-800SでSL-1200/1000の流れをくむ機種はラインから外されている。

SL-1200のすぐ下にはブラックのカスタムモデルSL-1000があり,塗装の他にはトップのメイプルが3ピースになっている点のみが違うようである。両者共に指板はエボニー,ポジションマークインレイには白蝶貝が使われている。

バック材の構造だけを見れば,バースト基準でギターの善し悪しを判断する人には相手にもされないギターである。情けない過渡期ギターだと言われれば確かにその通りかもしれない。

しかし,個人的にはこの初期SLシリーズが好きである。理由はいくつかあるが,まず塗装がよい。後期SLシリーズが安っぽく必要以上に丈夫なウレタン塗装であるのに対し,初期SLシリーズは(おそらく)最廉価のSL-380までラッカー塗装が施されていて,塗装の経年変化によってとても雰囲気の良いビンテージギターになっている。

また,PUの特性もこの頃のヤマハはそれ以降ほど悪くない。初期SLシリーズに搭載されたピックアップは出力が後期シリーズに比較してマイルドで,ミッドレンジの厚みもまだある。一方後期SLシリーズのPUは出力が大きくなったのだがミッドレンジが痩せていて,トレブリーで耳障りな成分が強く,弾いているとすぐに耳が疲れてくる。初期SLシリーズの方が弾いていても疲れない。ただしこれは好みの問題でもあるから意見が分かれるかも知れない。ヤマハのハムバッカーカバーは水疱瘡のようにぶつぶつと錆が浮いてくるので味が悪い。

驚いたのはバックのマホガニーが3プライ(3層合板)だったこと。カタログによるとボディー材については『表:メープル,中・裏:マホガニー』とあり,バックが2プライであるように記載されているが,写真に示すように間違いなく3プライになっている。それも,なにか意味ありげに厚さの違うマホガニーをプライしている。考えた末にこうしたのだと言わんばかりに。

この事実から推察されることとして,当時,YAMAHAにおいては高級なギターのボディーというものはいかに材を贅沢に使うかではなく,いかに製作に手間をかけているかという点を強調することによって決定づけられていたのではなかろうかということ。単板をくり抜く手間だけなら簡単で,そんな簡単にできるのであれば高級機に相応しくない,寄せ木細工のように材を接合する手間や,なにか意味ありげに見せた細工までも高級品としての条件とされていたのではなかろうかと推察されるのだが,どうだろう。








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