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1980年製 Fernandes
Burny FLG-90
1980年製と思われるBurny FLG-90,製造年同定が不確実であるのはBurnyの場合は致し方ない。 そう推察した根拠は (1)バックがホンジュラスマホガニー1ピースであること→FLG/RLG-90以上のグレード (2)Super Gradeのヘッドスクリプトがあり,スクリプトの位置が上寄りであること→1980〜81年の製造(参照) (3)ヘッド裏にシリアルナンバーが打刻されていること→SuperGradeのごく早期に製造されたものにはシリアルナンバーが打刻されていたらしい(不確実情報) (4)糸巻きが2コブクルーソンであること→交換されている可能性が完全には否定できないが,純正ならSuperGrade早期のもの 推定の域を出ることはできないが,おそらく間違ってはいないだろう。 非常に美しいトップを持ったギターだが,残念ながらというかカタログ通りというか貼りトップである。Burnyのギターを数多く知ってるわけではないが,Burnyのギター職人はこのギターのような『上がりトラ』を好んだように感じる。『上がりトラ』とは私の勝手な命名だが,ギターを立てた状態でトラ杢の方向が抹消側に行くほど上に向かうという杢目の走り方を便宜的にそういっている。逆に抹消に向かうほど下がるのは『下がりトラ』と呼んでいる。 The Beauty of the 'Burstを見ると極端な上がりトラもなければ下がりトラもない。安価なサテンシカモアの貼りトップは何故か極端な下がりトラが多い。私の知っている範囲で,この時代のBurnyの上位グレードは上がりトラが多いように感じている。 上がりトラのギターを私は好んでいる。ギターの表情が穏やにかつ明るくなる。両端が上に向かった杢がギターに笑顔を作るからだ。ギター全体の輪郭ともよく調和しているように感じる。逆に下がりトラのギターは不機嫌そうに見える。 内部構造についてだが,このギターではルータリングまではコピーされていない。バーストのルータリングが忠実にコピーされているのはこの後のRLG-90からのようである。 残念ながらこのギターはオリジナルではない。ピックアップがGibson 57'Classicに換装されているし,ボリュームポッドの間にはコイルタップスイッチが装着されている。フレットも交換されていて,既にフレットエッジバインディングではない。ペグも1つだけ1コブのものになっている。およそコレクターズコンディションからはほど遠い。 それでも敢えてこのギターを入手した理由は,この時代のBurnyに興味があったからであり,同時にこの時期のBurny FLG-90クラス以上のモデルが殆ど市場に出てこないからである。少しでも調査できる個体数を稼ぎたかった。 ジャパンヴィンテージと呼ばれているギターが製作されてから約30年を経過し,これらのギターは大きく二つの群に分かれている。それらはご存じの通りコレクターズコンディションとプレイヤーズコンディションという群名で呼ばれている。今後この2群はさらに明瞭に分かれていくことは間違いないだろう。使われる個体はどんどん使われ,使われない個体は全く使われずに保管され後世の残されてていく。 このギターはプレイヤーズコンディションであるが,私の手に入ったことによって通常のプレイヤーズコンディションのギターとは違う運命を辿ってしまう可能性が高まった。ミッシングリンクとして注目される……かもしれない。 プレイヤーズコンディションのギターは音の良い個体が多い。それは当然で音が悪ければ楽器は使って貰えないのだから。このギターも類に漏れず素晴らしい音を出す。間違いなくトップクラスの音である。
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