1976年製 Greco EG-1500
Project Series #L765530
2台目のEG1500を入手した。 バースト基準こそ絶対という人にとっては,いくら手間暇かけた芸術的手工芸品であってもパンケーキボディーやメイプル集成ネック,14度ヘッド角と聞いただけで興ざめしてしまうかもしれない。 しかしこの時期のグレコギターの作りの素晴らしさはスーパーリアル期やミントコレクション期を遥かに凌駕しているという意見はすでにコンセンサスを形成している。私は正直に言ってスーパーリアル期のグレコギターが欲しいとは思わない。最高クラスのEGF-1800ですらTokai LS-100以下でしかない。この時期のグレコギターの素晴らしさを疑っている人は一度弾いてみれば分かる。日本のギター史に燦然と輝く金字塔といってよいだろう。 私の認識が確かならEG-1500は数年に一度ほどの頻度でしか市場に登場しない(ここ1年間は珍しく3本登場したが)。もともと生産台数が少ないということもあるが,当時のフラッグシップの頂点であったこのギターをやっとの思いで手に入れた所有者が簡単には手放さないというのも確かだろう。 若い人から見れば年寄り臭いカラーの小汚いギターかもしれないが,1970年代にギター小僧としてEG-380〜600辺りを弾いていた世代にとって一度は現物を見てみたいし一度は触れたみたいと感じていた憧れのギターだったのだから,思い入れの強さがあっても当然だろう,一度手に入れたらそう簡単には手放さない。 前オーナーは福岡県の建設業の方で90年代半ばに仕事で某会社社長宅を解体新築に行った際,粗大ゴミとして捨てられる運命にあったこのギターを受け取ったのだという,もちろんタダで!!。 彼はベーシストでギターに関する蘊蓄や拘りは深くはなかったようで『ずいぶん渋いギターだな』程度にしか思わず,入手後5年ほどしてからこのギターの素性と価値に気づいたそうな。もともとジャンクギターのリペアを趣味にしてギターをいじり倒すことが多かった彼ですがこのギターだけは珍しく純正状態のまま大切にしていたそうです。しかし2人の御子息が同時に進学ということになり泣く泣く手放したのだと聞きました。 もしも彼が純粋なギタリストだったら,おそらくこのギターは出てこなかったでしょう。 このギターは2009年1月に私の手元に届いた。数十年に一度の不況の最中,まだ景気が落ち込んでいる最中で底が全く見えないという今,楽器のような趣味用品は最初に売られてしまう。オークションを閲覧していると落札平均価格は明らかに下がっている。好景気時に跳梁跋扈していたオークションブローカーも海外での高値落札が期待できないとみて姿を消し始めた。落札価格は30%ほど下がっているような印象を受ける。落札価格の低下率はローグレードのギターほど強く中途半端な機種は二束三文の値しかつかない。 好景気時なら30万円近い価格がついてもおかしくないほど程度の良いEG-1500だが,入札は私一人だった。虎の子を売り出しても思うような価格がつかない,このような状況はしばらくは続くだろう。フルオリジナルということで内部観察などは今後の楽しみとしたい。
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