1984年製TLS-50,ヘッド裏に"50"のシール
が残っており,間違いはない。
Tokai製レスポールスタンダードを表す型番"LS"は少なくとも1984年のカタログからTLSに変更されているが,手元にある他の個体を見ると1983年生産モデルからTLS規格,即ち全てのモデルのヘッド角が18°に統一されていているようである。LSシリーズからTLSシリーズへの移行点がいつなのかは正確には分からないが,家内制手工業的な柔軟性のあったTokaiだから,おそらくはグラデーション的に徐々に変化して
いったのだろう。
1980年代,特に85年までの間において,82年頃まではTokaiのギターの質が高く83年以降は質が落ちているという話はよく聞くところ,いくつかのTokaiのギターを所有してみて,その傾向は確かにあると感じていた。
その説に従うと,このギターは84年製だから80〜82年のLS-50よりも質が落ちている,ということになる。
ネットでこのギターを見て驚いた。まずトップが2ピースなのである。(T)LS-50といえば3ピーストップしか見たことがない私には驚きだった。そして出品者によるとバックはマホガニー1ピースに見えるという。それについてはちょっと眉唾だと思っていた。木目の似た木片で綺麗に継いでいると慣れない目では1ピースに見えたりするからだ。それでも2ピーストップはTLS-50としては十分珍しいし,トップもバックもとても美しいし,下位フレットで指板が剥離しているということだが問題なくリペアできると読んで落札した。落札価格は安めだった。
カタログ上TLS-50のトップはメイプル2〜3ピースと記載されていて,2ピーストップがあっても確かにおかしくはない。しかし,バックが出品者からの情報どおりなんとマホガニー1ピース,これには驚きを隠せなかった。
トップが2ピースなら,コストの帳尻を合わせるためにバックは3ピースにするのが普通だと思うのだが,逆にバックもグレードが上がっている,Tokaiの職人魂はコスト意識にまみれた生半可なギターを作ることを良しとしなかったのだ。
ピックアップもTLS-50用のTokai 57'PAF Model MK-IIではなくTLS-60/80に搭載されているTokai
57'PAF
Model,TLS-50の規格を超えてTLS-60をも超えて80〜82年のLS-80に限りなく近いスペック,LS-80との差異はフレットエッジバインディングと塗装だけ。
83年以降のTokaiは質が落ちているなどとは単純には言い切れないことがこのギターで分かった。
ネックのリペアは秋田市First Touchの佐藤さんに依頼し1万円弱で綺麗に補修され戻ってきた。彼はヘッドの付き板がメイプルであることに驚いた
という。現
GibsonレスポールスタンダードやESPのレスポールでも付き板はプラスチック製だということで,いかにこの時代のTokaiが手間暇かけて作られていたのかが分かるという。
20数年前とはいえ,こんなギターが5万円で作られたなんてちょっと信じがたい,塗装以外は現行のLS-150(定価15万円)と同じだ。