2008年末に入手,ショップ物件でタイミング良く見つけることができてすぐに購入。店名を明かしても問題ないでしょう,中古ギターでは有名な中野のギターハウス。
高価なギターはその価値を知らない人の手に渡らない限り大切に扱われるのでコンディションのよい個体の比率が高い。
手元に届いたギターを見ると……あれ,ゴールドロゴじゃない。
私が知っている範囲で当時のLS/TLS-200のヘッドロゴは金色で私の所有する3台のLS/TLS-200は全てそうだった。しかしボディーは明らかにTLS-200だ。TLS-100/120にはこれほど流麗で整ったタイガーメイプルは使われないし,バックのマホガニーだって全然違う,またLS/TLS-150のトップは野性的な杢やキルトであることが多く,このような天衣無縫の姿はLS-200にだけ与えられていたという認識はおそらく間違ってはいまい。
なぜゴールドロゴじゃないんだ,私は電話を取った。電話口に出たのはおそらく店長さんだ。
私はギターハウスさんを信頼していたので,私が疑ってかかっていると取られないように言葉を注意しながら彼に質問した。
結論から言うと何故かは不明とのこと。おそらく私が不審に思うとの懸念からだと思うが彼はこのギターの出自を明かしてくれた。
このギターは1977〜1981年,歌謡曲界を席巻したロックバンド"ツイスト"で活躍し,現SLIDIN' & SLIPPIN'のギタリストである松浦善博さんの所有物で,ギターハウスで販売を委託されたのだという。どこかの馬の骨ではなくしっかりとしたミュージシャンが使用していた代物というお墨付きで納得材料にということだろう。
しかし私は手にとってすぐこれは間違いなくTLS-200であると確信していて,『何故このギターはゴールドロゴでないのか』を知りたいだけだったのだ。結局その謎は解明されなかったがこのように『ちょっと違う』ギターというのは探求心をくすぐってくれて楽しい。店長さんによると1983年当時のTLS200とTLS-150はギターが出来上がってからどちらになるかが決まった可能性があるとのこと。
トップ側はかなり綺麗だが,ネック裏はラッカーが少し曇っていてそれなりに使われたことが分かる。プロがステージにTokaiのギターを持って上がるというのはまずなかったろうから,練習やレコーディング用に使われたのだろうか。
結局このように売られてしまったということは,このギターは彼にとって特別な一本になれなかったということかもしれないが,彼がかつて所有していた1958年製レスポールスタンダードがかの高崎晃に譲られているという事実を並べてみれば,売られたという事実がこのギターの価値を単に貶めているとは思えない。成り行きを一度松浦さんに聞いてみたいものです。
1983年からブリッジ齣はクロームメッキされている。またバックのマホガニーはその木理の繊細さにおいて1981年製より僅かに劣る。しかし素晴らしい。ピックアップはSeymour Duncan 59 Vintage,これは当時のカタログスペックと一致しているが,コントロールキャビティー内を見ると絶縁チューブがハンダの熱で溶けた跡があるため,オリジナルPUかどうかは不明。