1989年頃製 Bill Lawrence BC'62-550 OLW

1988年末頃より限定生産という扱いで生産されたEX-lightシリーズ。当時の定価は55000円,
表紙にNight Rangerの2人が大きく掲載されている1988年11号のPlayer誌には本機種の広告が掲載されている。そこには11月1日発売開始とある。そして翌年の1989年11月のカタログからは型番末の"550"が"51"に変更され価格も51000円に値下げされている。つまりこの"550"機種は数ヶ月〜1年間ほど販売されていたことになる。
5万円台のストラトといえば,ビルローレンスの機種の中では廉価版ということになる。ボディー材もバスウッドまたはアルダーというようにバスウッドが先に記載されている辺りがいかにも廉価版的なのだが……調べてみるとそう単純ではないようだ。安かろう悪かろうという機種ではない。
ビルローレンスを生産していたモリダイラ楽器はBCシリーズとBLシリーズのボディールータリングを共通にすることで各シリーズの販売量に偏りが生じても生産量のバランスを容易にとれるようにしていたようだ。このような工夫無しには経営できないほどギター産業は斜陽していたとも見て取れる。
このシリーズにはBLシリーズと同じジャンボフレットが使われてる,そしてネックはオーソドックスな21F。この仕様から推察するに売り上げが思うほど伸びなかったBLシリーズのフレット材と時代の要請から外れつつある21Fネックの在庫を有効に使う手段としてこの機種に作ったのではなかろうかということ。いかに入手した材料を余さずにギターを作り上げるか,つまり歩留まりを上げることに腐心していたことがこのシリーズに見て取れるように感じる。
EX-lightとはもちろん軽量であることを強調しているわけだが,私の所有する2台は決して軽いわけではない。このギターが3.4kg,もう一方(BC'57-550 BLK)が3.3kg,いずれもアーム無しの状態で,かつルータリングもH-S-Hで通常のストラトよりも切削量が多いことを考えるとおそらくどちらの材も一般的なアルダーだ。ネックポケットに露出した木肌からもそのように感じる。おそらくEX-lightというのは今後バスウッドも使いますよというアナウンス的な意味合いがあったのではないだろうか。後継機種が51000円に値下げされているところをみると,後継機種の方により安価な材であるバスウッドが使われている個体が多いのではなかろうか。さらに調べてみたいところだ。
ボディーはアルダー2pc,55000円のギターしては贅沢だ。残念ながら3つのブラックラベルは全滅でカラカラカリカリ音しか出なかった。このブラックラベルの脆さには本当に困ったものである。ブラックラベルは今でもモリダイラ楽器から入手することはできるがこの脆さは現行のものでは改善されいるのだろうか。運良く古いブラックラベルを入手できたのでPUの総入れ替えした。またスイッチの状態も悪く交換した。やはりビルローレンスは電装系が弱いという印象をぬぐえない。個人的には歪ませた音よりもフロントが奏でる鈴が鳴るようなクリーンサウンドが好きだ。