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1979年製 Greco EG-800 "Frecles" #D794825




中学校に入学し(1975年),私は初めて自分のエレキギターを手にした。EG-380というグレコの最廉価機種だった。

あの頃は掘り出しトップを備えたEG-700以上の機種は夢のギターで,実際に触って弾いたことがあるのはEG-600まで,EG-700/800/900/1000/1200/1500などは触ったことすらなかった。その反動で当時のEG-700以上の機種ばかりに目がいってしまう。1980年以降のスーパーリアル期のギターなら今の価値観で,いわゆるバースト基準的に『よいギター』なのかもしれないが,私にとってはその前の『パンケーキバック・メイプルネック14°ヘッド角時代』のギターが良い,お気に入りのギターなのだ,あの頃の『欲しい!』という思いがスペック云々を超えて私を駆動している。

しかし,実際にギターを手にしてみると,スーパーリアル期よりもこの時代のギターの方が作りがよいと感じる。

オークションで目を引いたのはトップのフレック,これほど多く表出されているものは珍しい。ペグが社外品に交換されていてボディーバックに傷があり安価に落札できた。ペグは手元にあるGroverの中古に交換,元々装着されていたペグはGrover類似のMH804ペグだが,このペグはトルクの調節に特殊な器具が必要でまた調節しても再びトルクが低下しやすく扱いにくかった。Groverペグを装着してもオリジナルの雰囲気は変わらない。ポジションマークインレイは白蝶貝で,どうやらEG-800以上はその仕様だったようだ。

このギターを"Frecles(ソバカス娘)"と呼ぶことにした。実はフレック(Fleck)もソバカスを意味する言葉,似たような言葉だが何故か前者の2文字目は"R"で後者のそれは"L",発音が違うので言葉が与える印象もかなり違う。アメリカで人気の連続ドラマ"LOST"で嫌われ者のソーヤがケイトに向かって"Frecles!(ソバカス娘!)"とからかう場面があるが,Rの舌を丸め込む蛙の鳴き声のような発音がなんとも『おてんば』という印象を言葉に与えていた。光が正面から当たるような条件では見えにくいが,ある角度からは非常に多数のフレック,いやフレックルズが表出される。バックの大きな傷も秋田市のリペアマン佐藤裕さんにきれいに補修して貰った。

PUにはPU-0というダブルアジャスタブルポールピース仕様のものが搭載されている。この頃のグレコは以前よりも高出力を求めているようだ。

手元にあるU1000〜U4000ピックアップの直流抵抗値を測定してみた。

U1000 7.55〜7.71kΩ(個体数2 平均7.63kΩ)
U2000 7.65〜7.91kΩ(個体数3 平均7.76kΩ)
U3000 7.66〜8.09kΩ(個体数12 平均7.82kΩ)
U4000 7.84〜8.13kΩ(個体数5 平均7.98kΩ)

グレードが上がるごとに出力も僅かに上がっているのが分かる。このギターに搭載されているPU-0ピックアップを測定したところ

フロントPU 8.15kΩ リアPU 8.09kΩ

という値で,個体数が少ないため断定できないが出力が高めであろうと推察できた。ちなみに,同時期に発売されMR-1000に搭載されたのっぺらぼうピックアップPU-1は8.4kΩ以上の値を示しており,さらに高出力であった。

しかし,Tokai(GOTO製)やフェルナンデスのピックアップは8.2〜8.6kΩ(手元にあるもので測定)だったから,グレコは当初から出力を抑えめにしてビンテージトーンの再現に努め,殆どのメーカーが当時流行したDiMarzio SuperDistortionに習って高出力一辺倒の時代に,おそらく社としてのギター観を貫き,むやみに出力を上げることを自制していたのだ。これは評価すべきだろう。

PU-0のサウンドはかなりドライ感が強い。悪く言えばドンシャリ系で艶が足りないが好みの問題だろう。トーンを絞るとなかなか面白い音を作れる。











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